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大阪公立大学(OMU)・森之宮キャンパスが開設!府市統合の象徴として、都市と知が交差する“開かれた大学”へ



2025年9月24日、大阪市城東区に大阪公立大学の新キャンパス「OMU森之宮キャンパス」が開設されました!

地上13階、高さ約60m、延床面積約79,300㎡の施設には、約6,000人の学生・教職員が通い、翌26日から授業が開始されました。森之宮キャンパスは、単なる教育施設の新設にとどまらず、「大阪公立大学とは何か」を目に見える形で示す、象徴的な拠点として整備されました。

見えにくかった「府市統合」を、都市空間のなかに可視化


大阪公立大学は、2022年に大阪市立大学と大阪府立大学の統合により発足しました。ただし制度上の統合だけでは、学生や地域住民にとって一体感を実感しにくい状況が続いていました。今回整備された森之宮キャンパスは、その「見えにくかった統合」を空間的に体現するシンボル的存在です。

キャンパスには1年次の全学生が通い、共通教育(基幹教育)を受講します。さらに、文学部・生活科学部食栄養学科・医学部リハビリテーション学科が杉本・羽曳野の各キャンパスから移転。本部機能も集約され、名実ともに「統合大学の中枢」となりました。大学関係者は「ようやく一つの大学として動き出せた」と述べており、制度と空間の分離を解消する大きな一歩となっています。

都心立地という優位性が、大学の競争力を引き上げる


森之宮という立地は、大阪環状線・大阪メトロ中央線・長堀鶴見緑地線が交差し、難波・天王寺・京橋など主要拠点からアクセスが良好です。この高い交通利便性は、学生・教職員にとって大きなメリットとなり、志願者の拡大や優秀層の獲得につながると期待されています。

大阪公立大学は今後、都心立地の優位性を生かし、首都圏や他地域の難関国公立との競争環境のなかでも存在感を高めていく方針です。キャンパスの整備は、教育機能だけでなく、大学全体のブランド力向上にも直結する重要な戦略の一部と位置づけられています。

OBPとの連携による「実証実験都市」としての可能性


森之宮キャンパスの北隣には、大阪ビジネスパーク(OBP)があります。このエリアにはIT企業や放送局、先端サービス業などが集積しており、既に大学と企業が連携する複数のプロジェクトが始動しています。

特に注目されるのは、森之宮団地との社会実験や、NTT西日本との技術連携です。今後はキャンパス周辺を、大学と民間企業が協力して新技術やサービスの実証フィールド(リビングラボ)として活用する動きが加速する見通しです。都市と大学、行政と産業が重なることで、森之宮周辺は“学びと実装が交わる都市モデル”のプロトタイプとして機能しはじめています。

「知の森」としての空間設計


新キャンパスは「知の森」をコンセプトに設計されました。大阪城公園の緑と呼応するように、3層ピロティや樹形柱が配置され、中庭を中心としたスパイラル状の動線が学生の交流や移動を自然に誘導します。

外壁には日射を抑えつつ眺望を確保するエコスキンを採用。空調・照明・入退館はアプリ連動のスマート制御。府内産木材や処理水の再利用といった環境配慮も盛り込まれ、都市型大学として持続可能性と機能性の両立が図られています。

開かれた大学として、地域との共存へ


キャンパス内には市民が利用できるスペースも設けられており、約17万冊の蔵書をもつライブラリーは、近畿圏在住で18歳以上であれば登録制で利用可能です(2年で2,000円)。大阪城天守閣を望む展望テラスやラウンジも開放されており、「大学を遠い存在にしない」設計がなされています。また、学生・研究者・地域住民が同じ空間で接点を持つことを前提に、リカレント教育や市民向けイベントなども今後展開される予定です。

森之宮キャンパスがもたらす静かな変化


日々6,000人が集まるキャンパスの開設は、周辺の駅前商圏にも波及します。平日日中の安定的な人流は、飲食・物販・医療・教育など民間サービスの再配置を促し、これまで停滞していた駅前エリアに新たな商業動線が生まれる可能性があります。

加えて、2028年には大阪メトロの新駅(森之宮駅・仮称)の開業が予定されており、大規模アリーナとの連動も視野に入っています。教育・交通・文化施設が連動することにより、森之宮は単なる文教地区ではなく、都市型複合拠点としての役割を果たすことになります。

教育機関を“都市成長のエンジン”に変える試み


今回のキャンパス整備は、大学の移転という枠を超えた社会的な意味を持ちます。教育機関が都市開発に組み込まれ、地域と産業と接続されていく流れは、日本の他都市に先んじる事例といえます。

大学が学びの場であると同時に、都市を動かす装置であり、人を集め、技術を試し、地域と関係を築く「触媒」として機能しはじめたこと。それこそが、森之宮キャンパスが持つ最大の意義かもしれません。

出典元


  • 大阪公立大学公式ウェブサイト(森之宮キャンパス案内)

  • 公立大学法人大阪「森之宮キャンパスについて」

  • 大阪・森之宮に「知の拠点」、大阪公立大新キャンパス開設記念式典…市東部開発の中核に

  • 「ヒガシ」の開発進む 大阪公立大森之宮キャンパス開設

『大阪公立大学(OMU)・森之宮キャンパス』Photo collection



 





























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