JR西日本は2026年7月22日、山陽新幹線「こだま」で運用するN700系6000番代に、新たなエクステリアデザインを導入すると発表しました。瀬戸内海をイメージした「山陽ブルー」を車体全体に採用し、2026年冬から順次運行を開始します。
N700系6000番代は、東海道・山陽新幹線で使用してきた16両編成のN700系を8両編成に改造した車両。2025年9月から営業運転に入り、今後は500系の役割を引き継ぐ山陽新幹線「こだま」の主力車両となります。今回の専用デザイン化によって、機能面だけでなく外観でも「山陽のこだま」としての独自性が与えられることになりました。
瀬戸内海を表現した「山陽ブルー」
新デザインのコンセプトは、「YURARI~気ままに移ろいを味わう~」。速達性を追求する「のぞみ」とは異なり、各駅に停車しながら沿線をゆったりと走る「こだま」の旅に着目。瀬戸内海の穏やかな波や、水面に反射する光のきらめきを車体に落とし込みました。
車体のベース色となる「山陽ブルー」は、陽光の当たり方によってエメラルドグリーンにも見える淡い青緑色。風のない凪の瀬戸内海をイメージしており、従来の白地に青帯という東海道・山陽新幹線の標準的な外観から大きく印象を変えます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 車両形式 | N700系6000番代 |
| 編成 | 8両編成 |
| デザインコンセプト | YURARI~気ままに移ろいを味わう~ |
| 車体色 | 山陽ブルー |
| 運行区間 | 新大阪―博多、博多―博多南 |
| 最高速度 | 285km/h |
| 乗車定員 | 578人 |
| 運用開始 | 2026年冬から順次 |
走行中と停車中で異なる表情を見せる波模様
車体側面には、起伏のある白いドットと、濃淡を変化させた3本のラインを配置。ドットの間に波形が浮かび上がる仕掛けで、走行中は流れるラインが強調され、駅に停車すると波模様が認識できるよう設計されています。
ロゴマークにも「ゆらり」とした波の形を採用。色や形の変化で時間と景色の移ろいを表現するとともに、山陽新幹線沿線の府県を象徴するモチーフを配置します。単に車体を青く塗り替えるのではなく、速度によって見え方が変化する視覚効果まで組み込んだデザインです。
京都工芸繊維大学と共同研究、車両外装ではJR西日本初
新デザインは、JR西日本と京都工芸繊維大学・製品デザイン計画研究室による共同研究から生まれました。JR西日本が車両のエクステリアデザインを産学連携でつくり上げるのは、今回が初めてです。
大学の学生らは、基本コンセプトの策定から車体色、ライン、ロゴマークの具体化まで参加。山陽新幹線沿線の文化、伝統、自然を調査したほか、車両所で実車を確認しながらデザインを調整しました。完成予想図の美しさだけではなく、巨大な車体に施工した際の見え方や、走行時の視認性まで検討したとみられます。
500系の後継車を「余剰車両」ではなく“山陽の顔”へ
500系は、航空機のようなロングノーズや丸みを帯びた車体を持ち、1997年の登場以来、山陽新幹線を象徴する車両として高い人気を集めてきました。一方、後継となるN700系6000番代は、もともと東海道・山陽新幹線の長距離輸送を担ってきた汎用車両です。そのまま転用すれば、「16両編成を短くしたN700系」という印象から抜け出しにくいという課題がありました。
そこで専用色とロゴを与え、瀬戸内海や沿線地域との結び付きを明確にする。今回の変更は、車両更新に合わせて「こだま」そのものを再ブランド化する狙いがあります。500系の個性的な造形をそのまま引き継ぐことはできなくても、山陽ブルーという新たな記号によって、次世代の“山陽の顔”をつくる取り組みです。
Xでは色調への期待と、現行塗装の短命化が話題に
発表直後のXでは、爽やかな車体色や瀬戸内海を意識したコンセプトを評価する声が上がる一方、山陽・九州新幹線のN700系7000・8000番代を連想するとの反応も見られました。現時点では、新デザインとなる最初の編成や具体的な運行列車、全編成への導入完了時期は発表されていません。今後は実車の公開時期に加え、陽光や天候によって「山陽ブルー」がどのような表情を見せるのかにも注目が集まりそうです。
出典
JR西日本「山陽新幹線こだま号 新デザインについて」
JR西日本「山陽新幹線の更なる安全性・快適性の向上」




