大阪ガス都市開発、京都信用金庫、龍谷大学の3者で構成する「共創HUB京都コンソーシアム」は、2025年11月14日、JR京都駅から徒歩7分の京都市下京区で、産学金連携と住まい・文化・食を融合した複合拠点「共創HUB京都(仮称)」を着工したと発表しました。計画地は約4,000㎡の市有地で、地上8階建ての複合施設を整備し、2028年春の開業を予定しています。
京都市立芸術大学の新キャンパスに隣接したこのエリアは、文化・芸術拠点の整備が続く京都駅東部エリアの中心に位置します。共創HUB京都は、この地域のポテンシャルを活かし、学生・企業・起業家・社会人が日常的に交わる「知と創造の結節点」としての役割を担います。
1. 施設構成:学び・挑戦・居住が連続する立体的な複合空間
施設は1階から8階まで用途が明確に階層化され、「学ぶ」「挑戦する」「住む」を一体的に循環させる構造になっています。
| 階層 | 機能 | 主担当 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 1F(西) | QUESTION京都駅前(仮称) | 京都信用金庫 | 起業支援窓口、交流スペース |
| 2F(西) | QUESTION京都駅前(仮称) | 京都信用金庫 | シェアオフィス、投資支援(京信ソーシャルキャピタル常駐) |
| 1F(東) | アートスペース | 寺田倉庫 | 展示、販売、アートイベント |
| 1–2F(東) | 料理学校 | ル・コルドン・ブルー | フレンチ・和食の国際教育 |
| 3–4F | 龍谷Unlimited Lab | 龍谷大学 | サテライトキャンパス、アントレ教育、食堂 |
| 5–6F | 交流型学生寮 | 共立メンテナンス | RAプログラム、栄養管理食、学生交流 |
| 7–8F | 交流型賃貸マンション | 大阪ガス都市開発 | ワークラウンジ、イベント、共創型居住 |
これらの機能が1棟に収まることで、学生・社会人・起業家が「学び → 試す → 住む」をワンストップで回せる点が大きな特徴です。
2. 参画プレーヤーの“本音”から読み解くプロジェクトの狙い
本プロジェクトには、産学金・文化・住まいを担う複数の組織が参画しています。それぞれが異なるミッションや課題を持ちながら、本拠点に参加することで“解決したいこと”があります。表向きの「地域活性化」「人材育成」に加え、ここでは参画者の実際の狙いや期待を本音ベースで整理します。
▼ 大阪ガス都市開発:不動産価値 × 知的価値の両立
・京都リサーチパークに続く、知を集積する拠点を駅前に構築したい
・教育・文化・起業支援を1か所に束ね、長期的に価値を生む不動産を形成
・京都駅前の新たなランドマークとしての存在感を確立
▼ 京都信用金庫:挑戦者支援の“本丸”を駅前に構築
・QUESTIONで生まれたコミュニティを、挑戦と投資まで広げたい
・駅前で若い起業家との接点を増やし、京信ソーシャルキャピタルと連動して支援
・金融機関として“未来をつくる事業”を創出する仕組みを確保
▼ 龍谷大学:教育成果を社会につなぐ外部拠点を獲得
・キャンパスの外で、企業と学生が交わる学びの場をつくりたい
・アントレ教育や実践教育を強化し、龍谷大学の“実装力”を可視化
・幅広い大学・高校との連携も可能になり、人材育成の幅が大きく広がる
▼ 寺田倉庫:アートによる都市価値向上の実証フィールド
・京都駅前という象徴的立地で文化発信の新モデルをつくりたい
・若手アーティストの作品発表とイベントを通じて来訪者を増やす
・アートを都市価値に転換する成功例をつくることで事業の幅を広げたい
▼ ル・コルドン・ブルー:京都を国際的な“食の教育拠点”に
・京都の食文化と国際教育の掛け合わせで新市場を創出したい
・和食講座の展開で国内外から学びの需要を取り込む
・観光とは異なる“長期滞在型の教育需要”を掘り起こしたい
▼ 学生・起業家:京都で挑戦し続けられる環境を確保
・京都は学都だが、挑戦の場が限られていた
・「学ぶ・試す・住む」が一体化することで活動のハードルが大きく下がる
・企業や金融、大学が同じ建物内にあることで極めて実践しやすい
▼ 京都市:観光依存からの転換と駅東部の再編
・文化消費型の構造から“創造型”都市への転換を進めたい
・若者が京都で学び、挑戦し、住み続ける循環をつくることが急務
・京都駅東部を「価値創造の集積エリア」として再定義
3. 期待される効果:京都の強みを未来へつなぐ価値循環の実現
共創HUB京都の開業により、以下のような複合効果が期待されます。
① 人材・文化・技術が循環する京都独自の成長エコシステムを形成
学生 → 起業 → 居住 → 文化発信 → 再挑戦 という循環を駅前で実現します。
② 文化・アート・食・教育が融合する、京都ならではの価値創造モデルが確立
③ 京都駅前の役割が“観光の玄関口”から“未来をつくる拠点”へと進化
4. 総括:京都の文化・教育・挑戦を結びつける次世代型の共創拠点
共創HUB京都(仮称)は、イノベーション創出、人材育成、金融支援、文化発信、国際教育、交流型居住を一体化した、京都でも類を見ない複合施設です。
豊かな文化と学術基盤を持つ京都において、それらを未来の挑戦や新産業に確実につなげていくための “次世代型の共創拠点” として、2028年春の開業が期待されています。
【出典元】
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大阪ガス都市開発株式会社/京都信用金庫/学校法人龍谷大学
「共創HUB京都(仮称) 着工発表資料」 -
京都信用金庫プレスリリース
「JR京都駅至近・京都市立芸術大学隣接地にて、住居を備えた産学金連携イノベーションハブ拠点『共創HUB京都(仮称)』着工」 -
外観イメージ・機能構成資料
(寺田倉庫、ル・コルドン・ブルー・ジャパン、共立メンテナンス、龍谷大学)





