阪急の利用者はコロナ前に戻ったのか?2025年駅別乗降客数ランキング全駅版、2019年・2022年と比較




阪急電鉄の駅利用者は、コロナ禍前の水準までどこまで戻ったのでしょうか?

阪急電鉄が公表した最新の2025年通年平均「駅別乗降人員」をもとに、全駅のランキングを作成しました。あわせて、コロナ禍からの回復途上にあった2022年、コロナ前の2019年を並べ、駅ごとの変化を比較します。

阪急は各駅の「乗降人員」を公表しているため、本稿では「乗車人員×2」の推計ではなく、公式の実乗降人員を使用しています。2025年・2022年は阪急電鉄公式値、2019年は阪急電鉄の公表資料と国土交通省「国土数値情報」を照合しました。

なお、2025年の阪急公式ランキングで順位が付いているのは86駅です。花隈駅は7,887人と公表されていますが順位は「―」、天神橋筋六丁目駅は集計対象外です。また、神戸三宮駅は同駅以西の神戸高速・神戸電鉄・山陽電鉄各駅発着を、川西能勢口駅は能勢電鉄線内発着を含みません。

阪急電鉄 駅別乗降客数ランキング【2025年・全駅】


順位 駅名 2025年 2022年 2019年 2019年比 2022年比
1 大阪梅田 467,738 402,947 512,887 -8.8% +16.1%
2 神戸三宮 100,697 89,189 105,849 -4.9% +12.9%
3 西宮北口 97,009 87,145 103,925 -6.7% +11.3%
4 烏丸 80,522 66,086 82,325 -2.2% +21.8%
5 京都河原町 71,257 58,113 78,595 -9.3% +22.6%
6 十三 69,414 57,979 68,706 +1.0% +19.7%
7 高槻市 57,538 50,262 57,928 -0.7% +14.5%
8 茨木市 54,471 49,009 57,191 -4.8% +11.1%
9 武庫之荘 46,970 42,433 49,963 -6.0% +10.7%
10 上新庄 44,395 40,351 47,593 -6.7% +10.0%
11 塚口 43,933 39,355 47,193 -6.9% +11.6%
12 豊中 43,227 39,769 47,483 -9.0% +8.7%
13 池田 41,787 37,312 46,169 -9.5% +12.0%
14 南茨木 40,892 34,856 40,604 +0.7% +17.3%
15 蛍池 40,568 34,222 41,690 -2.7% +18.5%
16 石橋阪大前 39,727 36,184 44,802 -11.3% +9.8%
17 川西能勢口 39,656 35,748 44,636 -11.2% +10.9%
18 西院 39,309 33,247 40,522 -3.0% +18.2%
19 淡路 38,939 35,332 36,866 +5.6% +10.2%
20 宝塚 38,862 36,795 45,315 -14.2% +5.6%
21 桂 38,757 35,998 45,103 -14.1% +7.7%
22 南方 35,537 30,280 36,578 -2.8% +17.4%
23 園田 28,985 25,991 30,496 -5.0% +11.5%
24 六甲 27,027 24,672 29,523 -8.5% +9.5%
25 岡本 26,009 23,603 28,105 -7.5% +10.2%
26 夙川 25,802 24,206 27,345 -5.6% +6.6%
27 庄内 25,710 23,363 28,243 -9.0% +10.0%
28 三国 24,944 22,159 25,449 -2.0% +12.6%
29 大宮 24,900 20,147 26,448 -5.9% +23.6%
30 関大前 24,655 21,673 26,826 -8.1% +13.8%
31 山田 23,628 20,623 23,858 -1.0% +14.6%
32 今津 23,627 21,380 24,632 -4.1% +10.5%
33 甲東園 23,003 21,953 26,007 -11.6% +4.8%
34 長岡天神 22,891 20,332 25,071 -8.7% +12.6%
35 北千里 22,451 21,200 25,323 -11.3% +5.9%
36 仁川 22,328 20,089 24,998 -10.7% +11.1%
