大阪・鶴浜緑地4.2haの大規模再編が正式決定!野球・サッカー・スケボー・BBQを集約、11月から30年間のPPP事業へ



大阪市は2026年10月5日、大正区鶴町の「鶴浜緑地」について、民間事業者が申請していた港湾環境整備計画を認定しました。

対象となるのは約4.2ha。野球場、人工芝サッカーコート、屋内人工芝パーク、スケートボードなどのアーバンスポーツ、BBQ、多目的イベント広場を組み合わせ、「防災×スポーツ×緑地公園」を掲げる複合型のウォーターフロント拠点へ再編します。

事業期間は2026年11月1日から2056年10月31日までの30年間。長期間整備が止まっていた大阪湾岸の防災緑地が、「みなと緑地PPP」を活用した民間主導の再生事業として動き始めます。

約4.2haを30年間運営、鶴浜緑地再編の概要


項目 内容
所在地 大阪市大正区鶴町3丁目
貸付面積 42,260.54㎡
鶴浜緑地全体 約5.2ha
コンセプト フェーズフリー型地域拠点「防災×スポーツ×緑地公園」
運営事業者 シティビルド株式会社
選定グループ スチールエンジグループ
構成 代表:シティビルド、構成員:ミウロゼ
事業方式 みなと緑地PPP
事業期間 2026年11月1日~2056年10月31日
月額賃料 45万円(最低予定価格22.9万円)
現運動場 2026年10月31日で廃止
新施設の供用開始 現時点では未公表
2026年5月にスチールエンジグループが事業予定者に選ばれ、その後、国土交通大臣との協議や公衆縦覧を経て今回の認定に至りました。

スポーツ、レジャー、公園を一体化



今回の再編は、既存グラウンドの単純な更新ではありません。複数のスポーツに加え、飲食やイベント、公園機能を組み合わせ、日常的に人が滞在する複合型緑地への転換を図ります。
分野 主な計画
野球 野球場、スポーツ教室
サッカー 人工芝サッカーコート
屋内スポーツ 屋内人工芝パーク
アーバンスポーツ スケートボード、バスケットボールなど
レジャー BBQ、キッチンカー
イベント 多目的イベント広場
公園 緑地、休憩スペース
共用施設 管理棟、更衣室、駐車場、トイレ、照明
大阪市は選定時の講評で、従来の港湾緑地には少なかったバスケットボールやスケートボードを含む、多様なスポーツ機能を組み合わせた提案を評価しています。

スポーツ施設単体では利用時間や利用者層が限定されやすい一方、BBQやイベント、公園機能を加えることで、競技をしない来園者にも利用目的を広げる計画です。

背景には「約4haが長期間未供用」という課題

鶴浜緑地は、2006年の大阪港港湾計画で防災緑地として位置付けられました。

2013年に約1.2haが部分供用され、2015年には護岸の一部が魚釣り区域として開放されましたが、財政上の制約から2017年度に整備が休止。約5.2haある緑地の大部分が未供用のまま残されてきました。
年 主な動き
2006年 大阪港港湾計画で防災緑地に位置付け
2013年 約1.2haを部分供用
2015年 護岸約50mを魚釣り区域として開放
2017年度 整備事業を休止
2024年 民間活用に向けた市場調査を実施
2026年1月 PPP事業者を公募
2026年5月 スチールエンジグループを選定
2026年10月5日 港湾環境整備計画を認定
2026年11月1日 30年間の事業期間開始
既存の多目的グラウンドも、平日の利用率が**1.4%にとどまる一方、休日・祝日は68.7%**に達しており、利用が特定日に偏っていました。

限られた競技用途だけでなく、飲食やレジャー、公園利用まで用途を広げる今回の再編は、こうした土地利用の偏りを見直す意味も持っています。

民間の収益を公共空間へ戻す「みなと緑地PPP」



事業を成立させる仕組みが、2022年の港湾法改正で創設された「みなと緑地PPP」です。民間事業者に港湾緑地を長期間貸し付け、飲食、スポーツ、レジャーなどの収益事業を展開。その収益を緑地や公共施設の整備、維持管理へ還元します。

鶴浜緑地では、行政が整備費を全面的に負担するのではなく、民間事業として成立する機能と公共空間の整備を一体化させます。2024年に行われたマーケットサウンディングでも、硬式野球、フットボール、アーバンスポーツ、BBQ・カフェ、ドッグランなどを組み合わせた長期運営案が示されていました。今回の計画は、そうした民間提案を具体的な事業として実装するものです。

「防災緑地」を日常から使うフェーズフリー型へ

鶴浜緑地はもともと防災機能を担う場所です。その役割を維持しながら、平常時にも積極的に利用するのが今回の計画の特徴です。
平常時 災害時
野球場 臨時ヘリポート
屋内人工芝パーク 支援部隊の活動拠点
管理棟 災害対応拠点
緑地・広場 一時避難場所、復旧支援スペース
災害時だけ使う空間を確保するのではなく、普段からスポーツやレジャーで使われている施設を非常時にも転用する「フェーズフリー」の考え方です。

港湾部の公共空間に日常的な賑わいを生みながら、防災機能を維持するという二つの役割を重ね合わせます。

次の焦点は整備工程

今回の認定によって30年間の事業実施は正式に決まりましたが、2026年11月1日に各施設がオープンするわけではありません。

11月1日は民間事業者による事業期間の開始日です。現在の鶴浜緑地運動場は10月31日で廃止されますが、新しい野球場やサッカーコート、BBQ施設などの工事工程や供用開始時期は、現時点では明らかにされていません。

また、事業者選定時には大阪市から、交通渋滞や騒音への対策、想定稼働率と収支計画の精査、24時間利用できる区域の明確化なども求められています。

スポーツ、BBQ、イベントと利用目的が広がれば、来場者数と自動車交通も従来とは変わります。今後は施設配置や整備スケジュールに加え、駐車場や周辺道路を含めた交通計画も重要な確認項目となります。

長期間止まっていた港湾緑地が、民間活用で再び動き出す



鶴浜緑地の再編は、スポーツ施設を新設するだけの事業ではなく、財政上の制約から長期間整備が進まなかった港湾緑地に、民間の事業性を導入し、公共空間としての整備と継続的な維持管理を両立させる取り組みです。

30年間という長期運営の中で、どのような施設が、どの順番で整備され、地域の日常利用と防災機能を両立していくのか。大阪湾岸に残されてきた大規模な未利用空間が、新たな地域拠点へ転換するプロジェクトが具体化しました。




出典

  • 大阪市「鶴浜緑地の魅力創造・管理運営事業に係る港湾環境整備計画を認定しました」(2026年10月5日)
  • 大阪市「『鶴浜緑地の魅力創造・管理運営事業』に係る事業予定者の選定結果について」(2026年5月28日)
  • 大阪市「鶴浜緑地の魅力創造・管理運営事業に係る運営事業者を公募型プロポーザル方式により募集します」
  • 大阪市「鶴浜地区の活用に関する住民説明会」資料
  • 大阪市「官民連携による港湾緑地の魅力向上に向けたマーケットサウンディング(市場調査)の実施結果について」
  • 大阪市「運動場(大阪港湾局所管)」

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