大和ハウス工業は、大阪府茨木市松下町の旧パナソニック茨木工場跡地で、マルチテナント型物流施設「DPL茨木Ⅱ」を2026年8月18日に着工します。地上4階建て、延床面積約3.1万㎡の施設で、2028年1月の竣工を予定しています。
計画地は、1958年からテレビを生産してきた約12万㎡の大規模工場跡地です。大和ハウス工業は2014年に土地を取得し、ヤマト運輸の「関西ゲートウェイ」、Amazonの「茨木フルフィルメントセンター」を段階的に整備してきました。
DPL茨木Ⅱは、この跡地における3棟目、そして最後の開発です。かつて「テレビの街」を支えた生産拠点は、約14年をかけ、関西圏の消費とサプライチェーンを支える物流集積地へと姿を変えます。
DPL茨木Ⅱの計画概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 大阪府茨木市松下町2番13号 |
| 事業主 | 茨木松下開発特定目的会社 |
| 用途 | マルチテナント型物流施設 |
| 構造・規模 | RC造・一部S造、地上4階 |
| 敷地面積 | 16,322.07㎡ |
| 延床面積 | 31,245.97㎡ |
| 賃貸面積 | 30,924.48㎡ |
| 入居区画 | 最大2社、最小約1.54万㎡ |
| 設計・監理 | フクダ・アンド・パートナーズ |
| 施工 | フジタ |
| 着工 | 2026年8月18日 |
| 竣工予定 | 2028年1月14日 |
| 入居開始 | 2028年1月中旬予定 |
施設は最大2社が入居でき、最小賃貸区画は約1.54万㎡。単独企業向けの専用施設ではなく、複数の物流事業者や荷主企業に対応できる汎用性の高い計画です。
東西両面バースで荷役効率を高める
DPL茨木Ⅱの特徴は、1階の東西両側にトラックバースを配置する「両面バース」です。2社に分割した場合でも、それぞれが独立した搬出入動線を確保でき、車両の集中や荷待ち時間を抑えられます。
| 機能 | 狙い |
|---|---|
| 東西両面のトラックバース | 入出荷能力の向上、車両動線の分散 |
| 貨物用エレベーター・垂直搬送機 | 上下階の荷物移動を効率化 |
| 床荷重1.5t/㎡ | 重量物や高密度保管に対応 |
| 梁下有効高5.5m | 高層ラックによる保管効率向上 |
| 設備機器の屋上配置 | 浸水リスクを抑え、BCP性能を強化 |
大規模なランプウェイを備えた多層型物流施設ではなく、上下搬送設備を活用するBOX型を採用しました。約1.6万㎡という敷地条件の中で、賃貸面積と荷役効率を最大化する構成といえます。
茨木IC約1km、都市配送と人材確保を両立
計画地は名神高速道路「茨木IC」から約1km、車で約5分。大阪市中心部まで約30分、大阪国際空港まで約20分、大阪港まで約50分でアクセスできます。
さらに、JR京都線「JR総持寺駅」から徒歩約15分の距離にあり、周辺には住宅地が広がります。
物流施設の競争力は、高速道路への近さだけでは決まりません。庫内作業者やドライバーの不足が常態化するなか、鉄道通勤が可能で、人口集積地に近いことは重要な立地条件です。DPL茨木Ⅱは、広域輸送、都市内配送、雇用確保を同時に狙える希少な物流適地に位置しています。
太陽光発電とNearly ZEBで環境性能を強化
屋上には太陽光発電設備を設置し、第三者が設備を保有して発電電力を施設内に供給するオンサイトPPAを採用します。
BELS最高ランクの「6つ星」と、基準一次エネルギー消費量を75%以上削減する「Nearly ZEB」以上の達成を目指します。
| 環境設備 | 内容 |
|---|---|
| 太陽光発電 | オンサイトPPAで施設内に電力供給 |
| BELS | 最高評価「6つ星」を目標 |
| ZEB水準 | Nearly ZEB以上を目標 |
| 省エネ設備 | 全館LED、全熱交換器、節水器具など |
物流施設でも、環境性能は付加価値ではなく、テナント企業の調達基準や脱炭素戦略に直結する基本性能になりつつあります。大和ハウス工業は、交通利便性だけでなく、運用時の電力コストと環境負荷を抑えることで施設の競争力を高めます。
「テレビをつくる場所」から「モノを動かす場所」へ
旧茨木工場では1958年にテレビ生産が始まり、2001年以降は薄型テレビの主力工場として稼働しました。しかし、家電生産の海外移転や市場環境の変化を受け、2014年3月に工場としての役割を終えました。
| 時期 | 跡地の動き |
|---|---|
| 1958年 | 松下電器産業・茨木工場でテレビ生産開始 |
| 2001年以降 | 薄型テレビの主力工場として稼働 |
| 2014年3月 | 工場活動を終了 |
| 2014年9月 | 大和ハウス工業が約12万㎡を取得 |
| 2017年 | ヤマト運輸「関西ゲートウェイ」竣工 |
| 2018年 | Amazon「茨木FC」開設 |
| 2026年8月 | DPL茨木Ⅱ着工 |
| 2028年1月 | DPL茨木Ⅱ竣工予定、跡地開発が完結 |
先行するヤマト運輸とAmazonの施設は、特定企業の業務に合わせて建設するBTS型でした。これに対し、最後のDPL茨木Ⅱは最大2社が利用できるマルチテナント型です。
巨大テナントを核に跡地全体の物流機能を確立した後、残る区画を汎用施設として整備し、幅広い需要を取り込む――。約12万㎡の土地を段階的に開発してきた大和ハウス工業にとって、DPL茨木Ⅱは跡地利用を完成させる「最後のピース」となります。
旧工場跡地に映る、関西経済の構造変化
この開発が象徴するのは、単なる土地利用の変更ではありません。
かつて大規模工場は、製品を生産し、多数の従業員を雇用することで地域経済を支えました。一方、現在の大都市圏では、EC、宅配、在庫管理、広域輸送を担う物流施設が、雇用と産業活動を受け止める新たなインフラとなっています。
旧パナソニック茨木工場跡地には、宅配最大手のヤマト運輸、EC最大手のAmazon、そして複数企業が利用できるDPL茨木Ⅱが集積します。
テレビをつくる場所から、モノを高速で動かす場所へ。
DPL茨木Ⅱの着工は、日本の製造業を支えた工場跡地が、デジタル消費社会を支える物流拠点へ転換する過程の完結を意味します。2028年1月、松下町で進められてきた14年越しの再開発は、ひとつの区切りを迎えます。
出典
- 大和ハウス工業「マルチテナント型物流施設『DPL茨木Ⅱ』着工」
- フクダ・アンド・パートナーズ「DPL茨木Ⅱの地鎮祭が行われました」
- 大和ハウス工業「ヤマトグループ関西圏最大の総合物流ターミナル『関西ゲートウェイ』着工」
- Amazon「新たな物流拠点『アマゾン茨木FC』を開業」




