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関西空港、2025年夏ダイヤで国際線が過去最多となる週 1701便に!万博とアジアの成長を背景に、空のネットワークは進化のステージへ

関西エアポート株式会社は2025年3月28日、同年夏ダイヤ(3月30日〜10月25日)における関西国際空港(KIX)の国際線運航計画を発表しました。これによると、国際線の旅客便と貨物便を合わせた週あたりの総運航便数は1,701便(旅客便1,517便、貨物便184便)に達し、夏冬を通じて過去最多の水準となる見通しです。

旅客便数は新型コロナウイルス感染症前の2019年夏期比で106%、貨物便数は同134%まで回復しており、関空の国際航空ネットワークは「回復」から「拡張」へのフェーズへと確実に移行しています。






アジア方面が需要回復をけん引 中国・韓国・香港で過去最多


方面別に見ると、中国本土が最多の週570便で全体の約38%を占め、前年夏期から182便増、2019年比で115%と著しい回復を示しています。韓国は週377便(同108%)、香港・マカオは週146便(同118%)といずれも過去最多を更新し、台湾(130便、96%)、東南アジア(189便、96%)も安定的に回復しています。

また、LCC(格安航空会社)の比率も高まっており、国際旅客便1,517便のうちLCCは週651便で全体の43%を占めます。Peachや春秋航空、チェジュ航空など、東アジアの近距離路線を中心に高頻度で運航を行っており、利便性が大きく向上しています。






新規・復便ラッシュが進む 地方都市や観光地への接続強化


2025年夏ダイヤでは、中国・韓国・東南アジアを中心に新規路線の開設や運休路線の復便が多数見られます。

中国では、海南航空が重慶線(週4便)を新設し、海口線(週3便)を復便。春秋航空は南京線(週7便)を新規就航、厦門(週7便)、天津(週4便)、揚州(週3便)も復便します。中国南方航空は深セン線(週7便)を再開し、地方都市とのネットワークが大幅に拡充されます。

韓国では、Peachがソウル(金浦)線を週7便で新規就航。また、ベトナム航空がダナン線(週4便)を、ティーウェイ航空がグアム線(週7便)を復便するなど、観光需要に応じた路線強化も進んでいます。






万博とASEAN経済が航空需要を押し上げる


出展:https://www.klia2.info/

2025年4月13日に開幕する大阪・関西万博は、会期中に約2,800万人の来場者が見込まれており、関空の国際線需要は一層高まると予想されています。これに備え、関空では1時間あたりの発着回数を45回から60回に拡大する準備が進められており、航空会社の増便計画にも反映されています。

加えて、ASEAN諸国の経済成長と中間層の増加も国際線需要を下支えしています。年4〜6%の経済成長を背景に、海外旅行需要が拡大。各国の空港整備と直行便の充実が進み、日本と東南アジアとの人的交流・ビジネス需要が急増しています。






第1ターミナルを再構築し、次世代の国際空港へ


こうした成長に対応すべく、関空では第1ターミナルの大規模リノベーションが2025年3月に完了しました。今回の改修では、国際線エリアを60%拡張し、保安検査場を1か所に集約することで、年間4,000万人の受け入れ能力を整備。ウォークスルー型免税店(約2,500㎡)や4つのMOODゾーン、広々とした共用ラウンジの新設などにより、利便性と快適性も大きく向上しています。

あわせて、スマートセキュリティ、多言語案内、バリアフリー対応などの施策も導入され、関空は「次世代型国際空港」としての競争力を一段と高めました。






成長の持続に向けて 空港容量のさらなる拡張が鍵に


一方で、今後も続くと見込まれる航空需要の増加に対応するには、空港容量の中長期的な拡張が不可欠です。

たとえば、1期空港島と2期空港島を結ぶ北側連絡誘導路の整備や、現在未活用の第2期空港島へのフルスペック旅客ターミナルの整備など、完成まで10年単位の時間がかかるインフラ整備を、計画の空白を生まずに段階的に進めていくことが重要です。

さらに、2030年代中盤以降を視野に入れた第三滑走路の新設も、将来的な発着需要に備えるうえで必要となるでしょう。空港全体としての受け入れ能力を高めることが、今後の関空の成長を支えるカギとなります。

また、伊丹・神戸空港との連携強化も地域全体の航空ネットワークを維持・拡大するうえで重要です。神戸空港では国際定期便の就航や24時間運用化、滑走路延伸なども検討する必要がありそうです。関西3空港の役割分担と一体運用による広域的な受け皿形成が期待されています。






関空は“回復”から“成長”へ

アジアの国際ハブとして未来への布石を打つ

 

2025年夏ダイヤは、単なる回復ではなく、アジアの構造的な成長と国際イベント需要を見据えた“次の段階への拡張”を体現するものです。関空はその中心として、ネットワークの質・量ともに進化し続けています。

国際民間航空機関(ICAO)によれば、2044年までに世界の航空旅客数は195億人に達すると予測されており、アジア太平洋地域はその主軸を担うとされています。関西国際空港がその波に確実に乗るためには、戦略的なインフラ投資と地域との連携が今後ますます重要となるでしょう。

関西エアポートの掲げる「One関西」構想のもと、関空・伊丹・神戸の3空港が一体となって成長戦略を描き続けることが、関西の国際競争力と空の未来を大きく左右していくに違いありません。


1 COMMENT

三流流

東アジア便は充実していますが、欧米便が少ないですね。大阪から欧米へ行くには伊丹から羽田か成田へ行き、乗り換えるケースが多いです。欧米から来る人も成田・羽田経由が多いようです。京都や道頓堀などでは、欧米系の顔が大勢います。関空と欧米を直接結び便ぶ便の需要は多いと思いますが、今のままでは空港間競争に負けてしまいます。
万博で英国便などが復活すると思ったのですが、期待はずれでした。
アジアでもインド、インドネシア便がまだ復活していません。東アジアはもう十分ですので、せめて休便中の便だけでも復活してほしい。それとやはり、ANA、JALとも関空軽視を早く改めてほしいですね。

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