
国土交通省は2026年10月23日、西名阪自動車道の「柏原スマートインターチェンジ(仮称)」について、NEXCO西日本への事業許可を行い、新規事業化を正式に決定しました。
大阪府内初となるスマートICで、柏原IC~藤井寺IC間に奈良・天理方面への出入りに対応したハーフインターチェンジを新設します。2024年9月の準備段階調査への採択から約2年を経て、計画が事業実施の段階へ進むことになりました。
柏原・羽曳野市にまたがる本線直結型スマートIC
柏原スマートICは、西名阪自動車道の本線に直接接続するETC専用インターチェンジです。上り線側を羽曳野市、下り線側を柏原市に設置し、24時間、全車種が利用できる計画です。| 項目 | 計画概要 |
|---|---|
| 名称 | 柏原スマートインターチェンジ(仮称) |
| 路線 | E25 西名阪自動車道 |
| 設置区間 | 柏原IC~藤井寺IC間 |
| 設置場所 | 上り線:大阪府羽曳野市、下り線:大阪府柏原市 |
| 接続形式 | 本線直結型 |
| 出入口形式 | 天理方面ハーフIC(2方向/4方向) |
| 利用対象 | ETC搭載の全車種 |
| 運用時間 | 24時間 |
| 事業主体 | NEXCO西日本・柏原市 |
| 事業化決定 | 2026年10月23日 |
| 総事業費 | 未公表 |
| 着工・開通予定 | 未公表 |
既存の柏原ICと方向別に機能を分担
今回の計画で重要なのは、既存の柏原ICとは反対方向の出入口を整備する点です。現在の柏原ICは大阪・松原方面への出入りに限られており、柏原市内から奈良方面へ向かう場合は利用できません。新設するスマートICは、この制約を補完します。
| 利用方向 | 既存の柏原IC | 新設スマートIC |
|---|---|---|
| 大阪・松原方面への出入り | ○ | ― |
| 奈良・天理方面への出入り | ― | ○ |
製造品出荷額3,100億円の産業集積地、物流効率化に期待
柏原市は大阪府と奈良県の府県境に位置し、金属加工や機械製造、倉庫業などの企業が集積する工業都市です。2024年の製造品出荷額は約3,100億円に達し、近年は増加傾向にあります。計画地周辺の「柏原・羽曳野中小企業団地」には約90社が立地し、約1,900人が働いています。また、国分東条町地区では約16haの地区計画が示されるなど、周辺では産業用地の整備・活用も進められています。
こうした産業集積地にとって、高速道路へのアクセスは物流コストや輸送時間を左右する重要な条件です。
今回の整備により、奈良・三重方面との輸送経路が改善されれば、既存企業の生産性向上に加え、新たな企業立地を支える交通基盤としての効果も期待できます。
豪雨で寸断される東西交通、西名阪道を代替ルートに

柏原スマートICには、地域の防災力を高める役割もあります。
大阪府と奈良県の府県境は山地に挟まれ、東西方向の幹線道路が限られています。主要ルートである国道25号・165号には、豪雨時に事前通行規制が実施される区間が2カ所あり、2013年以降、計7回の通行止めが発生しています。
特に国道25号は、大阪府中部と奈良県を結ぶ重要な幹線道路ですが、過去の豪雨では法面崩落や道路冠水などによって交通が寸断され、柏原市内の道路交通に大きな影響が生じました。
スマートICが整備されれば、国道25号が通行止めになった場合でも、西名阪自動車道を利用して奈良・名古屋方面へ向かう代替経路を確保しやすくなります。
平常時の物流効率化と、災害時の道路ネットワークの信頼性向上を両立させることが、この事業の重要な目的です。
準備段階調査から2年、正式な事業化へ
柏原スマートICの計画は、2024年9月に国の新規準備段階調査箇所に選定されたことで具体化しました。同年11月には国土交通省、大阪府、柏原市、NEXCO西日本による準備会が発足。2026年8月の地区協議会では実施計画書などが協議され、今回の事業化決定に至りました。
| 時期 | 主な経緯 |
|---|---|
| 2024年9月6日 | 国の新規準備段階調査箇所に選定 |
| 2024年11月14日 | 第1回準備会を開催 |
| 2026年8月21日 | 第1回地区協議会を開催 |
| 2026年10月23日 | 国交省が事業許可、新規事業化を正式決定 |
既存の高速道路を生かし、大阪・奈良間の交通ネットワークを強化

出展:GoogleMAP
柏原スマートICは、新たな高速道路を建設するのではなく、既存の西名阪自動車道に出入口を追加することで、道路ネットワークの利便性を高める事業です。その意義は、単なるICの増設にとどまりません。これまで大阪方面に限られていた柏原市周辺からの高速道路利用を奈良方面にも広げることで、産業集積地の物流機能を強化し、国道25号・165号に集中する交通の分散を図ります。
一方、実際にどの程度の交通が一般道から高速道路へ転換するかは、スマートICへのアクセス道路や周辺交差点の整備状況にも左右されます。
今後公表される具体的な接続道路の計画、総事業費、開通までの工程が、事業効果を見極める重要なポイントとなりそうです。
出典・参考資料
公式資料- 国土交通省|スマートインターチェンジの高速道路会社への事業許可および準備段階調査着手について(2026年10月23日)
- 国土交通省|新規事業化箇所の位置図・整備効果等(PDF・全9ページ)
- 柏原市|(仮称)柏原スマートインターチェンジの整備
- 国土交通省近畿地方整備局|第1回柏原スマートインターチェンジ準備会の開催について(2024年11月7日)
- LOGISTICS TODAY|スマートIC2か所事業化、物流・防災機能強化(2026年10月23日)
- トラックニュース|国土交通省、近畿道と九州縦貫道のスマートIC新設を許可(2026年10月23日)
- 柏原市長・ふけ正浩氏|Xでの新規事業化決定に関する投稿(2026年10月23日)
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