関西電力「南港発電所」の大規模更新工事が始動!総出力186.3万kW、発電効率63%の最新鋭LNG火力発電所を2030年度に稼働へ



大阪市住之江区南港南7丁目にある関西電力「南港発電所」で、大規模な設備更新工事が進んでいます。1990~1991年に運転を開始した既存のLNG火力発電設備を、最新鋭の高効率ガスタービン複合発電設備(GTCC)に置き換えるプロジェクトです。総出力186.3万kWの新たな発電設備3基を建設し、2030年度の運転開始を予定しています。

咲洲方面から現地を望むと、高さ約200mの既設煙突の隣に大型重機が林立し、広大な工事区域が出現していました。運転開始から約40年を経て、大阪湾岸の巨大なエネルギーインフラが大きな転換期を迎えています。

2026年12月から本工事、2030年度に新3基が稼働



既存の1~3号機は2025年3月31日に運転を終了しました。関西電力は既設設備の東側に新たな発電施設を建設する計画で、2026年7月9日に準備工事に着手。12月から本工事へ移行する予定です。

新施設には、タービン建屋3棟、排熱回収ボイラー3基、高さ80mの集合煙突などを整備します。建築工事には大林組が参画しています。

南港発電所更新計画の概要

項目 計画内容
事業名称 南港発電所更新計画
事業者 関西電力株式会社
所在地 大阪市住之江区南港南7丁目3番8号
対象事業区域 約50万㎡
発電方式 ガスタービン複合発電(GTCC)
使用燃料 天然ガス(LNG)
発電設備 62.1万kW×3基
タービン建屋 3棟(長さ約60m×幅約36m×高さ約32m)
排熱回収ボイラー 3基
新設煙突 高さ80m(3筒身集合型)
建築工事 大林組
本工事開始 2026年12月予定
運転開始 2030年度予定

発電効率を44%から63%へ。供給力を維持しながら燃料消費を削減



今回の設備更新の本質は、発電能力の拡大ではなく、発電効率の抜本的な改善にあります。

新設備は、ガスタービンの排熱で蒸気タービンも回すコンバインドサイクル方式を採用します。燃料が持つエネルギーを二段階で利用することで、従来の汽力発電方式に比べて熱効率を大幅に高めます。

設備更新前後の比較

項目 更新前 更新後
発電方式 汽力発電 複合サイクル発電
総出力 180万kW 186.3万kW
発電効率 約44% 約63%
年間発電電力量 約102億kWh 約131億kWh
年間LNG使用量 約170万トン 約151万トン
年間CO₂排出量 約475万トン 約421万トン
CO₂排出原単位 0.463kg/kWh 0.323kg/kWh
※発電効率は低位発熱量基準。年間発電電力量、燃料使用量、CO₂排出量は環境影響評価書の試算値です。設備利用率は更新前65%、更新後80%と異なる条件を想定しています。

総出力の増加率は約3.5%にとどまる一方、発電効率は19ポイント改善し、電力量当たりのCO₂排出量は約30%低下します。公式試算では、設備利用率を引き上げながらも、年間の燃料消費量とCO₂排出量を抑える計画となっています。

大規模な電源を新たに増設するのではなく、既存の供給能力を維持しつつ、燃料利用効率を高める。今回の更新は、老朽化した火力発電所の競争力を引き上げる取り組みといえます。

既設の200m煙突は当面存置、将来の脱炭素化に備える



現在の南港発電所を象徴する高さ約200mの煙突は、新設備の完成と同時に撤去されるわけではありません。

関西電力は、将来の水素利用やCO₂回収・利用・貯留(CCUS)などの導入を見据え、既存設備の敷地を確保する方針です。再利用しない煙突やタービン建屋についても、撤去の必要が生じた段階で計画を策定するとしており、当面は新旧施設が共存する可能性があります。

もっとも、高効率化によって排出量が減少しても、LNG火力がCO₂排出源であることに変わりはありません。将来的な脱炭素化には、水素の安定供給やCCUSの実用化、関連インフラの整備が必要です。

大阪湾岸の電力インフラを次世代仕様に刷新



AI・データセンターの普及や産業の電化など、DX・GXの進展に伴う電力需要の増加が見込まれるなか、老朽化した電源の更新と高効率化は、電力の安定供給を維持するうえで重要性を増しています。

南港発電所の更新は、既存の大規模電源を高効率化し、将来の脱炭素化にも対応できる余地を確保するプロジェクトです。2030年度の稼働に向け、今後は建屋やプラント設備の建設が本格化します。大阪湾岸の産業景観を形づくってきた発電所が、次世代のエネルギーインフラへと生まれ変わろうとしています。




出典・参考資料

  1. 関西電力「南港発電所設備更新に係る環境影響評価書の確定通知の受領および縦覧について」(2026年6月30日)
  2. 大阪府「南港発電所更新計画」
  3. 大阪府「環境影響評価書 第2章 対象事業の目的及び内容」
  4. 関西電力「南港発電所更新計画に係る事後調査報告書(2026年8月度)」
  5. 大阪市「南港発電所更新計画に係る環境影響評価準備書についての市長意見」(2025年11月14日)
  6. 日本建設業連合会「南港発電所設備更新工事(建築)」

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