奈良県中央卸売市場再整備、大和ハウスJVが400.84億円で落札!2031年度に新市場開業へ



奈良県が大和郡山市で進める奈良県中央卸売市場の再整備計画が、事業化の大きな節目を迎えました。

奈良県は2026年10月7日、「奈良県中央卸売市場再整備推進事業(市場エリア整備事業)」の落札者を、大和ハウス工業を代表とする「Shinsen Market NARAプロジェクト共同企業体」に決定したと発表しました。落札額は400億8,400万円(税込)。2026年12月から設計・施工に入り、2031年度に新市場を開業、2033年度に市場エリア全体を完成させる予定です。

当サイトでは2025年2月、概算事業費約350億円、事業者公募前の段階で再整備計画を紹介しました。

▶ 『奈良県中央卸売市場』再整備計画が始動!最新の市場に建て替え、フードホールやマルシェ、物流施設を整備。総面積約52,240㎡、概算事業費は約350億円

その後、最初の入札が予定価格超過で不調となり、事業条件を見直して再公告。今回、事業主体となる企業グループ、落札額、施設規模、今後の工程が具体化しました。

大和ハウス工業を代表とする6社グループが落札

落札した「Shinsen Market NARAプロジェクト共同企業体」は、大和ハウス工業を代表企業とし、設計、建設、コンサルタント各社で構成されます。
項目 内容
代表企業 大和ハウス工業
構成企業 久米設計、福本設計、ウエスコ、村本建設、矢作建設工業
グループ名 Shinsen Market NARAプロジェクト共同企業体
落札額 400億8,400万円(税込)
事業方式 PFI・BT方式
設計・施工開始 2026年12月~
新市場開業 2031年度
市場エリア完成 2033年度
BT(Build-Transfer)方式は、民間事業者が施設を設計・建設し、完成後に県へ所有権を移転する方式です。

今回の決定によって、長く続いてきた計画・事業者選定の段階から、実際の設計・建設へ移行する体制が整いました。

なぜ再整備するのか?市場を「現代の食品物流」に合わせて再構築



奈良県中央卸売市場は1977年に開場し、約半世紀が経過しています。

再整備の直接的な背景には施設の老朽化がありますが、目的は単純な建て替えにとどまりません。食品流通を取り巻く環境は、市場経由率の低下、外食・中食需要の拡大、物流の高度化、温度・衛生管理基準の向上などによって大きく変化しています。

そこで奈良県は、既存市場を現在の取扱量に合わせてコンパクト化し、コールドチェーン、衛生管理、加工、配送などを一体的に高度化する食品流通拠点へ再構築します。
現在の課題 再整備後の方向性
施設の老朽化 市場施設を全面更新
温度管理への対応 コールドチェーン対応の閉鎖型施設
衛生管理 高度な品質・衛生管理
雨天時の荷役 大屋根を備えた荷卸し・積込空間
複雑な物流動線 卸売・仲卸・加工・積込機能を集約
市場施設の過大化 取扱量に応じてコンパクト化
一般消費者との接点 フードホールやマルシェなどを整備
このプロジェクトの特徴は、市場を小さく、高機能に作り直すことで土地を生み出し、その余剰地を新たな賑わい拠点へ転換することにあります。

市場再整備と土地利用再編を一体的に進める計画です。

新市場棟は延床約3.07万㎡、主要3施設で約4.92万㎡



今回公表された落札者提案では、新青果棟・新水産棟からなる「新市場棟」を中心に、新管理関連棟、新廃棄物集積所を整備します。
施設 建築面積 延床面積 階数
新管理関連棟 8,428.70㎡ 17,411.38㎡ 3階
新市場棟(新青果棟・新水産棟) 30,942.43㎡ 30,747.44㎡ 1階
新廃棄物集積所 951.80㎡ 1,016.40㎡ 1階
合計 40,322.93㎡ 49,175.22㎡ ―
建設通信新聞によると、主要施設はいずれも鉄骨造で計画されています。

なお、今回示された施設規模は落札者の提案段階のもので、今後の設計によって変更される可能性があります。

350億円規模から400億円超へ。初回入札は予定価格超過で不調

今回の事業者決定までには、一度、入札が不調になる局面がありました。2025年2月に当サイトが紹介した段階では、市場エリアの概算事業費は約350億円でした。

その後、2025年7月に行われた最初の入札では、予定価格を334億307万3,000円に設定。しかし、応札額が予定価格を上回ったため、同年12月に入札が中止されました。

