
ロイヤルホテルは2026年9月4日、新ブランド「NOWA by RIHGA(ノワ・バイ・リーガ)」の第2号施設となる「ノワ・バイ・リーガ 箱根強羅」を、神奈川県箱根町に2028年12月末頃開業すると発表しました。
全90室を53㎡とし、すべての客室に温泉露天風呂とテラスを備える高付加価値型の温泉リゾートです。2028年2月開業予定の「ノワ・バイ・リーガ 神戸有馬」に続き、同年中に関西と首都圏を代表する温泉地へ相次いで進出します。
ノワ・バイ・リーガ 箱根強羅 施設概要

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 神奈川県足柄下郡箱根町強羅 |
| 開業 | 2028年12月末頃 |
| 竣工 | 2028年9月予定 |
| 客室 | 90室 |
| 客室面積 | 全室53㎡(テラス7㎡含む) |
| 客室設備 | 全室温泉露天風呂・テラス付き |
| 敷地面積 | 9,359.78㎡ |
| 延床面積 | 10,104.86㎡ |
| 規模 | 地上4階・地下2階など |
| 館内施設 | オールデイダイニング、バーラウンジ、大浴場 |
| 最寄り | 箱根登山ケーブルカー「上強羅駅」すぐ |
| 運営 | ロイヤルホテル |
| 契約 | 20年間の定期建物賃貸借 |
なぜ箱根なのか―有馬と合わせ「東西二大市場」を攻略

ノワ・バイ・リーガ 神戸有馬の客室イメージ
箱根は年間2,000万人規模が訪れる国内有数の観光地で、首都圏からアクセスしやすく、インバウンド宿泊需要も大きい市場です。新ブランドを立ち上げる場所として、この知名度は大きな武器になります。知名度の低い観光地では「そこへ行く理由」と「そのホテルを選ぶ理由」の両方をつくる必要がありますが、箱根にはすでに巨大な旅行需要があります。まず「箱根で泊まるホテル」を探している顧客にノワを選んでもらい、宿泊体験を通じてブランドそのものへの認知を高めることができます。
さらに、有馬と箱根には明確な地理的補完関係があります。
| 施設 | 神戸有馬 | 箱根強羅 |
|---|---|---|
| 開業予定 | 2028年2月 | 2028年12月 |
| 客室 | 93室 | 90室 |
| 客室規模 | 全室40㎡以上 | 全室53㎡ |
| 主な背後市場 | 京阪神 | 首都圏 |
| 戦略上の役割 | 関西顧客の深耕 | 首都圏顧客の新規獲得 |

箱根で初めてリーガを知った顧客を有馬、大阪、京都へ。有馬などの既存顧客を箱根へ。さらに訪日客に対しては、東京―箱根―京都・大阪という定番周遊ルートにリーガ系列を組み込める可能性があります。有馬と箱根は単なる2店舗ではなく、東西の巨大都市圏を背後に持つ温泉リゾート戦略の両輪と見ることができます。
狙いは「ホテル所有」より「運営力」で稼ぐ会社への転換

今回の計画でもう一つ重要なのが事業スキームです。
箱根強羅は、ロイヤルホテルが土地・建物を全面的に保有するホテルではなく、20年間の定期建物賃貸借によって運営する計画です。土地や建物を自社で大量保有する方式に比べ、不動産取得に巨額の資金を固定することなく、新規拠点を増やしやすくなります。
一方、建物を所有しなければリスクがなくなるわけではありません。ホテル側は賃料、人件費、食材費、光熱費、販売費などを負担しながら利益を確保する必要があります。
したがって、ロイヤルホテルに問われるのは、「リーガが運営すれば、高い単価でも客が集まり、再訪が生まれ、ホテルとして利益を残せる」という運営実績です。箱根でこれを証明できれば、その効果は90室のホテル1軒にとどまりません。不動産会社やファンドが新たなホテルを開発する際に、「運営をリーガに任せたい」と選ばれる可能性が高まります。
つまり箱根強羅は、宿泊客に新ブランドを売り込む施設であると同時に、ホテルオーナーにリーガの運営能力を示すショーケースという側面も持っています。
全室露天風呂でも差別化できない―強羅ではLXRも2028年開業

