しいのき迎賓館は、長く石川県政の歴史を刻んできた旧石川県庁舎本館をリニューアルして誕生した市の施設です。館内には周辺の総合観光案内所や、レストラン・カフェ、会議室、ギャラリーなどの憩い・交流の空間を備えた複合文化施設となっています。
旧石川県庁舎本館は、大正13年(1924年)に竣工した、鉄筋コンクリート造の建物で、設計は国会議事堂などの設計に携わった、大蔵省大臣官房臨時建築部 技師 矢橋賢吉氏が行い、施工は日本土木株式会社(現:大成建設株式会社)により建設されました。石川県庁は、平成14年(2002年)12月27日に新県庁舎(金沢市鞍月)に移転、それまでの間、約78年間県庁舎として使用されました。
建物の正面にある2本の大木は「しいのき迎賓館」の名称の由来となるった堂形の「シイノキ」です。この木は推定樹齢約300年(推定)と言われる立派な木で、1592年加賀藩3代藩主前田利常公が書院を造ったときの庭木と言われ、昭和18年に国指定天然記念物に指定されました。
正面玄関の様子です。
エントランスホールの様子です。県庁時代の名残りをとどめる赤絨毯、歴史を感じさせる重厚な大理石が圧巻の空間です。
階段の様子です。本物感がビシビシ伝わって来ます。いろんな比喩表現を考えてみましたが、どれも安っぽい気がして上手く伝えられません。とにかく本物が持つ凄みを感じました。
階段の踊り場から、2階と3階を見たアングルです。2階には、 ミシュラン3つ星のフランス『ポール・ボキューズ』と『ひらまつ』による、大正ロマン薫る旧知事室を改装したレストラン「ジャルダン ポール・ボキューズ」があります。
吹き抜け空間を1階から見たアングルです。壁面をよく見ると、旧建物の構造体が見て取れます。建物の耐震化やバリアフリー化など、現代の公共施設として求められる快適性と歴史的建造物を両立させた造りとなっています。
反対側から見た、しいのき迎賓館の様子です。過去と未来が隣り合ったデザインです。
反対正面から見た、しいのき迎賓館の様子です。ガラスと鉄で構成された現代的な意匠ですが、旧石川県庁舎本館を明らかに意識している様に見えます。
しいのき迎賓館、実はまだ工事が続いており、現在2期工事が進められています。2期工事の舞台はこの駐車場です。
現地にあった完成予想パースです。なんとこの駐車場をわざわざ地下化し芝生公園を拡張、周囲の金沢城や兼六園と一体化を図る計画となっています。石川県と金沢市は、双方とも都市格を高め、ブランド力を強化する取り組みをコツコツと続けており、その取り組みは徐々に積み上がっている印象を受けます。金沢は都市のブランド化が金を生み出す事を知っているのだと思います。
しいのき迎賓館。旧石川県庁舎本館を上手く活用した、魅力的な施設に仕上がったと思います。金沢は都市のブランド化を明確に意識していると僕は感じており、大阪にも金沢のような都市格、ブランド力を上げる戦略と、実現する為の継続的な取り組みが必要だなぁ。。としみじみと思いました。