大阪・夢洲第2期、約42haの売却予定価格は921億円 2027年2月に事業者選定へ、万博跡地開発の現在地



大阪市は2026年9月14日、大阪・関西万博跡地にあたる夢洲第2期区域の民間開発用地について、売却予定価格を921億1,300万円と公表しました。対象は約42haで、2027年2月に開発事業予定者を選定する予定です。土地取得に必要な最低提示額が明らかになり、応募者が開発規模や資金計画を具体化するための条件が示されました。

土地代に加え、建設・地盤対策を織り込む事業提案へ


項目 内容
売却対象面積 420,062.03㎡(約42ha)
別途貸付面積 4,011.75㎡(約0.4ha)
用途地域等 商業地域・国際観光地区
建ぺい率/指定容積率 80%/400%
今回の予定価格は、土地購入提案の下限であり、施設建設費などを含む総事業費ではありません。選定は二段階方式で、まず計画内容が一定の基準を満たすかを審査し、通過した応募者の中から、予定価格以上の最高額を提示した者を選びます。土地価格だけで決まる公募ではなく、まちづくりの内容と事業の実現性が前提となります。

必要な液状化・地盤沈下対策は事業者側の負担です。応募者には、資金調達先を含む資金計画、総事業費の内訳、物価・賃金の変動を見込んだ収支計画、継続的に事業を運営する体制の提示が求められています。

約50haの開発は、三つの手続きで進行



第2期区域は全体で約50haありますが、今回の土地売却公募に、記念公園ゾーンと大阪ヘルスケアパビリオン跡地活用ゾーンは含まれていません。主な事業の進捗は次の通りです。
対象区域 2026年9月時点の進捗
主な民間開発区域 開発事業者を公募中。9月14日に土地売却予定価格を公表
記念公園ゾーン・約2.9ha 9月11日、電通・電通ライブ・日建設計共同企業体を計画策定業務の優先交渉権者として公表
ヘルスケア館跡地・約1.5ha 公募に提案がなく、9月9日に市場調査を公表。事業条件を再検討
※面積は各公募等の対象範囲によるもので、各区域の単純合計が第2期全体の面積を示すものではありません。

記念公園は、保存施設と活用計画を具体化



記念公園で選定されたのは、公園の建設・長期運営ではなく、事業構想と基本計画を策定する業務です。大屋根リングの一部保存、記念館、公園の整備に加え、行事・催事の計画をまとめ、万博の記録や成果を継承する空間の具体像を描きます。

大屋根リングについては、初期改修の基本設計と維持管理計画の策定も別途進められています。公園全体の利用計画と、保存する構造物の改修・管理を並行して検討する段階です。

ヘルスケア館跡地は、保存と採算の両立を再検討



ヘルスケア館跡地の当初公募では、建物の一部を活用した医療・ライフサイエンス関連事業と、ホテル、オフィス、商業施設などの一体的な運営を求めていました。今回の市場調査では、事業内容に加え、建物の扱い、土地・建物の処分方法、契約条件、開発工程、収支計画まで幅広く意見を募ります。

大阪府の吉村洋文知事は、関心を示していた事業者から、検討期間の短さ、建設費上昇による収支予測の難しさ、建物を改変できる範囲の明確化を求める意見があったと説明しています。建物の一部を万博のレガシーとして活用する方針は維持しつつ、民間事業として成立する条件を探ることになります。

これまでの経緯―民間構想を公募条件へ



府市は、民間から寄せられた構想をもとにマスタープランを策定し、万博レガシーの扱いなどを反映しながら改定を重ねてきました。
時期 主な動き
2024年9月9日 マスタープラン策定に向けた民間提案募集を開始
2025年1月9日 大林組、関電不動産開発をそれぞれ代表とする2グループの優秀提案を選定
2025年4月11日 マスタープランVer.1.0を策定
2025年10月20日 Ver.2.0を策定
2026年6月19日 Ver.3.0を策定
2026年7月3日 主な民間開発区域の事業者募集を開始
2026年7月15日 ヘルスケア館跡地の公募に提案がなかったと公表
2026年9月9日・11日 ヘルスケア館跡地の市場調査、記念公園の計画策定業務の選定結果を順次公表
2026年9月14日 民間開発用地の売却予定価格を公表=今回の更新
2025年の優秀提案は、開発事業者の決定ではなく、マスタープラン作成の参考となる構想を評価したものです。大林組側は大型アリーナ、モータースポーツ関連施設、ホテルなどを、関電不動産開発側はウォーターパークを中心とする複合リゾートや商業機能などを提案していました。実際に整備する施設の構成や運営主体は、今回の公募を通じて具体化する段階です。

今後の工程―事業者選定と開業は別の節目


時期 主な予定
2026年9月16~18日 ヘルスケア館跡地の現地見学会
2026年11月 同跡地の市場調査:2~5日に提案受付、中旬に対話、下旬に結果公表
2026年12月 民間開発公募:7日に質疑受付終了、21日に回答の最終更新
2027年1月8日まで 民間開発の参加資格審査書類を受付
2027年1月12~15日 提案審査書類を受付
2027年2月 上旬に計画審査、17日に価格審査。開発事業予定者を選定へ
2027年3月31日 原則として土地売買契約締結の申込期限・基本協定締結期限
2027年9月30日まで 記念公園の事業構想・基本計画策定等業務の契約期間
2028年3月1日 約42haの売却対象地を引き渡し予定
2030年春頃以降 夢洲駅南西出入口工事に使用する約0.4haの貸付地を引き渡し予定
土地引き渡しから原則3年以内 工事着工。段階開発の場合は最初の開発に適用
第2期区域全体の開業時期 未確定
土地売買契約の申込期限は、市が認めた場合、最長2031年2月28日まで猶予できます。2027年9月1日以降の買受申込みには価格の再検証があり、猶予時は基本協定の締結時期も別扱いとなります。事業者選定後にも、調査・検討と契約手続きが残る仕組みです。

また、「引き渡しから原則3年以内」は着工の条件であり、完成・開業の期限ではありません。隣接する大阪IRが予定する2030年秋の開業とも、工程は分かれています。



今後の焦点は、土地の売却額に加え、投資規模、施設構成、開発順序、運営体制を組み合わせた事業計画です。段階開発も認める公募条件を踏まえると、何を建てるかだけでなく、どの施設から開業し、集客と収益をどう積み上げるかが具体化の鍵になります。

夢洲第2期は、万博跡地の将来像を描く「構想」の段階から、巨額の土地取得と投資を伴う実行段階への入口に差しかかりました。次の大きな節目となる2027年2月の事業者選定で、約42haを担う開発主体と具体的な事業計画がどこまで明らかになるかが注目されます。




出典・参考資料

※各計画、事業内容、スケジュールは2026年9月14日時点の公表資料を基にしています。

Visited 1,248 times, 1,248 visit(s) today