出展:プロロジス
プロロジスと台湾の物流不動産大手Ally Logistic Property(ALP)は、京都府京田辺市で、日本初となる大規模マルチテナント型自動倉庫「OMEGA」を共同開発します。建設地は、すでに造成工事が進む「プロロジスパーク京田辺2」の開発用地です。約9万5,000㎡の敷地に高さ約40mの多層階物流施設を整備し、内部には数万パレット規模の高密度自動倉庫を導入します。2027年の着工、2030年頃の完成を予定しています。
日刊建設工業新聞によると、総投資額は800億~1,000億円に達する見通しです。
今回の計画で注目されるのは、規模の大きさだけではありません。これまで入居企業が個別に整備していた自動倉庫や搬送設備を、施設側が共用インフラとして用意し、複数企業が利用します。
物流施設を「建物を借りる場所」から、自動化された物流機能まで利用する場所へ変えるプロジェクトです。
プロロジスパーク京田辺2/OMEGA 計画概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 計画名称 | プロロジスパーク京田辺2/OMEGA |
| 所在地 | 京都府京田辺市松井宮田 |
| 開発 | プロロジス、Ally Logistic Property(ALP) |
| 敷地面積 | 約95,000㎡ |
| 建物 | 大規模多層階物流施設 |
| 高さ | 約40m |
| 自動倉庫 | 数万パレット規模 |
| 特徴 | 複数企業が共用する大規模自動倉庫 |
| 総投資額 | 800億~1,000億円と報道 |
| 共同事業会社 | 2027年初頭を目途に設立 |
| 着工 | 2027年予定 |
| 完成 | 2030年頃 |
| 位置付け | 国内初の大規模マルチテナント型自動倉庫 |
造成中だった「京田辺2」の用途が明らかに

今回のプロジェクトは、突然浮上したものではありません。淺沼組が公表した資料には、2025年5月受注の「プロロジスパーク京田辺2プロジェクト造成工事」が主要工事として記載されています。発注者はプロロジスで、造成工事は2026年11月の完成予定です。
これまで「京田辺2」という名称と造成工事の存在は確認できたものの、具体的な施設内容は明らかになっていませんでした。今回、プロロジスとALPの基本合意によって、この開発用地に日本第1号のOMEGAを整備することが判明しました。
| 時期 | 主な動き |
|---|---|
| 2025年5月 | 淺沼組が京田辺2の造成工事を受注 |
| 2025~2026年 | 開発用地を造成 |
| 2026年9月29日 | プロロジスとALPが基本合意 |
| 2026年9月30日 | 日本でのOMEGA展開を正式発表 |
| 2026年11月 | 造成工事完成予定 |
| 2027年初頭 | 共同事業会社設立予定 |
| 2027年 | 建物着工予定 |
| 2030年頃 | 竣工予定 |
当ブログでは、初代施設について2016年1月に近畿圏の大型物流開発の一つとして紹介しています。今回の京田辺2は、その後に進められてきた新たな大規模開発です。
大規模マルチテナント型自動倉庫「OMEGA」とは?

出展:https://www.alp.global/en OMEGA 1 Bukit Raja
OMEGAは、物流施設の内部に大規模な自動倉庫や搬送設備をあらかじめ組み込み、その機能を複数の入居企業が共同利用する物流施設です。一般的なマルチテナント型物流施設では、建物そのものはデベロッパーが整備しても、自動倉庫、搬送ロボット、制御システムなどは入居企業が自社の物量や業務フローに合わせて導入するケースが中心でした。
この方式では、設備投資額が大きく、設計から稼働開始まで時間もかかります。物量の増減に合わせて設備規模を変更することも容易ではありません。
OMEGAでは、施設側が高密度パレット型自動倉庫、AGV(無人搬送車)、倉庫管理システムなどを共用インフラとして整備し、複数のテナントが必要な分だけ利用します。
| 従来型物流施設 | OMEGA |
|---|---|
| 自動倉庫は入居企業が個別整備 | 施設側が共用設備として整備 |
| 原則として1社専用 | 複数企業で共用 |
| 大規模な初期投資が必要 | 設備を所有せず利用可能 |
| 導入まで時間がかかる | 入居後に自動化機能を利用可能 |
| 保守・運用も企業側が担う | 運営側が一体管理 |
| 物量変動への対応が難しい | 利用量を調整しやすい |

