
近鉄8600系は、同社の通勤形電車8000系の系列の1つです。8000系の系列には8400系電車、8600系電車、8800系電車があります。1964年に奈良線の建築限界拡幅工事と新生駒トンネル経由の新線への切り替えにより、奈良線全線で20m級車両の運転が可能となったことから、それまで奈良線で使用されていた15m級・18m級車両を置き換えるため製造された車体長20m・側面両開き4扉の一般電車です。4系列を合わせた広義の8000系の製造両数は355両に達する一大勢力となりました。今回ご紹介する8600系は、8400系をベースに登場時から冷房装置を取り付けた車両で、1973年から1979年にかけて4両編成20本、6両編成1本の計86両が製造されました。

近鉄8600系は登場から40年以上が経過している古参の車両ですが、内装デザインが大幅に変更された編成があります。

こちらが大幅にデザインが変更された内装の様子です。従来赤色系だったシートモケットはグレーをベースに黒のアクセントカラーを配したものの変更されました。まだ床面もグラデーションの入った配色にドット模様があしらわれたデザインに変更されています。

さらにロングシートの中間部分にはスタンションポールが設置されました。スタンションポールは梨地の素材で少しザラザラした感触となっています。

地上区間を走行中にの8600系リニューアル車の様子です。なんだか近鉄じゃない様な雰囲気ですね。

モケットカラーが変更されたロングシートの様子です。

モケットのデザインは近くて見ると凝った模様が描かれています。手触りも昔のツルツルではなく、最近のマットな感じの手触りでした。

車内にアクセントを添えるのが乗降ドアーの化粧板。黒色に見えますが、黒色に近い木目調になっています。

乗降ドアーのアップです。黒色木目調の化粧板は高級感があります。床面には滑り止めを兼ねた警戒色の床材が配置されています。鴨居部分ですがLEDやLCDといった情報案内装置は未設置となっています。

乗降ドアーの床面をアップで見た様子です。

優先座席はオレンジ色のモケットで明確に区分けされました。

JR西日本もビックリの強アピール座席です。つり革もオレンジ色、しかも三角形で枕木方向に設置されています。

天井付近の様子です。こちらは特に目立った点はありませんでした。

車両妻面の化粧板も高級感のある模様に変更されており、乗降ドアーと合わせて、車内空間にアクセントを添えています。

特にアナウンスが無いまま、内装デザインが大幅に変更された8600系。このグレーのモケットに交換された車両はジワジワ増えていますが、床材やドアーの化粧板、スタンションポールの設置などは、今のところ大々的に横展開する様な雰囲気ではないようです。もしかすると近鉄は次世代一般車の内装デザインを試行錯誤しており、このリニューアル車はそのテストケースなのかもしれませんね。

