京阪神が世界のイノベーション拠点10位に!WIPO『GII2026』で大阪・神戸・京都がトップ10入り、国際特許出願約4万件・科学論文約10万本を生み出す巨大研究開発都市圏の実力

出典:WIPO
大阪・神戸・京都からなる京阪神都市圏が、世界有数の研究開発拠点として評価されました。

世界知的所有権機関(WIPO)が発表した「Global Innovation Index 2026(GII2026)」の世界イノベーションクラスターランキングで、「Osaka–Kobe–Kyoto(大阪・神戸・京都)」が世界10位に入りました。前年の11位から一つ順位を上げ、東京・横浜に次ぐ日本第2位の研究開発集積地となっています。

京阪神に所在する発明者が関与したPCT国際特許出願は40,179件、研究者が著者として参加した科学論文は99,503本に達しています。いずれもWIPOが集計した直近5年間の実績です。

製造業の技術開発と大学・研究機関による学術研究が厚く集積する京阪神の実力が、国際機関のデータによって裏付けられた形です。

京阪神は世界10位。パリやロサンゼルスを上回る



WIPOのイノベーションクラスターランキングは、都市の知名度やGDPを比較するものではありません。国際特許出願、科学論文、ベンチャーキャピタル(VC)投資の3指標から、世界のどこにイノベーション活動が集積しているかを分析しています。

2026年版の首位は深圳・香港・広州、2位は東京・横浜、3位はサンノゼ・サンフランシスコでした。京阪神はロンドン(8位)、ボストン・ケンブリッジ(9位)に続く10位に入り、パリ(11位)、ロサンゼルス(12位)を上回っています。

世界イノベーションクラスターランキング TOP20(2026年)

順位 イノベーションクラスター 国・地域
1 深圳・香港・広州 中国・香港
2 東京・横浜 日本
3 サンノゼ・サンフランシスコ 米国
4 北京 中国
5 ソウル 韓国
6 上海・蘇州 中国
7 ニューヨーク 米国
8 ロンドン 英国
9 ボストン・ケンブリッジ 米国
10 大阪・神戸・京都 日本
11 パリ フランス
12 ロサンゼルス 米国
13 杭州 中国
14 サンディエゴ 米国
15 南京 中国
16 シンガポール・ジョホールバル シンガポール・マレーシア
17 武漢 中国
18 ワシントン・ボルティモア 米国
19 テルアビブ・エルサレム イスラエル
20 成都 中国
出典:WIPO「Global Innovation Index 2026」(訂正後の順位)

WIPOは行政区域にとらわれず、発明者や研究者などの活動地点から都市圏を抽出しています。京阪神も大阪市、神戸市、京都市を個別に評価するのではなく、周辺地域を含む広域的な研究開発クラスターとして認識されています。

日本から世界トップ100に入ったのは、東京・横浜(2位)、京阪神(10位)、名古屋(29位)の3都市圏です。京阪神が世界の主要な研究開発拠点に並ぶ規模を持つことが、国際比較から明らかになりました。

国際特許出願約4万件、科学論文約10万本。厚みのある研究開発基盤

WIPOが公表した京阪神クラスターの個別資料によると、推計人口は約1,506万人。研究開発活動の実績は以下のとおりです。
項目 京阪神クラスターの実績 集計対象
世界順位(集積規模) 10位 2026年版
推計人口 15,064,665人 2025年推計
PCT国際特許出願 40,179件 2021〜2025年に公開
科学論文 99,503本 2020〜2024年
VC投資案件 543件 2020〜2024年
人口当たりの集積強度 世界54位 2026年版
※特許・論文の件数は、WIPO個別資料に記載された総件数(ユニークカウント)です。複数地域にまたがる共同研究・共同出願なども含まれており、ランキング算出時には地域ごとの寄与を調整する分数カウントが用いられます。VC投資案件は資金調達の取引件数であり、企業数や投資金額を示すものではありません。

PCT国際特許出願は、海外での権利保護を視野に入れた技術開発活動を把握する指標です。一方、科学論文は大学や研究機関による知識創出の規模を表しています。WIPOの論文集計は、科学技術分野の原著論文を対象としています。

京阪神は、この両面で大きな成果を積み上げています。電子部品や材料などの製造業に加え、医療、化学、物理、工学など幅広い研究分野を抱えることが、巨大な研究開発集積を形成する基盤となっています。

村田製作所・京セラ・日東電工、京都大学・大阪大学・神戸大学が牽引


出展:https://www.iup.kyoto-u.ac.jp/

京阪神の研究開発活動を支えているのは、世界的な技術力を持つ企業と、国内有数の研究大学です。

WIPOが集計した上位組織を見ると、特許出願では村田製作所、京セラ、日東電工が、科学論文では京都大学、大阪大学、神戸大学が中心的な役割を担っています。
区分 1位 2位 3位
PCT特許出願企業 村田製作所(4,308件) 京セラ(2,709件) 日東電工(2,039件)
科学論文発表機関 京都大学(7,885本) 大阪大学(5,508本) 神戸大学(2,415本)
特定の企業や大学だけに依存せず、複数の研究開発拠点が広域的に集積している点が京阪神の特徴です。企業が先端技術の開発を進める一方、大学は基礎研究から応用研究まで幅広い分野で成果を生み出しています。

