
清水建設は2026年7月21日、横浜市の旧上瀬谷通信施設跡地で開催される「GREEN×EXPO 2027」に出展する自社施設「シミズ 森のまち」の起工式を行いました。2027年3月の完成を予定しています。
最大の特徴は、2025年大阪・関西万博の大屋根リングに使われた木材を、施設を覆う木造フレームとして再利用することです。大阪で多くの来場者を包んだ構造材が横浜へ引き継がれ、子どもたちが自然や資源循環について学ぶ空間に生まれ変わります。
旧上瀬谷通信施設跡地に約1,600㎡の体験学習施設

「シミズ 森のまち」は、GREEN×EXPO 2027の子ども向け体験学習エリア「Kids Village」の一画に整備されます。
建設地は、2015年に米軍から返還された旧上瀬谷通信施設跡地です。横浜市旭区と瀬谷区にまたがる会場では、2027年3月19日から9月26日まで国際園芸博覧会が開催されます。施設の敷地面積は約1,600㎡。清水建設が設計・施工を手がけ、草地を活用したワークショップなど、自然や建設、エネルギー、資源循環を体験しながら学べる屋外型プログラムを展開します。
大屋根リングの木材約150㎥を再利用

敷地を覆う傘状の木造フレームには、大阪・関西万博の大屋根リングで使用された大径木材約150㎥を再利用します。施設で使用する木材全体の約7割に当たります。解体した万博施設の木材は、家具や記念品などへ加工される例が少なくありません。今回の計画では、大屋根リングの構造材を再び建築の骨格として活用します。建物をそのまま保存するのではなく、材料を別の場所へ移し、新たな役割を与える。大阪・関西万博のレガシーを、次の建築へつなぐ取り組みです。
大屋根リングの記憶を受け継ぐ木造空間

「シミズ 森のまち」では、複数の傘状木造フレームが敷地全体を覆います。
壁と屋根で閉じた展示施設ではなく、木漏れ日が差し込み、風が通り抜ける半屋外空間とします。木陰と通風を確保することで、自然を感じながら過ごせる環境をつくります。
大径木材を反復させて広い空間を包み込む構成は、大阪・関西万博の大屋根リングを思い起こさせます。大屋根リングの記憶を受け継ぐ、大胆な構造体は見応えがありそうです。木造フレームは、資源の再利用を視覚的に伝えるだけでなく、強い日差しを和らげ、夏場の屋外活動を支える環境装置としても機能します。
水素エネルギーを学ぶ展示も導入
敷地内には、清水建設が開発した水素エネルギー利用システム「Hydro Q-BiC Lite」の展示施設も設けられます。水素をつくり、ため、運び、エネルギーとして使うまでの仕組みを、子どもにも分かりやすく紹介します。清水建設は、建設段階におけるCO₂排出量ゼロを目指すとともに、花博閉幕後には使用資材を100%循環利用する方針です。具体的な削減方法や閉幕後の木材の再利用先は、今後明らかになる見通しです。
大阪と横浜、二つの万博をつなぐ
起工式には、清水建設の井上和幸代表取締役会長、新村達也社長、2027年国際園芸博覧会協会の河村正人事務総長兼代表理事ら約30人が出席しました。新村社長は、大阪・関西万博のレガシーを継承し、木が生み出す空間と資源循環をコンセプトとした施設を建設すると説明しました。大阪・関西万博で来場者を日差しや雨から守った木材は、横浜では子どもたちが自然や循環型社会を学ぶ場をつくります。資材の100%循環利用まで実現すれば、「シミズ 森のまち」は二つの万博を結ぶだけでなく、解体と再利用を前提に建築をつくる循環型建設の実証例となりそうです。
出典
清水建設「2027年国際園芸博覧会出展施設『シミズ 森のまち』関連資料」公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会 公表資料
日刊建設工業新聞「清水建設/花博出展施設が起工/万博大屋根リングの木材再利用」
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