大阪・難波において、大型再開発計画が進行しています。関電不動産開発、南海電気鉄道()大阪メトロ※以前の報道による)が共同で、南海「難波駅」東側に地上28階・高さ128mの複合ビルを建設する計画が明らかになりました。着工は2027年3月、竣工は2031年3月末を予定しており、商業、業務、宿泊に加えて、災害対応機能を備えた次世代型の都市拠点として整備されます。
新ビルは28階建て、高さ128m!

出典:日本経済新聞
新ビルが建設されるのは、大阪市中央区難波千日前・難波五丁目および浪速区難波中二丁目の一帯で、かつて三菱UFJ銀行難波駅前支店や難波センタービルが立地していたエリアです。2025年5月20日に掲示された建築計画によれば、施設は**地下2階・地上28階建て、延床面積49,617㎡、高さ128m、敷地面積約3,053㎡**とされており、難波エリアでは屈指の規模となります。
この場所は、2023年10月に大阪市が公表した「難波千日前地区地区計画」原案のA地区(約0.7ha)に該当し、同計画では容積率を従来の600%から1600%に引き上げることで、高度利用による都市機能の集積が図られています。
能構成:商業・業務・宿泊を明確に分離、歩行者空間も整備
施設は用途別に階層が分かれており、それぞれの役割が明確に設定されています。
地下2階から地上2階までは商業・業務フロアとして、商業店舗、オフィス、カフェなどが入居する予定です。加えて、なんさん通りや地下街との接続が計画されており、南北および東西の歩行者ネットワークを支える屋内多目的通路1号・2号が整備されます。立体的な多目的広場も設けられ、施設内外の回遊性を向上させる構造となっています。
中層階には業務や文化機能が導入され、観光案内所やエリアマネジメント団体の拠点も配置される予定です。周辺エリアとの連携を強めることで、地域全体の価値向上が図られます。
上層階には宿泊機能が設けられ、4つ星クラスの高級ホテルの誘致が見込まれています。関西国際空港や新大阪駅からのアクセス利便性を活かし、訪日観光やビジネス需要を取り込む計画です。
災害対応機能を備えた都市型施設としての設計
この再開発では、平常時の利便性だけでなく、災害時にも地域を支える施設となるよう設計が進められています。建物内には、大規模災害時に帰宅困難者を一時的に受け入れるための滞在スペースが設けられるほか、食料や生活物資を保管する備蓄倉庫も整備される予定です。
さらに、施設全体にバリアフリー設計が導入され、高齢者や障がい者でも安全に避難できる環境が確保されます。災害時の物資供給や支援活動を円滑に行えるよう、地下街や周辺施設と共用する荷捌き駐車場も整備される計画です。通常時は地域の自転車需要に応える駐輪場として活用され、災害時にも柔軟に対応できるように設計されています。
都市整備との連携:「なんば広場」や「なにわ筋線新駅」との相乗効果
本計画は、周辺整備との連動性も高く評価されています。2023年11月には難波駅前に「なんば広場」が開業し、歩行者中心の都市空間整備が進行しています。また、2031年には「なにわ筋線」の新駅「南海新難波駅(仮称)」がエリア内に開業する予定で、駅・バスターミナル・商業・宿泊の機能が集約される都市ノードの形成が見込まれます。
再開発地に隣接する「なんばパークス」側でも、さらなる開発計画が進む可能性があり、今回の新ビルはそのグレーター難波構想の事業の中核を担う存在となります。さらに、大阪メトロも事業に参画していることから、本施設が同社のランドマーク的役割を果たす可能性も指摘されています。
総括:都市機能と災害対応を一体化させた次世代型再開発
難波千日前地区の再開発は、商業や業務、宿泊機能の強化にとどまらず、地域防災や歩行者回遊性の向上など、多面的な都市課題への対応を意識した計画となっています。容積率緩和による高密度利用を活かしながらも、施設の公共性や周辺環境との調和を重視しており、今後の都市再開発における先行事例となることが期待されます。
出典:
-
日本経済新聞(2025年5月20日)
-
産経新聞(2025年5月5日)
-
大阪市「令和5年度第3回 都市計画公聴会資料」(2023年10月26日公表)