出典:Technology, Transparency and Transformation
不動産サービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社『JLL』は2019年4月23日に現在最も成長している都市経済や不動産市場を分析した年次レポート、世界の都市活力ランキング「2019年版シティ モメンタム インデックス(Technology, Transparency and Transformation)」を発表しました。シティ モメンタム インデックス(CMI)は、世界の都市のモメンタムを評価、分析した都市活力をランキングしたレポートです。2019年版は世界131都市を対象とし、社会経済及び商業用不動産のモメンタムから構成される短期モメンタム20項目のサブスコアを加重平均した総合スコアにより評価しました。
【出典元】
→JLL ホームページ
https://www.joneslanglasalle.c
→世界の都市活力ランキング「2019年版シティ モメンタム インデックス」を発刊
世界で最もダイナミックな上位20都市
上位20都市のうち、19都市をアジア太平洋地域の都市が占め、同地域の急速な市街化と経済成長の継続を反映しました。特にインドと中国の都市が四分の三を占め、ベトナム、フィリピン、タイも上位入りしています。
上位都市の多くがテクノロジーやイノベーション分野と強く結びついており、特にテクノロジー分野は不動産モメンタムと経済モメンタム両方の主な牽引役となっています。この分野が巨大テック企業のみならずスタートアップ企業の層の厚さが影響を及ぼしており、ベンガルール、ハイデラバード、ホーチミン、深セン、ナイロビなど、いずれもスタートアップ企業文化を醸成している都市が上位にランクインしました。
急速に成長する都市は、その能力以上に企業や人材を呼び込むことが多い一方で、社会的な不平等、交通渋滞や環境問題などの課題に直面します。こうした課題に取り組み、短期的な成長を長期的なモメンタムへと発展させることが不可欠となっています。
世界で最もダイナミックな上位20都市
1:ベンガルール
2:ハイデラバード
3:ハノイ
4:デリー
5:プネー
6:ナイロビ
7:チェンナイ
8:ホーチミン
9:西安
10:広州
11:南京
12:マニラ
13:北京
14:上海
15:コルカタ
16:重慶
18:杭州
19:深セン
インド:テック企業が都市の成長を牽引
ベンガルール国際空港の新ターミナル 出典:https://www.vccircle.com/
インドの都市は、ベンガルール(1位)、ハイデラバード(2位)、デリー(4位)、プネー(5位)、チェンナイ(7位)、コルカタ(15位)の6都市が上位にランクインしました。インドの上位都市は、ここ数年で多くの直接投資の誘致に成功しており、テクノロジーとエレクトロニクス関連の多くの国際企業を引き付け、スタートアップが生まれています。海外投資家にとって不動産市場の透明度は重要であるものの、インドの不動産透明度は依然として低く、インド政府は不動産透明度の向上と汚職撲滅への取り組みを進めています。中国:急速に成熟化が進む

出典:https://finance.sina.com.cn/
中国の都市は、西安(9位)、広州(10位)、南京(11位)、北京(13位)、上海(14位)、重慶(16位)、杭州(17位)、深セン(19位)、成都(20位)の9都市が上位に入りました。ここ数年、巨額のインフラ投資や不動産開発が力強いモメンタムを支え、高速鉄道網の拡大、新たな地下鉄システムや空港の容量拡大など、巨額なインフラ投資の恩恵を受け続けています。一方で、発展の原動力はインフラからイノベーション主導へと変化し始めており、イノベーション、起業精神、生活のしやすさを基盤とした新たな都市構造がグローバル規模で進化しています。製造業がベトナムの成長を牽引
ベトナムはCMIの中でハノイ(3位)とホーチミン市(8位)が両方のランキングで強い存在感を示しています。トップ10の両都市は、急速に成長する人口と社会経済的な勢いで発展しています。ホーチミン市は一般的により多くの人を引き付けるビジネスにやさしい投資先と見なされています。ハノイは商業的に遅れていますが、高い企業プレゼンスと海外投資により急速に進化している都市です。ベトナムの製造業は、堅調な需要に一部牽引されており、経済成長の源の1つです。ベトナムは中国に代わる低コストの代替品と見られることが多く、FDIはそれを背景に成長してきました。中国とアメリカの間の貿易紛争の拡大は、ベトナムの経済に長期的な利益をもたらすかもしれません。ホーチミン市とハノイはどちらも、マイクロソフト、LG、インテル、サムソンといった多国籍テック企業のから投資が拡大しています。
商業用不動産のモメンタムの指標で大阪が世界1位に

出典:osaka-office-market-summary-2018Q4_ja
大阪の市場ファンダメンタルズは好調で、今後数年間は底堅いオフィス需要と限定的な供給による力強い賃料上昇が予想されます。また、2019年のG20サミット開催、2025年の万国博覧会の開催地に決定したことで、インフラ整備や再開発の増加が見込まれます。その裏付けとして、大阪はサブインデックスである商業用不動産モメンタムで世界1位となりました。
大阪に続き、福岡が商業用不動産モメンタムで4位に入りました。福岡は、再開発プロジェクト「天神ビッグバン」を通じて、中核となる地域の再興に取り組んでいます。イノベーションエコノミーに注力することで、シアトル、ストックホルム、ミュンヘンのような優れたテクノロジーによる住みやすさを実現し、世界のイノベーションエコノミーにおいて重要な役割を果たしている中規模都市の一員に加わろうとしています。

東京の不動産価格が高止まりしていることを背景に、大阪と福岡を含む日本の中規模都市が投資先としての重要性を高めています。従来こうした都市は国内投資家が中心となっていましたが、構造的なシフトにより海外投資家の注目を集め、特に大阪に対する注目度が高まっています。
商業用不動産のモメンタムは、オフィスの需要、オフィス賃料、リテール賃料及びホテル客室料金の直近の変動率及び予想される変動率(%)に関する変数に基づくものです。また、国際小売企業のプレゼンス、商業用不動産直接投資総額、不動産透明度も含まれます。
商業用不動産のモメンタム上位5都市
1:大阪
2:アテネ
3:プタペスト
4:福岡
5:アムステルダム