地域外との連携も活発です。WIPOによると、京阪神の科学論文の74%はクラスター外の組織との共同研究によるもので、国際特許出願でも16%に地域外の発明者との共同活動が見られます。主な連携先には東京・横浜、名古屋、福岡などが挙げられています。

世界10位の研究開発力を、次の産業成長につなげられるか



一方、京阪神はイノベーション活動の集積規模では世界10位ですが、人口当たりの集積強度では54位となっています。

約1,500万人を抱える巨大都市圏であることが、研究開発活動の総量を押し上げている側面はあります。世界10位という結果は大きな実績ですが、それだけで研究開発の効率やスタートアップの成長力まで世界10位だと判断することはできません。

また、特許や科学論文の多さが、そのまま新規事業の創出や地域経済の成長につながるわけでもありません。研究成果を製品・サービスとして市場に送り出し、新たな企業や雇用、投資を生み出す仕組みが重要になります。

京阪神には、その出発点となる技術・学術基盤がすでに存在しています。大学発スタートアップの育成、大企業による新規事業の創出、国内外からの成長資金の獲得などを通じて、研究開発の成果をどこまで産業成長につなげられるかが、今後の焦点となりそうです。

今回のWIPOの評価が浮かび上がらせたのは、長年にわたって蓄積されてきた京阪神の産業・学術集積の大きさです。世界トップ10級の研究開発基盤を、次の経済成長に結び付けることができるか。 京阪神の将来を考えるうえで、重要な視点といえるでしょう。




【資料】WIPO「Global Innovation Index 2026」世界イノベーションクラスターランキング全100件

以下は、WIPOが公表した2026年版の世界イノベーションクラスターランキング全100件です。発表後、一部のVC投資データが訂正されたため、再計算後の順位を掲載しています。

世界ランキング1〜50位

順位 イノベーションクラスター 国・地域
1 深圳・香港・広州 中国・香港
2 東京・横浜 日本
3 サンノゼ・サンフランシスコ 米国
4 北京 中国
5 ソウル 韓国
6 上海・蘇州 中国
7 ニューヨーク 米国
8 ロンドン 英国
9 ボストン・ケンブリッジ 米国
10 大阪・神戸・京都 日本
11 パリ フランス
12 ロサンゼルス 米国
13 杭州 中国
14 サンディエゴ 米国
15 南京 中国
16 シンガポール・ジョホールバル シンガポール・マレーシア
17 武漢 中国
18 ワシントン・ボルティモア 米国
19 テルアビブ・エルサレム イスラエル
20 成都 中国
21 フィラデルフィア 米国
22 大田(テジョン) 韓国
23 西安 中国
24 シアトル 米国
25 ベンガルール インド
26 アムステルダム・ロッテルダム オランダ
27 デリー インド
28 ミュンヘン ドイツ
29 名古屋 日本
30 ストックホルム スウェーデン
31 ベルリン ドイツ
32 合肥 中国
33 青島 中国
34 シカゴ 米国
35 デンバー 米国
36 トロント カナダ
37 オースティン 米国
38 シドニー オーストラリア
39 ヒューストン 米国
40 チューリヒ スイス
41 長沙 中国
42 台北・新竹 台湾
43 ムンバイ インド
44 天津 中国
45 バルセロナ スペイン
46 ケルン ドイツ
47 コペンハーゲン デンマーク
48 マドリード スペイン
49 サンパウロ ブラジル
50 モスクワ ロシア

世界ランキング51〜100位

順位 イノベーションクラスター 国・地域
51 ミネアポリス 米国
52 重慶 中国
53 メルボルン オーストラリア
54 シュトゥットガルト ドイツ
55 ローリー 米国
56 イスタンブール トルコ
57 ミラノ イタリア
58 ブリュッセル・アントワープ ベルギー
59 ヘルシンキ フィンランド
60 アトランタ 米国
61 マイアミ 米国
62 モントリオール カナダ
63 ダラス 米国
64 済南 中国
65 テヘラン イラン
66 アイントホーフェン オランダ
67 フランクフルト・アム・マイン ドイツ
68 バンクーバー カナダ
69 長春 中国
70 ハルビン 中国
71 ケンブリッジ 英国
72 ダブリン アイルランド
73 鄭州 中国
74 瀋陽 中国
75 寧徳 中国
76 ウィーン オーストリア
77 ポートランド 米国
78 厦門 中国
79 チェンナイ インド
80 フェニックス 米国
81 ローマ イタリア
82 メキシコシティ メキシコ
83 大連 中国
84 ピッツバーグ 米国
85 オックスフォード 英国
86 カイロ エジプト
87 寧波 中国
88 ハイデルベルク・マンハイム ドイツ
89 オスロ ノルウェー
90 クアラルンプール マレーシア
91 ワルシャワ ポーランド
92 リヤド サウジアラビア
93 ハンブルク ドイツ
94 鎮江 中国
95 リヨン フランス
96 福州 中国
97 マンチェスター 英国
98 釜山 韓国
99 マカオ・珠海 中国・マカオ
100 ヨーテボリ スウェーデン
※クラスター名はWIPOの英語表記に基づいて日本語化しています。国境をまたぐ都市圏は、複数の国・地域を併記しています。

出典元

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