37 服部天神 21,990 19,935 23,920 -8.1% +10.3%
38 曽根 21,923 20,081 24,131 -9.2% +9.2%
39 逆瀬川 21,397 20,632 24,500 -12.7% +3.7%
40 伊丹 21,035 19,149 23,072 -8.8% +9.8%
41 南千里 19,241 17,381 20,610 -6.6% +10.7%
42 門戸厄神 19,227 17,578 20,452 -6.0% +9.4%
43 神崎川 18,435 16,479 18,861 -2.3% +11.9%
44 西京極 17,067 14,598 18,233 -6.4% +16.9%
45 岡町 16,276 14,655 16,895 -3.7% +11.1%
46 王子公園 16,269 15,411 17,996 -9.6% +5.6%
47 富田 15,853 14,592 17,318 -8.5% +8.6%
48 山本 15,849 14,463 16,904 -6.2% +9.6%
49 千里山 15,793 14,514 16,237 -2.7% +8.8%
50 御影 15,460 14,537 16,748 -7.7% +6.3%
51 相川 15,372 14,745 16,200 -5.1% +4.3%
52 正雀 15,339 13,670 15,972 -4.0% +12.2%
53 吹田 14,764 13,287 15,022 -1.7% +11.1%
54 芦屋川 13,552 13,369 15,589 -13.1% +1.4%
55 西山天王山 13,345 11,294 12,333 +8.2% +18.2%
56 豊津 13,210 11,765 13,167 +0.3% +12.3%
57 総持寺 13,139 11,529 14,064 -6.6% +14.0%
58 小林 13,032 12,283 14,763 -11.7% +6.1%
59 洛西口 12,859 10,989 12,766 +0.7% +17.0%
60 東向日 11,829 10,739 13,261 -10.8% +10.1%
61 春日野道 11,782 9,544 10,812 +9.0% +23.4%
62 箕面 11,443 11,647 14,664 -22.0% -1.8%
63 苦楽園口 11,357 10,661 12,270 -7.4% +6.5%
64 摂津市 11,241 10,140 11,527 -2.5% +10.9%
65 中津 10,198 9,207 10,351 -1.5% +10.8%
66 宝塚南口 9,917 8,904 11,753 -15.6% +11.4%
67 西向日 9,706 8,838 10,315 -5.9% +9.8%
68 水無瀬 9,559 8,568 9,572 -0.1% +11.6%
69 甲陽園 9,460 8,606 9,858 -4.0% +9.9%
70 中山観音 9,353 9,128 11,350 -17.6% +2.5%
71 桜井 9,122 8,721 10,076 -9.5% +4.6%
72 雲雀丘花屋敷 8,920 8,381 9,771 -8.7% +6.4%
73 上牧 8,838 8,116 9,242 -4.4% +8.9%
74 嵐山 8,124 6,765 9,553 -15.0% +20.1%
―※ 花隈 7,887 6,687 7,121 +10.8% +17.9%
75 下新庄 7,884 6,996 8,148 -3.2% +12.7%
76 稲野 7,443 6,249 7,826 -4.9% +19.1%
77 上桂 7,355 6,648 7,983 -7.9% +10.6%
78 売布神社 7,322 6,866 8,297 -11.8% +6.6%
79 清荒神 7,124 6,612 8,245 -13.6% +7.7%
80 牧落 6,892 6,497 7,720 -10.7% +6.1%
81 新伊丹 6,830 5,998 6,864 -0.5% +13.9%
82 崇禅寺 5,727 5,263 5,828 -1.7% +8.8%
83 大山崎 5,670 5,069 6,028 -5.9% +11.9%
84 松尾大社 4,718 4,105 5,174 -8.8% +14.9%
85 柴島 4,671 3,883 4,602 +1.5% +20.3%
86 阪神国道 4,053 3,437 3,872 +4.7% +17.9%
単位:人/日。

