公益財団法人 大阪観光局は2026年1月26日、定例会見を開き、2025年の大阪府への訪日外客数(推計)が1,760万4,000人となり、過去最高を更新したと発表しました!前年比では21%増となり、2年連続での過去最高更新となります。
大阪・関西万博を追い風に、当初想定していた1,500万人を大きく上回る結果となり、訪日消費額も約1.6兆円(大阪観光局試算)に達しました。大阪観光局は2025年を「量・質ともに想定以上」と総括し、2026年は最低でも1,800万人超を目標に掲げています。
2025年インバウンド動向|2年連続で過去最高を更新
大阪観光局が公表した資料によると、2025年12月単月の訪日外客数は145万2,000人と、12月として過去最高を記録しました。この結果、年間累計は1,760万4,000人となり、前年の1,459万人から大幅な増加となっています。
消費額についても、約1.6兆円と推計されており、単なる人数の増加にとどまらず、消費単価の上昇を伴う質的向上が確認されました。大阪観光局は、宿泊日数の長期化や高付加価値消費の拡大が寄与したと分析しています。
国別構成|中国が最大市場も、12月は急減
年間国別シェア(2025年)
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中国:522.5万人(前年比39%増/構成比29.7%)
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韓国:274.4万人(同1%増/20.5%)
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台湾:164.0万人(同2%増/9.3%)
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アメリカ:145.1万人(同32%増/8.2%)
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オーストラリア:63.4万人(同24%増)
中国は依然として大阪最大のインバウンド市場ですが、2025年12月単月では前年同月比45%減(17.6万人)と大きく落ち込みました。大阪観光局は、中国人客の比率が高かった一部の宿泊施設や商業施設では影響が出たとしつつも、「他国・地域からの来訪が増え、全体としては十分にカバーできている」**と説明しています。この点は、2025年の大阪インバウンドが、特定国依存から脱却しつつあることを示す象徴的な動きと言えます。
欧米豪の存在感が拡大|“量から質へ”の転換
2025年の大阪インバウンドで特に注目されるのが、欧米豪市場の力強い伸びです。
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アメリカ:前年比32%増(145.1万人)
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フランス:同29%増(29.8万人)
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ドイツ:同39%増(24.5万人)
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オーストラリア:同24%増(63.4万人)
特にアメリカ市場は、全国平均や東京の伸び率(いずれも約21%増)を上回る成長となっており、大阪の国際観光都市としての地位向上が数字で裏付けられました。欧米豪市場は、滞在日数が長く、消費単価が高い傾向があります。これらの市場拡大は、「インバウンドの量的拡大」から「質的成長」への転換点を示す重要な変化と位置付けられます。
2026年は1,800万人超へ|万博レガシーが鍵
溝畑宏理事長は会見で、2026年のテーマに「飛」の一字を掲げ、次のように述べました。
「中国の落ち込みは想定されるが、世界各地からの観光客増加で十分に補える。
万博で高まった関西のブランド力を生かし、大阪を起点に関西全体を周遊してもらいたい」
2026年の重点方針
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万博レガシーの活用(関西周遊促進)
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欧米豪・中東・インド市場への重点投資
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ラグジュアリー施策の強化
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ナイトタイムエコノミーの活性化
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スポーツツーリズムの推進
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IR開業を見据えた高度人材の確保
特に、中国依存からの分散と、高付加価値型観光へのシフトが明確に打ち出されました。
国際的評価も追い風|IGLTA大阪総会が受賞
2024年に開催された「IGLTA 2024 大阪総会」は、日本政府観光局(JNTO)の「国際会議誘致・開催貢献賞(中小規模会議部門)」を受賞しています。また、ニューヨーク・タイムズ紙が発表した「2025年に行くべき52か所」に大阪が選出された際には、「おそらく日本で最も進歩的な都市」と評価されるなど、大阪のダイバーシティ施策や都市文化は国際的にも高い評価を受けています。
