老朽化が進む『奈良県中央卸売市場』の再整備計画がいよいよ始動します!
再整備は、「市場エリア」の整備事業者を2025年度に公募し、段階的に工事を進め、2035年度の全体開業を目指します。この記事では、その計画の概要と狙いについて紹介します。
【出典元】
→奈良県中央卸売市場再整備の基本方針実施プラン(案)
県内最大の市場を再整備、効率化と衛生管理を強化
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奈良県中央卸売市場の敷地は約15.5haに及びます。このうち10.8haを「市場エリア」とし、4.7haを「賑わいエリア」と位置付けました。さらに、国道25号沿いに3.8haの用地を取得し、駐車場を整備する計画です。
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市場エリアには、低温物流網(コールドチェーン)に対応した閉鎖型施設を導入し、国際的な食品衛生管理基準「HACCP」に基づいた衛生管理を徹底します。また、建物のコンパクト化や共同加工場の整備により、業務の省力化・効率化を推進します。
主な施設の規模は、市場棟が約40,930㎡、管理関連棟が約5,970㎡、冷蔵庫関係が約3,600㎡など、総面積は約52,240㎡を想定。概算事業費は約350億円と試算されています。
PFI方式でコスト削減と工期短縮を実現
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市場エリアの整備には、BT(建設・移管)方式のPFIを採用します。これにより、設計・施工を一括発注し、工期短縮や建設コストの削減を図ります。
県は2025年3月に実施方針と要求水準書案を公表し、7月に入札を公告。2026年3月に落札者を決定し、6月議会で承認を受けた後、事業契約を締結します。既存市場の運営を継続しながら市場棟を建設するため、事業者には工事計画の提案が求められます。
「賑わいエリア」で新たな交流拠点を創出
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市場エリア完成後には、賑わいエリアの整備を進めます。ここにはフードホールやマルシェ、物流施設を整備する予定で、食品加工施設や県産品のPR施設の設置も検討されています。
市場エリアの事業者公募時に、賑わいエリアに関する提案も募集し、評価に反映させる方針です。また、サウンディング(対話)調査を実施し、民間事業者が参入しやすい整備手法や公募条件を検討します。賑わいエリアの事業者公募は2030年度を予定しています。
奈良の新たな経済拠点へ
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奈良県は、市場エリアと賑わいエリアを一体的に整備することで、地域経済の活性化を図るとともに、新たな交流拠点としての機能を持たせることを目指しています。高度な衛生管理と物流効率化を実現した市場施設と、賑わいのある商業・観光エリアの融合により、県内外から多くの人々が訪れる場となることが期待されます。2035年度の全面開業に向け、今後の進展に注目が集まります。