※順位は阪急電鉄が公表する2025年通年平均の公式順位です。花隈駅は公式順位が「―」のため順位を付けず、乗降人員に応じた位置に掲載しました。
※2025年・2022年は阪急電鉄公式値。2019年は阪急電鉄の2019年度公表資料と国土交通省「国土数値情報」を照合しています。
※川西能勢口は、能勢電鉄線内発着を含まない阪急電鉄と同一条件の44,636人を採用しています。増減率は2025年値から再計算し、小数第1位で四捨五入しています。

2022年からはほぼ全面回復、2019年超えは9駅


全駅を比較すると、2022年と2019年では見え方が大きく異なります。2025年は、公式順位86駅のうち85駅が2022年を上回りました。コロナ禍で落ち込んだ利用者数は、阪急沿線のほぼ全体で増加しています。

一方、2019年を上回ったのは、十三、南茨木、淡路、西山天王山、豊津、洛西口、春日野道、柴島、阪神国道の9駅でした。順位対象外の花隈を加えると10駅です。

2025年の阪急は、2022年からは広く回復している一方、コロナ前の2019年にはまだ届いていない駅が多い状況です。この「2022年からの回復」と「2019年への回復」を分けて見ると、駅ごとの違いが分かりやすくなります。

大阪梅田は46.8万人、2022年から6.5万人増もコロナ前には4.5万人届かず

2025年の1位は大阪梅田駅の46万7,738人でした。2位の神戸三宮駅は10万697人、3位の西宮北口駅は9万7,009人で、大阪梅田が大きく抜けています。

3時点の推移は次の通りです。
比較年 1日平均乗降人員 2025年-比較年 増減率
2019年(コロナ前) 512,887人 -45,149人 -8.8%
2022年(回復途上) 402,947人 +64,791人 +16.1%
2025年(最新) 467,738人 ― ―
2022年から2025年までに、1日平均で6万4,791人増加しました。それでも2019年と比べると、なお4万5,149人少ない水準です。割合では2019年比-8.8%ですが、実数にすると毎日約4.5万人の差があります。阪急最大のターミナルでも、利用規模はコロナ前まで完全には戻っていません。

京都方面は2022年からの回復が目立つ

2022年からの伸び率では、京都方面の駅が上位に並びます。
駅 2019年 2022年 2025年 2019年比 2022年比
大宮 26,448 20,147 24,900 -5.9% +23.6%
京都河原町 78,595 58,113 71,257 -9.3% +22.6%
烏丸 82,325 66,086 80,522 -2.2% +21.8%
嵐山 9,553 6,765 8,124 -15.0% +20.1%
西院 40,522 33,247 39,309 -3.0% +18.2%
洛西口 12,766 10,989 12,859 +0.7% +17.0%
大宮、京都河原町、烏丸はいずれも2022年から2割を超えて増加しました。ただし2019年との比較では、烏丸が-2.2%まで戻った一方、京都河原町は-9.3%、嵐山は-15.0%。洛西口は逆に2019年を0.7%上回っています。2022年からの回復速度は速いものの、コロナ前への戻り方は駅ごとに異なっています。

郊外側は2022年から回復、それでも2019年との差が残る



郊外側の駅は、2019年比だけを見ると動きが分かりにくくなります。3時点の実数を並べると、2022年から利用者が増えている一方、2019年との間には数千人規模の差が残る駅が多くあります。
駅 2019年 2022年 2025年 2025年-2019年 2019年比 2025年-2022年
宝塚 45,315 36,795 38,862 -6,453 -14.2% +2,067
石橋阪大前 44,802 36,184 39,727 -5,075 -11.3% +3,543
川西能勢口 44,636 35,748 39,656 -4,980 -11.2% +3,908
逆瀬川 24,500 20,632 21,397 -3,103 -12.7% +765
甲東園 26,007 21,953 23,003 -3,004 -11.6% +1,050
北千里 25,323 21,200 22,451 -2,872 -11.3% +1,251
仁川 24,998 20,089 22,328 -2,670 -10.7% +2,239
小林 14,763 12,283 13,032 -1,731 -11.7% +749
※単位:人/日。

