2025年7月25日、関西エアポートが発表した最新データによれば、2025年上半期(1月〜6月)における関西国際空港(KIX)の国際線旅客数が1,357万人に達し、暦年上期として過去最多を記録しました。
その内訳を見ても、外国人旅客は1,096万人(前年比+21%)と大幅に回復しており、特に中国路線が前年比+74%の396万人と突出。関空の復調を象徴する数字となっています。
項目 | 関西国際空港(KIX) | 大阪国際空港(伊丹/ITM) | 神戸空港(KOBE) | 備考 |
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総旅客数(人) | 16,792,023 | 7,653,723 | 1,875,975 | 3空港合計:26,321,721(+13%) |
∟国際線旅客数(人) | 13,567,488 | ― | 124,010 | 神戸はチャーター含む |
∟外国人旅客数(人) | 10,957,386 | ― | 107,155 | |
∟日本人旅客数(人) | 2,575,862 | ― | 16,855 | |
∟国内線旅客数(人) | 3,224,535 | 7,653,723 | 1,751,965 | |
航空機発着回数(回) | 104,858 | 68,089 | 17,544 | 3空港合計:190,491(+8%) |
∟国際線発着回数(回) | 72,740 | ― | 844 | KIXは過去最多 |
∟旅客便発着回数(回) | 64,527 | ― | 832 | |
∟貨物便発着回数(回) | 8,543 | ― | 12 | |
∟国内線発着回数(回) | 22,618 | 68,089 | 16,700 | |
貨物取扱量(トン) | 64,527(国際) | 7,003(国内) | ― | 合計71,530トン(+2%) |
国際線方面別最多(KIX) | 中国:396万人(+74%) | ― | ― | KIX国際旅客の35% |
国際線旅客全体に占める外国人比率 | 約81% | ― | 約86% | KIX:外国人比率上昇傾向 |
国際線チャーター就航 | なし | なし | 2025年4月〜 | 中国便などに波及 |
特記事項 | 過去最多記録を更新 | 万博需要の反映あり | 北京便就航予定(9月) | 路線拡大が進行中 |
国際線発着も過去最多 旅客の9割はアジア方面、だが欧米も確実に戻ってきた

国際線の旅客便発着回数も72,740回(+23%)と、コロナ後としては圧倒的な水準に。方面別の構成を見ると、発着ベースでは中国37%・韓国26%・東南アジア13%と、アジア圏で9割を占めています。
一方、欧州・北米・中東方面は73.3万人(+23%)と堅調に増加しており、アジア偏重の構造の中でもグローバル回帰の兆しが確実に進行していると感じられます。
一方で、日本人旅客は前年比では微増したものの、2019年比では3割以上減少。円安が海外旅行需要を抑えている現実も透けて見えます。
神戸空港が静かに動き出す、上期188万人、北京直行便も9月就航
注目すべきは神戸空港の動きです。2025年4月から始まった国際線チャーター便の定期運航が着実に浸透し、上期の総旅客数は188万人(過去最多)。外国人旅客は10.7万人、日本人も1.6万人と健闘しています。
さらに9月28日には中国東方航空が北京大興空港便を新規就航予定。これにより、神戸空港の国際路線はチャーターから定期便フェーズへと進みつつあり、関西3空港の役割分担が変わりつつあります。
万博効果が国内線に波及、伊丹は堅調、関空も着実に回復
国内線については、大阪国際空港(伊丹)の旅客数が765万人(+8%)回復傾向にあります。関西エアポート側も、「万博来場者の国内移動需要が反映されている可能性」とコメントしており、イベント効果の波及が一定程度表れ始めていることがわかります。
関西国際空港の国内線旅客数も前年同期比+12%と、国際線偏重構造からのバランス回復が見られます。
関西3空港の役割分担が明確に。分散型空港モデルの地盤が固まりつつある
今回のデータで注目すべきは、単なる数値の回復だけではなく、「関空=国際ゲートウェイ」「伊丹=国内幹線」「神戸=ローカル&チャーター国際線」という機能分化と補完関係が、実態として立ち上がり始めたことです。
特に神戸空港の国際線就航は、関西圏の航空ネットワークにおける“新しい選択肢”として、今後の動向を左右する存在になる可能性を秘めています。
関空の国際線成長、伊丹の安定、神戸の静かな覚醒、三者三様の空港が、それぞれの立ち位置を見つけつつある現在。2025年の関西は、空港の「数」ではなく「機能」で勝負する段階に入ったといえるでしょう。
今後の展開
万博の追い風を最大限に活かすと同時に、その先をどう繋ぐか。2026年以降、北米直行便の拡充やアジア諸国との高頻度化、地方路線のハブ化といった施策が試されます。
関西3空港の連携が“形”だけでなく“実効性”を持つかどうか。ここからが本当の勝負どころです。
東京がガメている欧米路線を持ってきてほしいですね。