新関西国際空港が7月17日に発表したニュースリリースによると、関西国際空港の2015 年上期の総旅客数は暦年半期として過去最高となる 1,096 万人、国際線旅客数は 756 万人、国際線外国人旅客数は 458 万人になったと発表しました。また、総発着回数は暦年半期として過去最高のとなる76,816 回を記録しました。今回の実績は、中国等アジアを中心とした国際線で増便が相次ぎ、 それに伴いインバウンド旅客の爆発的な増加が続きました。
【出典元】
→新関西国際空港会社>関西国際空港・大阪国際空港2015年(平成27年)上期運営概況(速報値)<PDFファイル/798KB>

この上期の爆発的な伸び率が下期も続いた場合、年間総発着回数は約 15.9 万回となります。 同様に、年間旅客数は約 2,320 万人となり、国際線旅客数は約 1,600 万人、国際線外国人旅客数は 約 1,000 万人となります。
今回発表された、航空旅客数 1,096 万人は、前年比 119% 、上期および半期として過去最高の旅客数ですが、内訳を詳しく見ると、問題点も見えてきました。まず、国際線 756 万人(前年比 121%)の内、日本人旅客は、291 万人で 前年比 92%と前年割れの状況となっています。対して、 外国人旅客は458 万人で実数で日本人旅客数を圧倒、伸び率も前年比 158%と爆発的です。国内線の利用客数は340 万人で前年比 114%となっていますが、過去9番目の利用実績にとどまっています。
対して日本人旅客数の少なさ、前年割れの状況が気がかりです。まず最近の円安傾向が要因の1つとして上がられますが、最大の問題点はJALとANA、国内キャリアの路線網が完全に東京中心になっている事です。驚くのは伊丹→成田線が存在している事です。2014年度の伊丹ー成田線の利用客数は47.7万人/年、少し前のデータですが、2013年のANAの全路線の年間搭乗率のトップは、なんと伊丹-成田線で83.2%だったそうです。伊丹→羽田線の利用客数は521万人/年で、もちろんこの全てが羽田国際線の乗り継ぎ客のはずはありませんが、仮に3%が乗り継ぎ客と仮定した場合でも25万人/年、成田便と合わせると、近畿圏の海外旅客の大体63.3万人が東京経由で海外に出国していると推測されます。この数字は関空の日本人国際線旅客数の21%に相当し、かなりの数と言えます。しかも関空が手薄な北米、欧州路線は東京に集中している為、大阪→東京の乗り継ぎ客の多くは、これらの路線の利用客なのかもしれません。
関空のこれからの成長シナリオを描く上で、必要になってくるのは、北米・欧州路線の復活です。そのためには、適正な数の日本人旅客の取り込みは必要になってくると思います。