たとえば川西能勢口は、2022年の3万5,748人から2025年には3万9,656人へ3,908人増加しました。それでも2019年の4万4,636人には4,980人届いていません。

石橋阪大前も2022年から3,543人増えましたが、2019年との差は5,075人。宝塚も2,067人増加した一方、コロナ前との差は6,453人あります。

郊外側では利用者が減り続けているというより、2022年からは回復しながらも、2019年までの距離が比較的大きい駅が目立つ状況です。背景には、沿線人口、通勤・通学需要、働き方の変化、学校利用、他社線との競合など、複数の要因が重なっていると考えられます。

淡路は2019年比5.6%増

特徴的なのが淡路駅です。
年 1日平均乗降人員
2019年 36,866人
2022年 35,332人
2025年 38,939人
2019年から2025年までに2,073人増、5.6%増となりました。上位20駅の中で2019年を上回ったのは、十三、南茨木、淡路の3駅です。

淡路では2019年3月、おおさか東線の新大阪―放出間が開業し、近接するJR淡路駅が誕生しました。阪急京都線・千里線とJRを組み合わせた移動が可能となり、鉄道ネットワーク上の結節性が高まっています。

阪急淡路駅の増加をJR淡路駅開業だけで説明することはできませんが、2019年以降の利用動向を見るうえで、周辺交通ネットワークの変化は一つの背景になっています。

箕面は唯一、2022年比でも減少

一方、箕面駅は他駅とは異なる動きを見せています。
比較年 1日平均乗降人員 2025年-比較年 増減率
2019年 14,664人 -3,221人 -22.0%
2022年 11,647人 -204人 -1.8%
2025年 11,443人 ― ―
2019年比では22.0%減。さらに2022年からも204人減少しました。公式順位86駅の中で、2025年が2022年を下回ったのは箕面駅だけです。

箕面市では2024年3月23日、北大阪急行が千里中央から箕面萱野まで延伸し、箕面船場阪大前駅と箕面萱野駅が開業しました。これに合わせ、市内バス路線も箕面萱野駅を中心とする形へ再編されています。

北大阪急行の2025年11月交通調査では、箕面萱野駅の乗降客数は2万4,662人、箕面船場阪大前駅は1万5,969人でした。箕面駅の減少を北大阪急行延伸だけで説明することはできませんが、市内の鉄道・バスネットワークが大きく変化した時期と重なっています。箕面エリアでは、鉄道需要そのものの増減に加えて、利用する駅や大阪方面への移動ルートの変化も表れている可能性があります。

2025年のランキングから見える阪急の現在地



今回の全駅比較では、二つの数字が阪急の現在地を端的に示しています。2022年からは86駅中85駅で利用者が増加。一方、2019年を上回ったのは9駅だけでした。コロナ禍からの利用回復は阪急沿線のほぼ全体に広がっていますが、その戻り方は一様ではありません。

大阪梅田は2022年から1日約6.5万人増えながら、2019年には約4.5万人届いていません。京都方面では2022年から2割前後増えた駅が複数ある一方、宝塚線・今津線などでは2019年との差が1割前後残る駅もあります。その一方で、淡路のように2019年を上回る駅もあり、箕面では北大阪急行延伸後に利用動向が変化しています。

2025年のランキングから見えてくるのは、単純な「コロナ前に戻ったかどうか」だけではなく、阪急全体では利用者が着実に戻る一方、都心・観光地、郊外住宅地、交通結節点では、回復の速度や人の流れに違いが生まれている状況でした。




出典

  • 阪急電鉄「駅別乗降人員(2025年 通年平均)」
  • 阪急電鉄「駅別乗降人員(2022年 通年平均)」
  • 阪急電鉄「2019年度 移動等円滑化取組報告書(鉄道駅)」
  • 国土交通省「国土数値情報 駅別乗降客数データ」
  • JR西日本「おおさか東線」関連資料
  • 箕面市「北大阪急行電鉄南北線延伸線 開業関連資料」
  • 北大阪急行電鉄「各駅乗降客数」

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