枚方市駅南側の再整備が本格化!新庁舎は4案を比較検討、住宅・商業・公園を含む駅前再編の方向性を探る



大阪府枚方市が進める枚方市駅周辺再整備が、新たな段階に入りました。

この計画は、京阪・枚方市駅周辺を複数の街区に分け、老朽化した市役所を含む公共施設や広場、住宅、商業施設などを再配置し、駅前全体を段階的に再構築するものです。

駅北側では、商業・オフィス・ホテルなどで構成する「ステーションヒル枚方」を中心とした③街区の再開発が先行して完成しました。今後の焦点は、現在の市役所や旧市民会館跡地などがある駅南側の④・⑤街区へ移ります。

その中心にあるのが、新しい枚方市役所をどこに配置するかという問題です。枚方市は2026年9月、新庁舎について④街区内の3案と⑤街区案を合わせた計4案を比較検討していることを公表しました。

同時に行われた民間事業者へのヒアリングでは、駅南側の民間開発について、住宅を事業の軸とし、低層部に生活利便型の商業施設を組み合わせる方向が現実的との市場評価も示されています。

今回の動きを整理すると、次のようになります。

項目 内容
何の計画か 枚方市駅南側の④・⑤街区を再編するまちづくり
主な目的 新庁舎、公園・広場、住宅、商業などを再配置し駅前を再構築
今回の動き 新庁舎を ④街区3案 + ⑤街区案 の計4案で比較
市場評価 大型商業単独より住宅+生活利便型商業が現実的
現在地 庁舎位置は未決定
今後 事業費・工程・実現性を比較し、庁舎位置と土地利用を絞り込む

枚方市駅周辺再整備とは?



枚方市駅周辺では、市役所をはじめとする公共施設の老朽化に加え、駅前空間の更新が長年の課題となってきました。市は、駅周辺を複数の街区に分け、民間開発と公共施設再編を組み合わせながら段階的な再整備を進めています。

先行したのが駅北側の③街区でした。ステーションヒル枚方の開業によって、商業、業務、宿泊などの都市機能が更新され、駅前の景観も大きく変わりました。

これに対し駅南側には、現在の市役所、旧市民会館跡地、駐車場など比較的大きな市有地が残されています。次のテーマは、この④・⑤街区に新庁舎、公園・広場、住宅、商業などをどのように配置するかです。

新庁舎の場所が駅南側全体の形を左右する



再整備の焦点は、市役所の建て替えだけではありません。新庁舎をどこに配置するかによって、残る市有地を公園や民間開発にどれだけ活用できるかが大きく変わります。つまり、庁舎位置の選択が駅南側全体の土地利用を左右する構造になっています。

⑤街区に新庁舎を建設すれば、駅に近い④街区を公園や住宅、商業などの用途へ比較的大きく振り向けられる可能性があります。

一方、④街区に配置すれば市役所への駅からのアクセスは良くなりますが、民間開発や公共空間に使える土地の配置条件は変わります。

新庁舎の位置決定は、行政施設の立地だけではなく、枚方市駅南側をどのような街として再編するかを決める重要な選択となります。

⑤街区を軸とした計画から「4案比較」へ



新庁舎については、これまで⑤街区への移転を軸に検討が進められてきました。しかし、2022年9月には移転に必要となる市役所位置条例の改正案が市議会で否決され、その後、道路配置や④・⑤街区の土地利用などについて再検討が行われました。2025年3月にも条例改正案が提出されましたが、市議会での議論を受けて市が撤回しています。

こうした経緯を踏まえ、現在は⑤街区への移転を前提とせず、④街区を含めた複数案を比較する段階へ移っています。

2026年9月時点で示されている候補は、次の4案です。
新庁舎の配置 枚方市駅から
④街区① 市民会館跡地 徒歩約3分
④街区② 市役所現位置 徒歩約3分
④街区③ 来庁者駐車場等 徒歩約4分
⑤街区 ⑤街区 徒歩約6分
④街区案は、駅からの近さが大きな特徴です。一方、⑤街区案は現在の庁舎を使用しながら別の場所で新庁舎を整備できるため、工事期間中の行政機能を維持しやすいといった利点があります。

比較ではアクセスだけでなく、防災性、施工性、工事中の行政サービス、公園・広場との関係、民間開発との組み合わせなども検討対象となります。現時点で採用案は決まっていません。

