出典:兵庫県 以前に公表された高層ビル案のイメージ図
兵庫県庁の再整備計画が、建物の規模や配置まで具体化してきました。兵庫県は2026年9月1日に開いた「第2回新庁舎等整備プロジェクト基本計画検討専門者会議」で、新庁舎について地上13階・高さ約60mのA案をベースに検討を進める方針を示しました。延床面積は約45,000㎡。18階・高さ約80mのB案と床面積は同じですが、13階案では建物を横方向に広げ、基準階面積を約4,300㎡まで拡大します。
今後は13階案を軸に詳細を詰め、2026年度末の基本計画策定を目指します。なお、13階建てが正式決定したわけではなく、現段階では基本計画策定に向けたベース案です。
13階・約60m、延床約4.5万㎡の大床面積型へ

出典:兵庫県
9月1日の専門者会議では、13階のA案と18階のB案が比較されました。最大のポイントは、13階化しても延床面積を減らさないことです。約45,000㎡の床面積を維持したまま横方向に広げ、基準階面積を約2,800㎡から約4,300㎡へ約1.5倍に拡大します。執務室も1フロア約3,000㎡を確保する想定です。| 項目 | 13階・A案 | 18階・B案 |
|---|---|---|
| 階数 | 13階 | 18階 |
| 高さ | 約60m | 約80m |
| 建築面積 | 約6,200㎡ | 約5,500㎡ |
| 延床面積 | 約45,000㎡ | 約45,000㎡ |
| 基準階面積 | 約4,300㎡ | 約2,800㎡ |
| 基準階の執務室 | 約3,000㎡ | 約2,000㎡ |
| 県民交流機能 | 1~2階・最上階 | 1~3階・最上階 |
| 工期 | B案より約1カ月短い | A案より約1カ月長い |
| コスト | 設備・運用面で有利 | 高層化に伴う負担増 |
なぜ13階なのか 業務効率・防災・コストで優位
13階案の強みは、行政庁舎としての使いやすさにあります。1フロアが広いため複数部局を同じ階に配置しやすく、上下移動を減らせます。組織改編にも対応しやすく、大規模地震や停電でエレベーターが停止した場合も、高層庁舎に比べて庁内移動への影響を抑えられます。設備面でも、高層化に伴うエレベーターや電気、給水設備などの負担を抑えられ、工期も18階案より約1カ月短くなる見込みです。一方、大きなフロアは中央部まで自然光が届きにくいため、採光や執務環境の確保が今後の設計課題となります。
今回の13階案は、単に高さを抑えた案ではありません。ランドマーク性より、行政機能の使いやすさ、防災性、長期的なコストを優先した大床面積型庁舎という位置付けです。
南側には広場を整備 平時の交流と災害対応を両立

出典:兵庫県
新庁舎の南側には、県民が利用できる広場を整備する方針です。兵庫県は基本構想の段階から、新庁舎前面に平常時の交流や滞在に使える空間を設ける一方、災害時には必要な活動スペースとして活用する考えを示しています。現在の芝生広場や県民オアシスなど、県庁敷地内に残る緑も再整備へ生かします。行政、防災、交流、緑地を一体的に配置することが、新しい県庁エリアの大きな特徴となります。県庁建て替えを「モトキタ」再生につなげる

出典:兵庫県
兵庫県はJR元町駅北側を「モトキタエリア」と位置付け、新庁舎、県公館、2号館跡地、旧県民会館跡地などを一体的に再編します。基本構想では、新庁舎・県民交流機能の整備と、モトキタのにぎわい創出をプロジェクトの二本柱に位置付けています。元町駅から県庁、県公館、相楽園、諏訪山方面への回遊性を高めるとともに、周辺敷地には民間活力を導入します。想定されているのは、食や文化、ライフスタイル系施設、カフェなど、地域の滞在価値を高める機能です。具体的な用途や事業者は今後決定します。
旧計画では庁舎への複合機能導入も検討されましたが、現在は新庁舎を行政・防災機能に重点化し、にぎわいは周辺敷地の民間活用へ広げる方向へ整理されています。県庁建て替えを単独の公共施設更新ではなく、元町駅北側一帯の都市再生につなげる計画です。
整備費約650億円、関連経費を含めると約810億円
2025年12月策定の基本構想では、新庁舎等の整備費を約650億円と試算しています。| 項目 | 概算 |
|---|---|
| 設計・監理など | 約25億円 |
| 建設・外構工事 | 約535億円 |
| 1・2号館、旧県民会館などの解体 | 約90億円 |
| 新庁舎等整備費 | 約650億円 |
約650億円の庁舎整備費については、国庫補助金や有利な地方債などによる約90億円の効果を見込み、県の実質負担を約560億円と試算しています。ただし、これは現時点の概算です。資材価格や人件費の変動によって増減する可能性があり、今後の基本計画・設計段階で精査されます。
2026年度末に基本計画、2030年代前半の完成へ

出典:兵庫県
今後は2026年秋を目途に基本計画の中間報告をまとめ、2026年度末に基本計画を策定します。2027年度に基本設計、2028年度以降に実施設計・工事へ進み、2030年代前半の完成を目指します。基本計画策定支援は昭和設計・NTTファシリティーズ設計共同体が担当します。契約額は7,260万円です。一方、耐震性に課題がある1・2号館からの暫定移転も進んでいます。総務部や企画部、財務部などは3号館へ、土木部などは生田庁舎へ順次移転し、新庁舎完成まで分散配置で業務を続けます。
今回示された13階案から見えてくるのは、庁舎そのものは機能性と防災性を重視し、にぎわいは周辺へ広げるという再整備の方向性です。県庁の建て替えと「モトキタ」の都市再生を一体で進める計画が、建物の規模や配置という具体的な段階に入ってきました。
| 時期 | 主な動き |
|---|---|
| 2019年度 | 従来の県庁舎等再整備基本構想を策定 |
| 2022年 | 社会経済情勢の変化を受け再整備事業を一旦凍結 |
| 2025年12月 | 新庁舎等整備プロジェクト基本構想を策定 |
| 2026年3月 | 基本計画策定支援事業者を決定 |
| 2026年6月 | 第1回専門者会議 |
| 2026年9月1日 | 13階・約60mのA案をベースに検討する方針を提示 |
| 2026年秋 | 基本計画の中間報告 |
| 2026年度末 | 基本計画策定 |
| 2027年度 | 基本設計 |
| 2028年度以降 | 実施設計・工事 |
| 2030年代前半 | 完成予定 |
出典・参考資料
- 兵庫県「新庁舎等整備プロジェクト基本計画検討専門者会議(令和8年度)」2026年9月1日 兵庫県公式ページ
- 兵庫県「新庁舎等整備プロジェクト基本構想の策定(令和7年度)」2025年12月18日 兵庫県公式ページ
- 兵庫県「新庁舎等整備プロジェクト基本構想」全体版 兵庫県公式PDF
- 兵庫県「『兵庫県新庁舎等整備プロジェクト基本計画』の策定支援事業者が決定」2026年3月31日 兵庫県公式ページ
- 兵庫県「暫定的な本庁舎の再編(令和7年度~)」 兵庫県公式ページ
- 神戸経済ニュース「兵庫県、新庁舎13階建てを軸に検討 整備コスト抑制・既存の高木は活用へ」2026年9月2日 記事ページ
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