大阪が獲得すべきインバウンド市場はどこか
地域別実績と構成比を俯瞰すると、大阪が今後「新たに獲得すべき市場」と、「すでに十分に獲得できている市場」との線引きは、かなり明確になってきます。
インバウンドの量が回復局面を越えた今、問われているのは「どこを伸ばし、どこを磨くのか」。ターゲットはズバリ欧米豪です。
| 地域 | 全国(万人) | 全国シェア | 大阪(万人) | 大阪シェア | 東京(万人) | 東京シェア |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 東アジア | 2,783.6 | 65.2% | 1,032.7 | 58.7% | 982.9 | 45.2% |
| 東南アジア | 480.1 | 11.3% | 193.8 | 11.0% | 290.7 | 13.4% |
| インド | 31.5 | 0.6% | 15.2 | 0.9% | 28.6 | 1.3% |
| 欧米豪 | 647.5 | 15.2% | 326.9 | 18.6% | 582.4 | 26.8% |
| その他 | 325.7 | 7.6% | 191.6 | 10.9% | 290.6 | 13.4% |
| 合計 | 4,268.3 | 100% | 1,760.4 | 100% | 2,175.1 | 100% |
グルーピング定義
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東アジア:韓国・中国・台湾・香港
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東南アジア:タイ・シンガポール・マレーシア・インドネシア・フィリピン・ベトナム
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インド:単体
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欧米豪:イギリス・フランス・ドイツ・アメリカ・カナダ・オーストラリア
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その他:その他地域
東アジア市場|「獲得」ではなく「最適化」のフェーズへ

まず前提として、大阪はすでに東アジア市場において非常に強い集客基盤を持っています。東アジア(韓国・中国・台湾・香港)の構成比は58.7%に達しており、量の面では全国平均を上回る水準を維持しています。
中国を中心とした近距離アジア市場は、もはや「新たに誘致する対象」というよりも、安定的に受け止めつつ、いかに効率化・高度化していくかが問われるフェーズに入っていると言えます。今後の東アジア市場において重要なのは、さらなる集客競争ではなく、滞在導線の整理、消費単価の引き上げ、地域分散の促進といった「質の磨き込み」です。
欧米豪市場|大阪にとって最大の成長余地
一方で、構造的に最も伸びしろが大きいのが欧米豪市場です。大阪の欧米豪比率は18.6%にとどまっており、東京の26.8%とは8ポイント以上の差があります。ただし、これは大阪の魅力不足を示すものではありません。むしろ、長距離市場を十分に受け止めるための導線や都市機能が、これまで十分に整備されてこなかった結果と捉えるのが妥当です。
欧米豪市場は、滞在日数が長く、消費単価が高く、地方周遊や文化消費との親和性が高いという特徴があります。MICE、IR、アリーナ、フェスといった都市機能とも相性が良く、大阪が「量の都市」から一段上の段階へ進むための最重要セグメントだと言えるでしょう。
大阪の欧米豪比率を23~25%程度まで引き上げることができれば、インバウンド構造は質的に大きく変化すると考えられます。
東南アジア市場|分散と成長を両立する現実的選択肢
次に重要なのが東南アジア市場です。大阪の東南アジア比率は11.0%で、東京(13.4%)との差は比較的小さく、すでに一定の集客基盤が形成されています。
LCCネットワーク、食文化の親和性、若年層人口の厚みといった特性を活かすことで、過度な投資を行わずとも自然な成長が見込める領域と言えます。東南アジアは、中国依存を和らげる「分散先」であると同時に、将来的な中核市場候補としての性格も持っており、戦略的な重要性は今後さらに高まっていくでしょう。
インド市場|今は小さいが、無視できない「次世代コア」
さらに、構成比はまだ小さいものの、戦略的に注目すべきなのがインド市場です。現時点での大阪の構成比は0.9%にとどまっていますが、これは市場が小さいというよりも、未開拓であることを示していると見るべきです。
人口規模や中間層の拡大、英語圏である点、IT・MICE・IRとの高い親和性を考慮すると、インドは「10年後の主力候補」として位置付けるべき市場だと言えるでしょう。大阪は東京に比べて出遅れている分、関空ハブやIRを軸に、一気に差を縮める余地が残されています。
構造データが示す結論|三層構造で考える大阪の戦略

総じて言えば、大阪が今後積極的に獲得すべき市場は、欧米豪・東南アジア・インドの三層構造で整理できます。一方で、中国・韓国・台湾といった東アジア市場は、追いかけ続ける対象ではなく、すでに獲得できている需要を「いかに磨くか」が問われる段階にあります。
大阪は現在、「量の都市」から「量と分散を両立する都市」へと移行できる位置に立っています。その成否を左右するのは、欧米豪・東南アジア・インドという市場を、どれだけ戦略的に取り込めるかにかかっていると言えるでしょう。
