
大阪府門真市幸福町の京阪本線「古川橋」駅北側の再開発エリアにおいて、超高層タワーマンション 「シティタワー古川橋」 の建設が進んでいます。この計画は、旧「門真市立第一中学校」跡地を含む門真市幸福東土地区画整理事業に伴い整備されるもので、門真市内で最大規模の分譲タワーマンションとなります。

シティタワー古川橋は、鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)、地上41階・地下1階 の超高層タワーマンションで、高さは 137.50m、総戸数は 648戸。敷地面積:8,527.0㎡、建築面積:3,579.70㎡、延床面積は 70,020.96㎡ と、門真市の住宅開発としては最大級の規模を誇ります。工事は 2023年10月31日に着工 しており、2026年11月30日に竣工、2027年3月下旬からの入居開始 を予定しています。
大阪都心から離れた古川橋駅前に、延床面積7万㎡の巨大タワーマンションが建設されるのは、かなりすごいです。
門真市:駅前の“宿題”を一気に片づける都市再生パッケージ

この計画に関係するプレーヤーの狙いを深堀りしてみます。
まず行政(門真市)が幸福東土地区画整理事業で目指していることは、駅北側に残っていた都市課題を体系的に処理し、街の基盤を「令和仕様」へ更新することです。
古川橋北側は、木造家屋が密集し、狭い道路や私道が入り組んだ地域で、災害時の安全性や土地利用効率に課題がありましたが、今回の再開発により一気に問題解決を図ります。また、駅前に「文化創造図書館KADOMADO」を整備し、公共施設の更新を行います。さらに、総戸数648戸のタワーマンションを導入することで、子育て世帯や共働き中堅層など、自治体として安定的に獲得したい人口層を呼び込む効果もあります。
行政にとってこの再開発は、国の支援と民間投資を活用しながら、「密集市街地の解消」「公共施設の世代交代」「人口構造の改善」を同時に達成する都市再生パッケージと位置づけられます。
京阪:古川橋を“途中駅”から拠点駅へ格上げする沿線戦略

京阪電鉄はここ数年、「沿線再耕」という方針を掲げ、駅前の価値を底上げする再開発を積極的に進めています。枚方市駅前の大規模複合開発がその代表例で、古川橋もその流れの中にあります。
古川橋はこれまで“途中駅”として認識されることが多く、拠点性の弱い駅でした。しかし、今回の再開発では、タワーマンション、KADOMADO、交流広場、交通広場が集約されることで、「住む」「学ぶ」「集まる」という複数機能を持つ駅へと転換が図られます。
駅前に人口と公共施設が集まることで、鉄道利用が増え、沿線としての定住需要が維持・強化されます。また、区画整理によって土地が整えられているため、地権者調整のリスクが小さく、効率的に事業を進められる点も京阪にとってメリットです。
住友不動産の狙い:中堅層を確実に取りに行く“郊外タワーの最適解”

住友不動産が供給するシティタワー古川橋は、実需層を強く意識した商品設計になっています。
特徴としては、
・駅徒歩4分
・区画整理済みの整った街区
・公共施設(KADOMADO)隣接
・54〜71㎡の2LDK〜3LDK中心
・価格帯は4,800万〜8,100万円(坪260万円前後)
この価格帯は、一次取得ファミリーやワーキングDINKSの世帯年収帯(約800万〜1,200万円)に適しており、「都心には届かないが、タワーマンションの快適性は欲しい」層にちょうど収まる設定です。
また、内廊下、スカイラウンジ、2層吹き抜けエントランス、制震構造など、都心タワーの仕様を取り入れつつ、価格を抑えている点が特徴で、「郊外でもタワーらしい生活をしたい」というニーズに応えています。
住友不動産にとってこのプロジェクトは、“実需層に向けて安定した収益を確保できるタワー供給の最適形態”といえます。
買い手:都心は無理でも“都市的に暮らしたい”層のリアルな選択肢

購入検討者の特徴は、「完全な郊外ではなく、都市的な生活を維持しながら現実的な価格の住宅を求める」という点にあります。
具体的には、
・大阪都心のタワーは価格が高すぎて現実的ではない
・郊外の低層住宅地では利便性が不足する
・大阪都心へのアクセスが良い、利便性を確保したい
・内廊下や眺望など、タワーマンションならではの快適性を重視
・KADOMADOや駅前広場など、公共投資による生活利便性にも期待
・投機目的ではなく、長く住みながら資産価値を保ちたい
この層にとって古川橋のタワーマンションは、「価格・利便性・住環境のバランスが取れた現実的な選択肢」として評価されています。
街:古川橋が“元に戻らない”フェーズへ入った都市アップデート

再開発は、街の印象を変えるだけではなく、都市基盤そのものを更新するプロジェクトです。
・道路・広場・歩行者動線が再整備され、街のレイアウトが現代仕様に
・KADOMADO・交流広場・交通広場が集約され、駅前の中心性が強化
・41階タワーがランドマークとなり、エリアの存在感が大きく向上
・公共投資と民間投資が同時に進むことで、周辺の建て替えや投資を誘発
・一度整った都市基盤は元に戻らず、街の価値が底上げされる
計画概要

名称:シティタワー古川橋
計画名称:(仮称)古川橋駅前計画新築工事
所在地:大阪府門真市幸福町2024番3(門真市幸福東土地区画整理事業 仮換地2街区1画地)
交通:京阪電鉄京阪本線「古川橋」駅 徒歩4分
階数:地上41階・地下1階(4棟)
高さ:137.50m
構造:鉄筋コンクリート造(RC造)・一部鉄骨造
主用途:共同住宅、店舗
総戸数:648戸
敷地面積:8,527.0㎡
建築面積:3,579.70㎡
延床面積:70,020.96㎡
容積対象面積:※標識記載なし
建築主:住友不動産、京阪電鉄不動産、ミサワホーム
設計者:大林組
施工者:大林組
着工:2023年10月31日(予定)
竣工:2026年11月30日(予定)
入居:2027年3月下旬(予定)
出典元
→門真市: 門真市幸福町・垣内町地区まちづくり用地活用事業→門真市:門真市幸福町・垣内町地区まちづくり用地活用事業で民間事業者と基本協定を締結
→住友不動産:「門真市幸福町・垣内町地区まちづくり用地活用事業」 門真市と基本協定を締結
→シティタワー古川橋公式サイト
2025年11月の様子

現地の様子です。以前から取材のリクエストを頂いていたにもかかわらず、なかなか取材できずにいましたが、ようやく撮影することができました。

北西側から見た様子です。シティタワー古川橋は、延床面積が約7万㎡あることに加え、周辺に高層ビルがないため、メチャクチャ大きく感じます。

近くで見上げた様子です。ベランダの手すりには反射率の高いガラスが使用されているため、オフィスビルのような雰囲気があり、生活感を感じさせない工夫が施されています。さすがはシティタワーシリーズの系譜ですね。

南側から見た様子です。

南東側から見た様子です。

東側から見た様子です

最後は一気に撮影ポイントを変えて、大阪都心、淀屋橋ステーションワンの展望スペース「淀屋橋スカイテラス」から遠望した、シティタワー古川橋の様子です。
