英国の航空データ分析会社OAGが公表した2026年10月の世界国際航空路線ランキングで、関西国際空港~韓国・仁川国際空港線が世界3位となりました。同路線の月間提供座席数は49万1,573席で、前年同月比16%増加。仁川~成田線は世界1位、仁川~福岡線も8位となり、日韓を結ぶ3路線が世界トップ10にランクインしました。
一方、これほど大きな航空市場でありながら、JALとANAは関空~仁川線を自社運航していません。日本勢はANAグループのPeachが運航するのみで、韓国の大手航空会社やLCCが路線の大部分を担っています。
なぜ日本の大手航空会社は、世界3位の国際航空路線に自社機材を投入しないのでしょうか。 今回のランキングから、東アジアの航空需要の拡大と、日本の国際航空ネットワークが抱える構造的な課題を考えます。
関空~仁川線が世界3位、月間49.2万席を供給

OAGが発表した「Busiest Routes Right Now」は、航空会社が設定した定期便の提供座席数を基準に、世界の航空路線を比較するランキングです。
2026年10月は、仁川~成田線が58.5万席で世界1位、香港~台北桃園線が57.1万席で2位、関空~仁川線が49.2万席で3位となりました。
2026年10月 世界の国際航空路線ランキング
| 順位 | 国際航空路線 | 提供座席数 | 前年同月比 |
|---|---|---|---|
| 1 | 仁川~成田 | 58.5万席 | +39% |
| 2 | 香港~台北桃園 | 57.1万席 | +2% |
| 3 | 関空~仁川 | 49.2万席 | +16% |
| 4 | カイロ~ジッダ | 48.1万席 | +1% |
| 5 | クアラルンプール~シンガポール | 45.1万席 | −1% |
| 6 | ジャカルタ~シンガポール | 38.0万席 | −1% |
| 7 | 成田~台北桃園 | 35.9万席 | +6% |
| 8 | 福岡~仁川 | 35.0万席 | +11% |
| 9 | バンコク~香港 | 34.0万席 | −3% |
| 10 | ニューヨーク~ロンドン | 32.5万席 | −6% |
このランキングは、各路線の往復合計の提供座席数を集計したものです。実際の搭乗者数ではなく、飛行距離を考慮した輸送量でもありません。
短距離路線は航空機を高頻度で運航できるため、長距離路線との単純な優劣は比較できませんが、関空~仁川線が世界有数の高密度国際航空路線であることを示しています。
日韓3路線が世界トップ10入り、仁川~成田線は39%増で首位
今回のランキングでは、日韓路線の規模と成長率が際立ちました。世界1位となった仁川~成田線は、前年同月比39%増の58.5万席を記録。トップ10路線の中で最大の伸び率です。関空~仁川線は16%増、福岡~仁川線も11%増と、3路線すべてで供給座席数が拡大しています。
| 日韓路線 | 世界順位 | 月間提供座席数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 仁川~成田 | 1位 | 58.5万席 | +39% |
| 関空~仁川 | 3位 | 49.2万席 | +16% |
| 福岡~仁川 | 8位 | 35.0万席 | +11% |
| 3路線合計 | — | 約142.7万席 | — |
韓国メディアは10月6日、円安による日本旅行の人気や、燃油費の上昇に伴う近距離旅行への需要を背景として指摘。台湾のテレビ局TVBSや香港の航空・旅行情報メディアも、今回のランキングを取り上げています。
関空~仁川線は2026年を通じて輸送力が拡大
関空~仁川線の世界3位は、10月だけの一時的な現象ではありません。
OAGの統計では、2026年第2四半期の提供座席数が前年同期比11.5%増加。その後も8月は17%増、9月は24%増、10月は16%増と拡大が続いています。
| 時期 | 世界順位 | 月間提供座席数 | 前年同月比 |
|---|---|---|---|
| 2026年8月 | 3位 | 約47.3万席 | +17% |
| 2026年9月 | 4位 | 約46.4万席 | +24% |
| 2026年10月 | 3位 | 約49.2万席 | +16% |
世界3位の巨大市場を、日本の大手航空会社は自社運航していない

関空~仁川線には、大韓航空、アシアナ航空、チェジュ航空、ジンエアーなど多数の韓国系航空会社が就航しています。日本勢はANAグループのPeachが運航していますが、JALとANAは自社機材による定期便を設定していません。
関空~仁川線における航空会社の戦略
| 航空会社 | 運航・販売戦略 |
|---|---|
| 大韓航空・アシアナ航空 | 自社運航。仁川ハブへの旅客輸送を担う |
| 韓国系LCC各社 | 多数の便を設定し、観光需要を獲得 |
| Peach | ANAグループのLCCとして自社運航 |
| JAL | 大韓航空とのコードシェアで対応 |
| ANA | Peachとアシアナ航空との提携で対応 |
一方、ANAグループはPeachのソウル線を国際線事業の収益源と位置付けています。両社とも市場の重要性を認識しながら、フルサービス便を直接投入するのではなく、提携航空会社やグループLCCを活用しています。
背景には、韓国系LCCとの激しい価格競争があります。JAL・ANAが高い運航コストをかけて参入するよりも、既存の提携関係を活用する方が収益面で合理的という判断があると考えられます。
航空会社にとって合理的でも、日本の航空ネットワーク全体ではどうなのか?

ここで注目したいのが、関西圏の国際航空需要を誰が取り込んでいるのか、という問題です。
韓国の航空会社にとって関空~仁川線は、大阪とソウルを結ぶだけの路線ではありません。関西から旅客を集め、仁川経由で欧米やアジア各都市へ送り出す、国際線ネットワークの一部でもあります。
一方、JAL・ANAは羽田・成田を中心に国際線網を構築しており、関空発着の自社運航路線は限定的です。その結果、関西から海外へ向かう旅客の一部は、仁川など海外のハブ空港を利用しています。
もちろん、利用者にとっては選択肢が増え、運賃や所要時間で有利になる場合もあります。ただし、個々の航空会社の判断としては合理的でも、日本の国際航空ネットワーク全体として最適なのかは別問題です。
関西圏は大規模な人口・経済集積を抱え、関空には世界有数の国際航空路線が存在します。それにもかかわらず、日本の大手航空会社は関空を国際線の主力拠点として活用していません。
関空~仁川線の世界3位という数字は、東アジアの航空需要の大きさとともに、関西の巨大な国際航空市場を韓国の航空会社が積極的に取り込んでいる現実を示しています。
出典
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