民間事業者は「住宅+生活利便型商業」を評価

今回の検討でもう一つ重要なのが、④・⑤街区の民間開発に対する市場評価です。枚方市は、総合デベロッパー、住宅・商業デベロッパー、金融機関、シンクタンクなど計10者を対象にヒアリングを実施しました。主な評価は次のとおりです。
用途 市場側の見方
住宅 需要・事業性を見込みやすい
商業 住宅との複合化が現実的
スーパーなど 生活利便型施設には可能性
大型商業 単独での事業化は難しいとの見方
オフィス 市場ニーズは相対的に弱い
総合デベロッパーなどからは、住宅で事業採算を確保し、低層部にスーパー、ドラッグストア、飲食店などを組み合わせる複合開発が現実的との意見が示されました。

金融機関・シンクタンクからも、市場ニーズはおおむね 住宅 > 商業 > 業務 との評価となっています。駅南側に新たな大型ショッピングセンターを単独で整備するというより、住宅を核として日常利用型の商業機能を組み合わせる土地利用の方が、現在の市場環境には適しているとみられます。

市民ニーズでは「みどり」「にぎわい」への期待も

一方、市民アンケートでは、将来の枚方市駅周辺に求める機能として、行政機能に加えてみどりや広場、にぎわいへの期待が示されています。ショッピングモールや映画館、カフェ、飲食店などを求める意見もあり、市場側の事業性評価とは必ずしも一致していません。

今後は、公共空間として求められる機能と、民間事業として成立しやすい用途をどのように組み合わせるかが重要になります。現段階では、新庁舎+公園・広場+住宅+生活利便型商業という複合的な土地利用が、現実的な方向性の一つとして見えてきています。
市民側のニーズ 市場側の評価
みどり・広場 公共空間としての整備を検討
にぎわい 生活利便型商業は導入余地
大型商業・映画館への期待 大型商業単独は事業化が難しいとの見方
行政機能 新庁舎整備が計画の中核

計画の現在地

これまでの流れを時系列で整理すると、以下のとおりです。
時期 主な動き
2022年9月 ⑤街区への庁舎移転に必要な条例改正案を市議会が否決
2023~2024年度 道路配置、④・⑤街区の土地利用などを再検討
2025年3月 市役所位置条例改正案を提出するも撤回
2025~2026年度 議会、市民意見、市場性などを再検証
2026年6月 市民アンケートを実施
2026年夏 民間事業者10者に市場ヒアリング
2026年9月 ④街区3案+⑤街区案の4案比較を公表 ← 現在地
今後 事業費、工程、実現性などを比較
位置決定後 (仮称)枚方市新庁舎整備基本計画を策定
その後 設計、事業者選定、建設へ

次の焦点は「事業費」と「工程」

今後の大きな判断材料となるのが、4案それぞれの事業費と事業スケジュールです。駅からの距離だけでは庁舎位置は決まりません。建設費に加え、仮庁舎の必要性、工事期間、防災性、行政サービスへの影響、民間開発に使える土地の規模などを比較しながら、庁舎位置を絞り込むことになります。

庁舎の位置が固まれば、④・⑤街区の役割も大きく定まります。その後は「(仮称)枚方市新庁舎整備基本計画」を策定し、庁舎の規模や機能、整備手法などを具体化。設計、事業者選定、建設へと進む見通しです。

枚方市駅再整備は「北側完成」から「南側再編」へ



枚方市駅周辺では、北側の③街区でステーションヒル枚方が完成し、駅前再整備の第一段階が形になりました。今回のニュースのポイントは、長年議論されてきた新庁舎の位置について、⑤街区だけでなく④街区を含めた4案を改めて比較し、その結果を駅南側全体の再整備につなげる段階に入ったことです。

さらに民間事業者へのヒアリングからは、住宅を軸として生活利便型商業を組み合わせるという、市場面から見た土地利用の方向性も浮かび上がりました。

今後、各案の事業費や工程が具体化し、庁舎位置の絞り込みが進めば、新庁舎、公園・広場、住宅、商業で構成される枚方市駅南側の将来像が、より明確になってきそうです。




出典

  • 枚方市「枚方市駅周辺再整備の取組について(令和8年9月全員協議会)」
  • 枚方市「各土地利用の比較検討(案)」
  • 枚方市「市民アンケート結果(概要)」
  • 日刊建設工業新聞「枚方市駅周辺の再整備を検討」
  • 建通新聞「枚方市駅周辺民活導入ヒアリング結果」

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