県は事業条件を見直し、2026年7月に再公告。予定価格は約400億円まで引き上げられ、今回、大和ハウス工業JVが400億8,400万円で落札しました。
時点 事業費・予定価格
2025年2月・当サイト既報 概算事業費 約350億円
2025年7月・初回公告 予定価格 334.03億円
2025年12月 予定価格超過で入札中止
2026年7月・再公告 予定価格 約400.85億円
2026年10月7日 400.84億円で落札
初回入札が中止された直接的な理由は予定価格超過です。

資材価格や人件費の上昇に加え、建設業界では設備工事を含めた施工体制の確保も難しくなっています。結果として、当初の価格条件では成立しなかった事業が、事業費を約400億円規模へ見直すことで動き出した形です。

2025年2月時点の概算約350億円と比較すると、今回の落札額は約50.8億円、約14.5%増となります。

現在地は「事業者選定完了」。2031年度に新市場開業



再整備計画の現在地と今後を整理すると、次のようになります。
時期 主な動き フェーズ
2018年3月 再整備基本構想を策定 構想
2019年9月 再整備基本計画を策定 計画
2024年7月 基本方針を改正、段階整備へ 計画見直し
2025年2月 当サイト既報、概算約350億円 公募準備
2025年7月 市場エリア整備を初回公告 事業者公募
2025年12月 予定価格超過で入札中止 仕切り直し
2026年7月 条件を見直して再公告 再公募
2026年10月7日 大和ハウス工業JVを落札者に決定 現在地
2026年10月 基本協定・仮契約 契約手続き
2026年12月 県議会議決・本契約予定 事業正式化
2026年12月~ 設計・施工 建設
2031年度 新市場開業 市場機能移転
2031~2033年度 旧市場施設を解体・跡地整備 第2段階
2033年度 市場エリア完成 市場整備完了
2035年度 賑わいエリア開業目標 全体整備へ
次の大きな節目は、2026年12月の事業契約締結と設計・施工開始です。

最終形は「卸売市場+食の賑わい拠点」



奈良県中央卸売市場の再整備では、現在の敷地を大きく二つのエリアに再編します。
エリア 面積 役割
市場エリア 約10.8ha 青果・水産などの卸売、仲卸、加工、物流
賑わいエリア 約4.7ha フードホール、マルシェなどを想定
北側用地 約3.8ha 駐車場、進入路など
市場エリアでは、奈良県の食品流通を支えるBtoB機能を集約・高度化します。



一方、賑わいエリアではフードホールやマルシェを軸に、食品加工施設、物流施設、県産品PR機能などを検討。市場に集まる「食」を活用し、県民や観光客も利用できるBtoC拠点を形成する考えです。

賑わいエリアは民間事業者による独立採算を基本とし、2035年度の開業を目指しています。

卸売市場の建て替えから「食の拠点」づくりへ



奈良県中央卸売市場の再整備は、約半世紀を経た市場施設を更新するだけの事業ではありません。市場をコンパクト化しながら、コールドチェーン、衛生管理、加工、物流機能を高度化し、奈良県の食品流通インフラそのものを次世代仕様へ再構築するプロジェクトです。

同時に、そこで生まれる土地をフードホールやマルシェなどに活用することで、従来の「業者が利用する卸売市場」から、一般消費者も訪れる食の拠点へ役割を広げることを目指します。

2031年度に新市場、2033年度に市場エリア、2035年度には賑わいエリア。長期間にわたって検討されてきた奈良県中央卸売市場の再整備は、今回の落札者決定によって、計画段階から具体的な整備段階へ移ります。




過去記事

▶ 2025年2月22日
『奈良県中央卸売市場』再整備計画が始動!最新の市場に建て替え、フードホールやマルシェ、物流施設を整備。総面積約52,240㎡、概算事業費は約350億円

▶ 2021年6月29日
奈良県中央卸売市場の建替え再整備計画が進行中!「市場エリア」と「賑わいエリア」で構成された食のテーマパークに進化!




出典

・奈良県「奈良県中央卸売市場再整備推進事業(市場エリア整備事業)の落札者の決定」
https://www.pref.nara.lg.jp/n117/press/p047001.html

・奈良県「市場の再整備について」
https://www.pref.nara.lg.jp/n117/53028.html

・奈良県「奈良県中央卸売市場再整備の基本方針実施プラン」

・奈良県「奈良県中央卸売市場再整備の基本方針」

・奈良県「奈良県中央卸売市場再整備推進事業」入札関係資料

・建設通信新聞Digital「奈良県の中央卸売市場PFI、400億円超で大和ハウスら落札」

・建通新聞「奈良県 中央卸売市場『市場エリア』を再公告、予定価格は400億円」

Visited 9,875 times, 9,875 visit(s) today