
阪急1300系電車 (2代)電車は、2014年3月30日から営業運転を開始した阪急京都線向けの通勤型電車です。同年7月9日から大阪市営地下鉄堺筋線への乗り入れを開始しました。阪急1300系電車は、阪急電鉄が2013年より製造を開始した、神戸線・宝塚線向けの1000系と共通の設計思想を持ち、開発コンセプトは、9000系・9300系の開発コンセプトである「すべてのお客様に快適な移動空間」を継承しながら「さらなる環境性能の向上」を新たなコンセプトとしています。

種別表示、行き先表示共に高精細フルカラーLEDが採用され、従来の幕方式と同様のフォントが再現されている
デザインは、マルーンとアイボリーを組み合わせた車体色、木目調の化粧板、ゴールデンオリーブ色の座席など伝統的な「阪急車両」の特徴を踏襲しながらも、前照灯を一体的に見せ、標識灯下部を前面ガラス上部のカーブの曲率と同率とすることで、スマートで新しさを感じるデザインとなっています。

1000系は増結を前提としていないので、正面貫通扉を囲っていた銀色の幌枠と幌を固定するフック、隣の車両への渡り板が廃され、電気連結器も装備してません。 9000系(9300系)で採用されていた屋上機器カバーや2連窓を廃したことで、外観はより従来の車両に近似したものとなりました。


窓まわりの様子です。こちらも9000系、9300系で採用された2連窓を廃したことで在来車のイメージに近い感じになりました。側面の種別・行き先表示器は高精細フルカラーLEDが採用され、阪急フォントが再現されています。

準急:天下茶屋行きの表示例です。


車内の様子です。基本的には以前ご紹介した阪急1000系(2代)と同様のインテリアデザインとなっています。

インテリアデザインは、阪急電車の伝統を踏襲し、マホガニー木目の化粧板とゴールデンオリーブ色のシートなど一目で阪急電車と解る内装となっています。

座席は、ロングシート配置で座席1人あたりの幅は約480mm。ドアー間の座席定員は3人+2人+3人となっています。中間仕切りを設けることで座席定員を明確にしていますが、くぼみのあるバケットシートではありません。また、シート中間部に最近みられるスタンションポールは未設置となっており、非常にスッキリした印象です。

シートのアップです。ゴールデンオリーブ色のアンゴラヤギの毛織物の座席表地は健在です。座り心地、生地の触り心地は最高です。

袖仕切りの様子です。阪急電鉄の車両で初めて座席端部に大型の袖仕切りが採用され、スタンションポールも設置されました。袖仕切りの内側はマットなプラスチック素材となっています。

袖仕切りの外側は、乗降ドアーと同系色の濃い目のマホガニー木目の化粧板が貼られています。

スタンションポールと袖仕切りを真正面から見た様子です。これらのアイテムがなるべく目立たないように工夫されている様に見えました。

車両妻面付近の様子です。

乗降ドアーの様子です。

乗降ドアーの左右にある手摺りの様子です。手摺のデザイン1つ見ても阪急のコダワリが見え隠れしています。

乗降ドアー上部にある、開閉警告灯の様子です。

車内案内表示装置の様子です。東芝製の32インチハーフサイズのフルハイビジョン対応の大型液晶ディスプレイが採用され、1両に3か所側扉上に千鳥配置で設置されています。表示内容は、行先、種別、停車駅案内のほか、画面を2分割しニュースや天気予報、広告の動画を表示する事も可能です。

旅客案内はインバウンド対応として4か国語で表示し、日本語(漢字・ひらがな)、英語、中国語、韓国語での表示を行っています。

天井付近の様子です。照明はユニット式LED照明が採用され、非常にフラットな印象です。また照明器具は蛍光灯グローブの様な見た目になっています。

吊り手の様子です。丸型でレール方向に配置されています。

優先座席付近の様子です。モケットの色が赤色になっています。

優先座席の様子です。赤色のモケットは近鉄の様な感じがしますね。

車いす、ベビーカースペース付近の様子です。

運転台の様子です。運転台は9000系とは形状が異なり、8000系、7000系の運転台の形状に近いです。速度計は9000系以前と同様でデジタル式となっています。中央に速度計・圧力計があり、左側にはモニターが配されています。右側にはATS表示器があり、右にはスタフを置くスペース。モニターでは、車両情報や故障情報、駅間消費電力の表示、種別・行先表示装置や車内案内情報装置、空調の設定が行えます。ハンドルはワンハンドルで力行5段、ブレーキ6段、非常ブレーキとなっています。ハンドルには在来のワンハンドル車同様、デッドマン装置が装備され、運転士が急病などの際に握れなくなった場合に非常ブレーキが作動します。

阪急京都線の最先端通勤型車両「1300系」。阪急の伝統を守りつつ、大量増備を見据えたコストダウンを図ったこれからの阪急の標準車といった所でしょうか。コストダウンされていると言ってもチープさはあまり感じず、阪急テイストを現在のデザイントレンドで上手く纏めた感じですね。車内では32インチハーフサイズの超横長のワイド液晶などは見た目で圧倒されます。JR西日本の最新鋭車両323系とは全く異なったアプローチで設計思想も異なった車両ですが、双方とも甲乙付けがたいハイレベルな車両だと思いました。

