北海道が「原発1基分」の電力接続を先行申請!石狩・苫小牧で計990MW、約72haのデータセンター集積へ

 



北海道は2026年10月20日、石狩市と苫小牧市の計6用地を対象に、データセンターの建設・運営事業者の公募を開始しました。電力の申込規模は合計990MW(99万kW)、対象面積は約71.9ha。北海道電力の泊原子力発電所3号機を上回る規模です。

今回の特徴は、北海道が送配電網への接続を先行申請し、その申込内容を選定した民間事業者に引き継ぐことです。データセンターの建設が決まったわけでも、990MWの電力供給が保証されたわけでもありません。

電力接続を先行させ、民間投資を呼び込む



データセンターのイメージ



石狩市と苫小牧市は、2026年9月11日に経済産業省の「GX戦略地域(データセンター集積型)」に認定されました。

生成AIの普及で数百MW級のデータセンター需要が拡大する一方、送電線や変電所の増強には長い時間がかかります。企業にとって、土地の確保以上に難しいのが、必要な電力を希望する時期に受けられるかどうかです。

北海道はこの課題に対応するため、行政が電力接続の手続きを先に進め、建設・運営を担う民間企業を募集します。北海道は誘致と事業者選定、民間企業は用地取得と建設・運営、北海道電力ネットワークは系統接続に関する協議・整備を担う形です。

応募期限は2026年12月4日。2027年1月以降に優先交渉権者を選定する予定です。

対象は6用地。最も大きいのは苫小牧の400MW


地区・所在地 申込電力 敷地面積 接続可能時期の目安
石狩市新港南2丁目 160MW 約5.08ha 2031年10月以降
石狩市新港中央1丁目 40MW 約1.86ha 2031年11月以降
石狩市新港中央1丁目 75MW 約4.83ha 2031年12月以降
石狩市新港中央1丁目 15MW 約1.05ha 2031年11月以降
石狩市新港東2丁目 300MW 約12.08ha 2032年12月以降
苫小牧市柏原 400MW 約46.98ha 2030年8月以降
合計 990MW 約71.9ha
北海道の公募要領をもとに作成。接続可能時期は所定の契約や送電設備工事を前提とした目安で、施設の開業予定日ではありません。

最大の用地は苫小牧市柏原で、敷地面積は約47ha。公募要領に示された分譲価格は約47億円です。一方、石狩市では最大300MWの用地に275kVでの受電を想定しており、送電インフラの整備が開発の重要な条件となります。

990MWは原発1基分。北海道の電気は足りるのか


出展:大林組

990MWは、泊原子力発電所3号機(912MW)の約1.09基分、苫東厚真火力発電所4号機(700MW)の約1.41基分に相当します。2025年度冬季の北海道の最大電力需要実績507万kWと比較すると、約2割に相当する規模です。

ただし、これは電力接続の申込規模と発電設備の定格出力などを比較したものです。全施設が同時に990MWを消費すると決まったわけではありません。

北海道電力は、半導体工場やデータセンターの集積による需要増加を見据え、電源の増強を進めています。
電源計画 出力 運転開始の見通し
石狩湾新港発電所2号機(LNG) 580MW 2030年度
石狩湾新港発電所3号機(LNG) 580MW 2033年度
苫小牧・厚真地域の次期LNG電源 未定 構想・調査段階
石狩湾新港の増設2基だけで計1,160MWになりますが、これらはデータセンター専用の電源ではありません。既存需要や半導体関連産業への供給も必要であり、泊原発の再稼働、再生可能エネルギーの導入、送配電網の増強などを含めた対応が求められます。

電力が足りるかどうかは、今後の電源整備と事業者による調達契約次第です。 今回の公募は、電力問題の解決を意味するものではありません。

誰が建設するのか。2027年から事業者を選定



建設・運営事業者は現時点で未定です。北海道の審査では、事業計画の実現可能性に40点、事業遂行能力に20点、地域貢献・共生に30点、環境負荷低減に10点を配点しています。

AIの研究開発、道内企業のDX支援、デジタル人材育成、地元企業との取引拡大なども評価対象です。巨大な施設を建設するだけでなく、地域産業への波及効果が問われます。

なお、苫小牧市ではソフトバンクなどによる最大300MW超のデータセンター構想も進められていますが、今回の400MW用地は別の公募案件です。

データセンターの立地競争は、土地や建設費だけでなく、大量の電力をいつ確保できるかが決定的な条件になりつつあります。

北海道が先行して電力接続を申し込む今回の手法は、その変化に対応した産業誘致策です。2030年代に向けて、計画を具体的な設備投資へ結び付けられる事業者が現れるかが注目されます。




出典・参考資料

  1. 北海道「GX戦略地域における電力申込内容の承継に係る公募」(石狩市・苫小牧市の公募要領、選定基準を含む)
  2. 北海道「経済産業省『GX戦略地域制度』について」
  3. 北海道電力「泊発電所の概要」
  4. 北海道電力「石炭火力発電所」
  5. 北海道電力「石狩湾新港発電所2・3号機の計画出力等の変更について」
  6. 北海道電力「苫小牧・厚真地域における次期LNG電源設置に向けた調査」
  7. 電力広域的運営推進機関「電力需給検証報告書」(2026年5月)
  8. 北海道建設新聞「北海道、データセンター事業者の公募開始」

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