箱根強羅では、全90室を53㎡とし、すべての客室に温泉露天風呂を設けます。
一部のスイートだけを高級化するのではなく、ホテル全体の商品水準を高い位置に設定する設計です。客室そのものの滞在価値を高め、観光の合間に寝る場所ではなく、「ホテルに泊まること」を旅行目的へ変えていきます。

LXRホテルズ&リゾーツ:箱根プロジェクト
しかし、箱根・強羅では高級ホテルの競争も急速に激しくなっています。ヒルトンのラグジュアリーブランド「LXRホテルズ&リゾーツ」も2028年夏、約94室・全室50㎡以上・露天風呂付きのホテルを開業する予定です。規模も商品構成も近く、2028年の強羅では同クラスの高級温泉ホテルが相次いで誕生することになります。つまり、「50㎡級+温泉露天風呂」だけでは決定的な差別化になりません。
ここでリーガの武器となるのが、長年培ってきた料理と接遇です。ノワが狙う40~60代のアッパーミドル層にとって重要なのは、豪華な設備の有無だけではありません。食事、サービス、居心地、価格への納得感まで含め、「また泊まりたい」と感じられるかが再訪を左右します。
設備競争ではなく、リーガが都市型ホテルで積み上げてきた料理・接客を、高単価の温泉リゾート商品へ転換できるかが勝負になります。
| 2028年開業予定 | LXR | NOWA |
|---|---|---|
| 開業 | 2028年夏 | 2028年12月 |
| 客室 | 約94室 | 90室 |
| 客室規模 | 全室50㎡以上 | 全室53㎡ |
| 露天風呂 | あり | 全室あり |
箱根で成功すれば「NOWA」は全国展開できるブランドへ

ロイヤルホテルは2035年までに、グループ全体で35ホテル体制を目指しています。ノワの第3号店以降は現時点で発表されていませんが、有馬と箱根という異なる巨大市場で成功モデルをつくれれば、全国展開への説得力は大きく高まります。
重要になるのは、単純な稼働率だけではありません。
| 成功の評価軸 | 意味 |
|---|---|
| 高い宿泊単価 | ブランド価値を維持できるか |
| 平日の稼働 | 休日需要だけに依存しないか |
| 再訪・直接予約 | ブランド指名を生み出せるか |
| 食・接客の評価 | 設備以外で差別化できるか |
| 賃料負担後の利益 | 事業モデルとして成立するか |
| 品質の再現性 | 次のホテルでも同水準を出せるか |
しかし、首都圏市場の箱根でも高単価、高稼働、再訪、収益性を両立できれば、NOWAというブランドそのものに再現性があることを示せます。
そうなればロイヤルホテルは、自ら土地を取得してホテルを建て続けなくても、全国各地で開発されるホテルにブランドと運営力を提供し、事業規模を拡大できるようになります。
今回の箱根進出でリーガが目指しているのは、単に「有名温泉地にホテルを1軒増やすこと」ではないでしょう。大阪を代表する老舗ホテルグループが、都市型ホテルで培った料理・接遇・信用を、高付加価値の温泉リゾートへ移植し、それを全国で再現可能な運営ブランドへ育てること。
有馬と箱根で高単価・高稼働・再訪・収益性を両立できるか。「ノワ・バイ・リーガ 箱根強羅」は、リーガの次の成長戦略を占う重要な試金石となりそうです。
出典
- 株式会社ロイヤルホテル「『ノワ・バイ・リーガ 箱根強羅』2028年12月末頃開業予定」2026年9月4日
- 株式会社ロイヤルホテル「(仮称)箱根強羅ホテル開発計画に係る定期建物賃貸借予約契約締結のお知らせ」2026年6月25日
- 株式会社ロイヤルホテル「ノワ・バイ・リーガ 神戸有馬」開業・ブランド関連発表
- 株式会社ロイヤルホテル 決算説明資料・中長期成長戦略資料
- 箱根町 観光客実態調査・観光統計
- サンケイビル/長谷工不動産/ヒルトン 箱根・強羅「LXRホテルズ&リゾーツ」開業計画発表
- PR TIMES ロイヤルホテル「ノワ・バイ・リーガ 箱根強羅」発表資料
- Dtimes 「ノワ・バイ・リーガ 箱根強羅」開業計画関連記事
- TRAICY Release、ORICON NEWSほか 2026年9月4日付関連報道
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