国別実績 × 国別シェア:2025年 年間累計(1–12月)
| 国・地域 | 全国(万人) | 比率 | 大阪(万人) | 比率 | 東京(万人) | 比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 韓国 | 946.0 | 20.5% | 274.4 | 15.6% | 220.8 | 10.1% |
| 中国 | 909.6 | 21.3% | 522.5 | 29.7% | 456.5 | 21.0% |
| 台湾 | 676.3 | 15.9% | 164.0 | 9.3% | 214.3 | 9.9% |
| 香港 | 251.7 | 5.9% | 71.8 | 4.1% | 91.3 | 4.2% |
| タイ | 123.3 | 3.9% | 38.8 | 2.2% | 61.8 | 2.8% |
| シンガポール | 72.6 | 4.2% | 28.5 | 1.6% | 45.7 | 2.1% |
| マレーシア | 63.7 | 3.2% | 28.0 | 1.6% | 39.6 | 1.8% |
| インドネシア | 64.1 | 2.4% | 30.0 | 1.7% | 51.9 | 2.4% |
| フィリピン | 88.5 | 3.0% | 33.2 | 1.9% | 51.2 | 2.4% |
| ベトナム | 67.9 | 1.6% | 35.3 | 2.0% | 40.5 | 1.9% |
| インド | 31.5 | 0.6% | 15.2 | 0.9% | 28.6 | 1.3% |
| イギリス | 53.5 | 1.2% | 28.2 | 1.6% | 47.8 | 2.2% |
| フランス | 45.8 | 1.2% | 29.8 | 1.7% | 42.3 | 1.9% |
| ドイツ | 42.9 | 0.8% | 24.5 | 1.4% | 38.9 | 1.8% |
| アメリカ | 330.7 | 7.8% | 145.1 | 8.2% | 299.9 | 13.8% |
| カナダ | 68.8 | 2.1% | 36.1 | 2.0% | 60.0 | 2.8% |
| オーストラリア | 105.8 | 5.2% | 63.4 | 3.6% | 93.5 | 4.3% |
| その他 | 325.7 | 13.7% | 191.6 | 10.9% | 290.6 | 13.4% |
| 合計 | 4,268.3 | 100% | 1,760.4 | 100% | 2,175.1 | 100% |
国別実績 × 国別前年比:2025年 年間累計(1–12月)
| 国・地域 | 大阪(万人) | 大阪 前年比 | 東京(万人) | 東京 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 韓国 | 274.4 | 101% | 220.8 | 101% |
| 中国 | 522.5 | 139% | 456.5 | 123% |
| 台湾 | 164.0 | 102% | 214.3 | 103% |
| 香港 | 71.8 | 86% | 91.3 | 88% |
| タイ | 38.8 | 104% | 61.8 | 106% |
| シンガポール | 28.5 | 102% | 45.7 | 103% |
| マレーシア | 28.0 | 124% | 39.6 | 123% |
| インドネシア | 30.0 | 131% | 51.9 | 116% |
| フィリピン | 33.2 | 108% | 51.2 | 106% |
| ベトナム | 35.3 | 117% | 40.5 | 101% |
| インド | 15.2 | 167% | 28.6 | 142% |
| イギリス | 28.2 | 130% | 47.8 | 120% |
| フランス | 29.8 | 129% | 42.3 | 117% |
| ドイツ | 24.5 | 139% | 38.9 | 130% |
| アメリカ | 145.1 | 132% | 299.9 | 121% |
| カナダ | 36.1 | 120% | 60.0 | 121% |
| オーストラリア | 63.4 | 124% | 93.5 | 114% |
| その他 | 191.6 | 144% | 290.6 | 129% |
| 合計 | 1,760.4 | 121% | 2,175.1 | 115% |
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公益財団法人 大阪観光局
「訪日外客数推計(2025年1–12月)」
(JNTO「訪日外客統計」および観光庁「インバウンド消費動向調査(都道府県別訪問率)」をもとに大阪観光局が算出) -
日本政府観光局(JNTO)
「訪日外客統計(月別・国籍別)」 -
観光庁
「インバウンド消費動向調査」「都道府県別訪問率データ」 -
大阪観光局 定例会見資料(2026年1月26日)
・2025年 大阪府訪日外客数・消費額推計
・2026年 インバウンド戦略・重点方針(万博レガシー、欧米豪・インド市場戦略 等) -
IGLTA(International LGBTQ+ Travel Association)
「IGLTA 2024 大阪総会」開催実績 ※JNTO「国際会議誘致・開催貢献賞(中小規模会議部門)」受賞






