近鉄不動産は2026年10月8日、大阪市天王寺区で建設中の「(仮称)上本町六丁目ビル」の正式名称を、「上本町ネクサス(UEHOMMACHI NEXUS)」に決定したと発表しました。
計画地は近鉄「大阪上本町駅」の北側、千日前通に面した旧中国料理「百楽」跡地です。地上12階、延床面積約1万2,548㎡の複合ビルを建設し、2027年2月の竣工を予定しています。
当サイトでは2026年2月の現地取材記事で鉄骨建方の進捗を紹介しました。今回の発表では、老舗「百楽」の新業態での復活に加え、コメダ珈琲店や明月館グループの出店など、施設の具体的な構成が明らかになりました。
飲食・医療・オフィスを集約。駅前に新たな複合拠点

上本町ネクサスは、低層部に飲食・医療機能、中高層部にオフィスを配置する複合施設です。近鉄は地域住民、オフィスワーカー、来街者の接点となる「結節点(NEXUS)」を施設名称に掲げています。
| フロア | 主な用途・テナント |
|---|---|
| 1階 | For/meLa 百楽 |
| 2階 | 明月館グループ、コメダ珈琲店 |
| 3~4階 | クリニック |
| 5~7階 | オフィス |
| 8階 | オフィス・貸会議室 |
| 9階 | オフィス |
| 10階 | オフィス・近鉄不動産総合ギャラリー |
| 11~12階 | オフィス |
施設構成から読み取れるのは、広域集客型の大型商業施設とは異なる開発方針です。周辺の居住者や就業者が日常的に利用する飲食・医療サービスを充実させながら、オフィスの集積によって駅前の業務機能も強化します。
1958年創業の「百楽」が新ブランドで復活

今回の開発を象徴するのが、中国料理「百楽」の再出店です。
百楽は1958年11月、現在の上本町YUFURAの場所にあった近鉄会館4階で誕生しました。その後、今回の計画地でも長年営業しましたが、2021年に閉店。シェラトン都ホテル大阪地下1階で営業していた上本町店も、2026年3月31日に営業を終了しました。
新店舗は「For/meLa 百楽(フォーメラ ヒャクラク)」として再出発します。「For/me」は顧客一人ひとりに合わせた料理やサービス、「meLa」は炎や熱を表現する言葉です。従来のブランドを継承しつつ、店舗デザインや商品、サービスを刷新するリブランディングを図ります。
開業は2027年春頃を予定。単なる飲食テナントの誘致ではなく、地域に根付いた老舗ブランドを再生する点に、今回の開発の特徴があります。
近鉄が進める上本町再開発。観光拠点から「文教・住宅都市型ターミナル」へ

近鉄グループは、大阪上本町駅を中心とするエリアの再開発を検討しています。当サイトで紹介した2019年の再開発構想では、万博やIRを見据え、ホテル・MICE・観光などの広域集客機能を重視していました。
その後、2026年5月に公表された方針では、上本町の住宅・文教地区としての特性を生かし、商業・医療・教育・文化・交通機能を充実させる方向性が示されました。対象エリアも谷町九丁目から鶴橋まで広がっています。
2026年8月の既報では、大学やエンターテインメント施設の誘致、近鉄百貨店上本町店やシェラトン都ホテル大阪の再編構想を紹介しました。また、大阪上本町駅では2025年3月に新通路・新改札口が供用開始されるなど、交通機能の改善も進んでいます。ただし、百貨店やホテルを含む大規模再開発は、建設費高騰などを背景に事業規模や手法を検討している段階です。
一方、上本町ネクサスは2027年2月の竣工を目指して建設が進む具体的なプロジェクトです。飲食・医療・オフィスを集約する施設構成は、広域集客だけに頼らず、地域の生活需要とビジネス需要を取り込む近鉄の開発方針を先行して具体化するものといえます。
建設は進行中。今後はテナント詳細と開業時期が焦点に
上本町ネクサスは2025年3月に着工し、2026年10月時点で建設工事が進んでいます。建物名称と主要テナントが決まったことで、計画は開業準備に向けた段階へと進みました。今後は各飲食店の正式な開業日、クリニックの診療科目や入居医療機関、オフィス入居企業などの発表が注目されます。建物の竣工とテナントの開業時期は異なるため、全館の開業スケジュールについては続報を待つ必要があります。
上本町ネクサス 計画概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 上本町ネクサス |
| 計画名称 | (仮称)上本町六丁目ビル |
| 所在地 | 大阪市天王寺区上本町六丁目 |
| 交通 | 近鉄「大阪上本町駅」、Osaka Metro「谷町九丁目駅」徒歩圏 |
| 敷地面積 | 1,504.21㎡ |
| 建築面積 | 1,132.59㎡ |
| 延床面積 | 12,548.14㎡ |
| 規模 | 地上12階 |
| 構造 | 鉄骨造 |
| 用途 | オフィス・商業施設等 |
| 建築主 | 近鉄不動産 |
| 設計 | 昭和設計 |
| 施工 | 淺沼組 |
| 着工 | 2025年3月 |
| 竣工予定 | 2027年2月 |
まとめ:大規模再開発に先行する、上本町の都市機能更新

上本町ネクサスは、約1,500㎡の限られた敷地を高度利用し、オフィス・飲食・医療機能を集約する開発です。
梅田や難波のような大規模商業集積とは異なり、上本町は交通利便性と良好な住環境、教育・文化施設の集積に強みを持っています。新ビルはこうした地域特性を生かし、日常的な生活需要と業務需要の双方に対応します。
近鉄グループが検討するターミナル全体の再開発は、なお構想を具体化する段階にあります。一方、上本町ネクサスはすでに建設が進み、主要な施設構成も固まりました。
老舗「百楽」の復活と新たな都市機能の導入を両立する今回の計画は、上本町が持つ地域性を継承しながら、駅前の役割を広げる開発といえそうです。
出典・参考資料
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