
近鉄は2018年05月15日付けのニュースで、フリーゲージトレインの実用化に向けて開発を進めて行くと発表、6月22日付役員の異動にあわせて、同社総合研究所にフリーゲージトレイン開発推進担当役員 を就任させるとの事です。フリーゲージトレイン(軌間可変電車)とは 標準軌 1,435mm と狭軌 1,067mm など、異なる 軌間(ゲージ)を直通運転できるよう、車輪の左右間隔を軌間に合わせて自動的に変換する機構を持った車両です。
【出典元】
→フリーゲージトレイン開発推進に向けて

近鉄は、これまでも東海道新幹線の開通を契機に、新幹線の接続駅である京都・名古屋から奈良 や伊勢志摩などの観光地に向かう特急ネットワークを構築してきましたが、あべの橋駅を起点とする、近鉄南大阪線・吉野線のグループはレール幅が狭軌 1,067mmと、他の近鉄各線が採用している標準軌 1,435mmと異なっている為、直通運転は不可能でした。
フリーゲージトレインを実用化する事で、京都駅から京都線・橿原線を経由し、橿原神宮前駅からレ ール幅の異なる吉野線を経て、吉野駅まで直通運転することが可能になり、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」にある“吉野山” や、“飛鳥”などの観光地に多くの利用客を送り込む事が出来るとしています。
【出典元】⇒マイナビニュース>新幹線・在来線で走行可能、フリーゲージトレイン新試験車両を公開!フリーゲージトレイン(以下FGT)は国土交通省や鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が中心になり、新幹線と在来線の直通列車用として研究開発が進められてきました。FGTは九州新幹線の長崎ルートでの採用を目指して開発が進められてきましたが、270km/hでの走行試験で車軸に傷がつくなどのトラブルが発生し、開発が大幅に遅延しています。また、FGTの最高速度が270km/hに抑えられる為、300km/h運転を行っている山陽新幹線のスジに乗れない為、新大阪への直通運転が出来ない等の理由から、長崎新幹線へのFGTの導入は事実上断念されました。

このタイミングで近鉄がFGTの開発に取り組む、と発表したのは本当に意外で驚くばかりです。莫大な研究開発費を費やしたFGTの新幹線への投入は難しくなりましたが、最高速度130km/h程度の在来線なら、長年の研究成果を活かし、比較的早期に実用化出来ると判断したのかもしれません。近鉄の一般ユーザーからすると、先日発表された次世代名阪特急に加え、今回のFGTへの取り組み発表など、特急車への積極的な投資を横目にみつつ、一般車の新車が入らない状態がまだつづくのかな??と、ちょと複雑な気持ちになりました。


