NTTは、2022年9月29日付けのニュースリリースで、NTTグローバルデータセンター株式会社(NTT GDC)を通じて、京都府内に国内最大級となる「京阪奈データセンター(仮称)」を新設し、NTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)が2025年度下期からサービスを提供すると発表しました!
「京阪奈データセンター」は、京都府相楽郡の『けいはんな学研都市』に所在する、NTTグループの研究開発施設に隣接する、災害リスクが低い海抜約94mの平地で、大阪、京都、奈良の都心部からいずれも車で1時間以内にアクセスできる立地です。
建物は地上4階建ての免震構造で、第1期は6MWからスタートし、徐々に拡張しながら、4,800ラックに相当する10,900㎡のサーバールームに合計30MWを供給する予定です。
NTTによると、プロジェクトには約400億円を投資する予定で、データセンターの国際標準『Tier III』基準相当の電力・空調・通信設備の冗長化、災害対策、充実したセキュリティを備えるほか、省エネ型の設備の充実により、サステナブルで安全なサービスを提供するとしています。
【出展元】
→NTTグローバルデータセンター>関西圏における新データセンターの建設について
2:次世代ネットワーク構想「IOWN」の研究を推進
京阪奈データセンターでは、NTTの次世代ネットワーク構想「IOWN」の研究を推進します。「IOWN(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)とは、NTTが2019年5月に発表した、ICTインフラ基盤構想で、近未来のスマートな世界を支えるコミュニケーション基盤となる技術です。
従来の電子技術(エレクトロニクス)から光技術(フォトニクス)にシフトし、これまでのインフラの限界を超えた高速大容量通信ならびに膨大な計算リソース等を提供する事で、より「低遅延」「低消費電力」「大容量・高品質」のネットワークを実現しよう構想です。2024年の仕様確定、2030年の実現をめざして、研究開発が行われています。
日本のインターネット内の1秒当りの通信量は、2006年から約20年間で190倍(637 Gbit/sから121 Tbit/sへ)になるという推計や、世界全体のデータ量が2010年から15年間で90倍(2ZB(ゼタバイト)から175 ZBへ)に増加するという推計があります。
今後通信量のさらなる増加、ネットワークのさらなる複雑化、輻輳などによる遅延の増加などの重大な課題に直面するため、情報通信システムのブレイクスルーが求められています。
NTTは、これらの課題を解決に向けて、京阪奈データセンターの同敷地内にある研究施設で開発した「IOWN」関連技術のPoC(Proof of Concept:概念実証)を、同データセンターで実施する予定で、2025年度以降に計画されているIOWNの本格展開につなげていきたい考えを示しました。将来的には「電力効率を100倍」、「伝送容量を125倍」、「エンド・ツー・エンド遅延を200分の1」となるオールフォトニクス・ネットワークなどの実現を目指しています。
NTTのは、研究施設に巨大データセンターを併設する事で、同社の研究資産を効率的に活用し、研究成果の早期実用化を加速する狙いがあります。
3:攻勢をかけるNTT、グローバルシェアは第3位
2019年から2026年のデータセンター市場の年平均成長率(CAGR)は、クラウド需要の増加を背景に、首都圏で9.2%、関西圏は15.7%と予測されており、日本全体では、グローバルの年平均成長率11.5%をしのぐ見込みです。
NTTでは、関西圏のデータセンターにつて、首都圏に次いで急速に成長している市場で、地元企業だけでなく、国内外企業から幅広い需要があり、グローバルで大規模クラウドビジネスなどを展開するハイパースケーラーからも拡大が求められているとしています。
同社は2022年に、スペイン、インドネシア、インドで施設を立ち上げ、イギリスとスイスの既存施設を拡張し、ベトナムでの新しいデータセンターの計画を発表しました。オーストリア、ドイツ、南アフリカでのプロジェクトも進行中です。最近では、バージニア州アッシュバーンに6つ目のデータセンターを、マレーシアのサイバージャヤに6つ目のデータセンターを着工しました。
NTTのデータセンター事業の収益は過去5年間で倍増しており、グローバルシェアは第3位となっており、今後さらなる攻勢をに出る考えです。