
大阪市は、2021(平成33)年度中の開館をめざす(仮称)大阪新美術館について、公募型設計競技を実施し、2017年02月09日に最優秀案及び次点案を決定したと発表しました! 最優秀案の提案者は株式会社 遠藤克彦建築研究所、次点は株式会社 日建設計 大阪オフィス。
最優秀案は、シンプルで存在感のある外観や、黒い直方体を切り欠くように立体的に配置され自然光が降り注ぐデザイン性の高いパッサージュ空間が、新しい美術館の独自性につながるとともに、建物周囲に巡らされたデッキや、道路に面して配置されたカフェ・レストランが、まちの回遊性や賑わいの向上に貢献するとして高く評価されました。また、次点案については、敷地北側と南側の双方に広場を設けるなど、まちに開くことを強く意識している点が評価されました。
【出典元】
→大阪市HP>「(仮称)大阪新美術館」の公募型設計競技において最優秀案を決定しました
【最優秀案】
・株式会社 遠藤克彦建築研究所>設計提案書(PDF)
【次点案】
・株式会社 日建設計 大阪オフィス>設計提案書(PDF)

【スペック】
名称:(仮称)大阪新美術館建設工事
所在地:大阪市北区中之島4丁目32-14
階数:地上5階
高さ:34.9m
構造:S造
杭・基礎 :場所打ち杭
主用途:美術館、サービス施設、駐車場
総戸数—–
敷地面積:12,874㎡
建築面積:7,020㎡
延床面積:18,235㎡(内美術館部分15,700㎡)
建築主:大阪市
設計者:遠藤克彦建築研究所
施工者:——
着工:未定
竣工:2021年春頃開館予定

5層の建物ボリュームは約60m角のコンパクトな直方体。敷地中央に配置され、周辺には広いオープンスペースが設けられた、周辺からの圧迫感がない配置計画となっています。オープンスペースは公園の様な「アートデッキ」が作られ、周辺の高低差や人の流れを統合し、敷地の全方位と接続。デッキ上では様々なイベントや屋外展示を行う事が可能となっています。デッキ上は緑化が行われ、都市のオアシス空間として整備されます。
鉄構造/場所打ち杭、基礎免震を基本とし、柱のない「ワンルーム」の展示室を1~5階まで複雑に連続するパッサージュ(展示ホール)の吹き抜け空間が設けられます。吹き抜けに面して1~2層分のぶyレースが設けられます。パッサージュは空間的に大阪新美術館のスパイン(背骨)になるだけでなく、構造的にもスパインとして機能します。上部躯体をシンプルで軽快な鉄構造とする事で、杭や基礎への負担も少なくなり、コスト/工期的にも有利な構造計画としています。

中之島に計画中の(仮称)大阪新美術館。今回の提案を元に現実的な実設計が行われる事になりますが、中々シンボリックな建物が中之島に誕生する事になりそうです。隣接する国立国際美術館や大阪市立科学館などと歩行者デッキで接続される事で、一帯が芸術的なエリアとして、その存在感を高めて行くような計画となっています。