出展:https://www.alp.global/en OMEGA 1 Bukit Raja
OMEGAは単に「自動化された倉庫」ではなく、各企業が個別に保有していた自動倉庫を、電気や通信設備のように施設共通のインフラとして利用できる仕組みです。
出展:https://www.alp.global/en/gallery
入居企業にとっては、巨額の設備投資を抑えながら物流自動化を進めやすくなります。運営側にとっては、建物だけでなく、保管・搬送・システム・保守までを一体化したサービスを提供できるようになります。物流不動産のビジネスモデルを、単なるスペース賃貸から物流機能の提供へ広げる仕組みといえます。
台湾発のOMEGA、日本第1号が京田辺に

出展:https://www.alp.global/en/gallery
同開発するALPは2014年に台湾で創業し、物流不動産、自動化設備、ソフトウェア、施設運営を一体で展開しています。OMEGAはすでに台湾、シンガポール、マレーシア、タイの4カ国・地域で展開され、7棟、延床面積約80万㎡を運営・開発しています。日本では、プロロジスが土地開発、建設、テナント開拓などを担当し、ALPが自動化設備、ソフトウェア、施設運営のノウハウを提供します。両社は2027年初頭を目途に共同事業会社を設立し、日本市場に合わせた料金体系、設備運用、保守サービスなどを構築する方針です。
京田辺は、その日本第1号案件になります。
なぜ京田辺なのか 新名神×第二京阪の結節点

出展:プロロジス
京田辺が第1号に選ばれた背景には、関西圏でも有数の道路交通条件があります。既存の「プロロジスパーク京田辺」は、新名神高速道路の八幡京田辺JCT・IC、第二京阪道路の京田辺松井ICに近接しています。京都と大阪の中間に位置し、第二京阪道路を利用すれば大阪都市圏、新名神高速道路を使えば中部・中国方面への広域配送が可能です。京奈和自動車道方面にも接続しやすく、京都、大阪、奈良をまたぐ物流拠点として優れた立地条件を備えています。
京田辺市も、松井宮田など約19haを「京田辺松井インター東地区」と位置付け、新名神高速道路と第二京阪道路を生かした流通業務施設の立地を進めています。

出展:プロロジス「プロロジスパーク京田辺」
こうした道路網を背景に、この一帯では大型物流施設の集積が進んでいます。既存の「プロロジスパーク京田辺」は2018年11月に竣工。地上6階建て、延床面積約16.1万㎡の大型マルチテナント型物流施設です。
出展:CRE「ロジスクエア京田辺A・B」
さらにCREは「ロジスクエア京田辺A・B」を整備し、2棟合わせて延床面積約24.7万㎡の物流拠点を形成しました。当ブログでも2026年9月にB棟の竣工を紹介しています。そこへ最大1,000億円規模のOMEGAが加わります。
京田辺では、
高速道路ネットワークの整備
→ 大型物流施設の集積
→ 自動化・省人化への大型投資
最大1000億円投資が示す物流施設の変化

出展:https://www.alp.global/en/gallery
総投資額800億~1,000億円という規模は、大型物流施設としても目を引きます。OMEGAでは、
物流不動産 + 自動倉庫 + 搬送設備 + ソフトウェア + 運営・保守
物流デベロッパーの役割は、これまでの「土地を確保し、建物を建設して貸す」という領域から、倉庫内部の物流オペレーションまで広がります。

出展:https://www.alp.global/en/gallery
一方、入居企業は自動化設備を自前で抱える必要がなくなれば、初期投資を抑えながら省人化や保管効率の向上を進めやすくなります。物流業界では人手不足や人件費上昇が続いており、今後は高速道路への近さや建物規模だけでなく、どこまで自動化された物流機能を利用できるかが施設競争力の一つになっていく可能性があります。プロロジスは、京田辺の第1号案件に続き、条件の合う用地があれば国内で第2、第3のOMEGAを展開する考えを示しています。
2030年頃の稼働を予定する「プロロジスパーク京田辺2」は、京田辺の物流集積をさらに拡大させるだけでなく、自動倉庫を各企業が個別に所有する方式から、巨大な自動化インフラを複数企業で共有する方式へ移行できるかを試す先行案件になりそうです。
出典
・プロロジス「プロロジスと台湾ALP、日本初の大規模マルチテナント自動倉庫『OMEGA』の共同展開で基本合意」・日刊建設工業新聞「プロロジスら/京都府京田辺市でマルチテナント型自動倉庫建設/最大1000億円投資」
・株式会社淺沼組「2026年3月期 第1四半期決算関連資料」
・プロロジス「プロロジスパーク京田辺」関連資料
・京田辺市「京田辺松井インター東地区地区計画」
・Re-urbanization「近畿圏の物流施設への大型投資が相次ぐ」
・Re-urbanization「ロジスクエア京田辺Bが竣工」
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