万博閉幕1周年!大屋根リング約200mの保存が設計段階へ。当初設計の東畑・梓設計JVを選定、2027年10月までに改修計画を策定



大阪・関西万博が閉幕した2025年10月13日から、ちょうど1年。大阪都市計画局は2026年10月13日、大屋根リングの初期改修に係る基本設計及び維持管理計画策定業務の優先交渉権者に、東畑・梓設計共同企業体を選定したと発表しました。

今回の業務では、夢洲北東部に保存する約200mの区間を対象に、耐久性の向上や構造補強、防耐火・避難安全、長期的な維持管理計画などを策定します。契約期間は契約締結日から2027年10月29日までです。

保存範囲や周辺の記念公園・記念館については、すでに基本方針が示されています。今回の事業者選定によって、大屋根リングをどのように改修し、安全に使い続けるかを具体化する段階へ進みます。

万博当時の基本設計者が再び担当



東畑・梓設計共同企業体は、2025年大阪・関西万博の大屋根リングについても基本設計を担当しました。

大屋根リングは、会場デザインプロデューサーの藤本壮介氏が構想した、全周約2km、幅約30m、高さ最大約20mの巨大な木造建築物です。日本の伝統的な貫(ぬき)接合に現代の建築技術を組み合わせた構造が特徴で、2025年3月には「最大の木造建築物」としてギネス世界記録に認定されました。

今回、当初設計を手掛けた共同企業体が再び選ばれたことで、建築の構造や設計思想を踏まえた改修計画の策定が進められます。

公募型プロポーザルへの応募は1者で、2026年10月7日の審査では、3人の選定委員による評価で**300点満点中251点(得点率83.7%)**を獲得しました。

保存の焦点は「人が登れる状態」で長く使うこと



大屋根リングは、万博会期中の使用を前提とした仮設建築物です。保存計画では、約200mを原形に近い形で残し、万博当時と同様に人が登れる施設として活用する方針が示されています。

そのためには、既存の木造構造物に長期利用に対応した改修を施し、安全性と維持管理のしやすさを確保する必要があります。

今回のプロポーザルでは、以下の4項目が技術提案の評価対象となりました。
評価項目 主な検討内容
耐久性向上 木材の劣化対策、補修・更新の容易性
構造補強 構造安全性の確保、意匠との調和
防耐火・避難安全 火災リスク、避難計画、安全対策
維持管理計画 定期点検、部材更新、モニタリング、ライフサイクルコスト
4項目の配点は計60点で、審査全体の60%を占めます。単に建築物を残すだけでなく、安全に利用できる状態を維持しながら、長期的な補修・更新費用を抑えることが重要な課題となります。

大屋根リング保存計画のタイムテーブル

保存計画は、約200mの残置方針から、記念公園・記念館の計画策定、リング本体の改修設計へと段階的に進んでいます。
時期 主な動き
2025年9月 北東部約200mを原形に近い形で保存する方針で合意
2025年10月13日 大阪・関西万博が閉幕
2026年2月 約2.9haの記念公園とEXPO2025記念館(仮称)の整備方針を公表
2026年6月 万博の剰余金をリングの初期改修と20年間程度の維持管理などに活用する方針を整理
2026年7月 記念公園ゾーンの事業構想・基本計画策定業務を公募
2026年9月11日 公園全体の計画策定者に電通・電通ライブ・日建設計JVを選定
2026年10月13日 リング改修基本設計・維持管理計画の策定者に東畑・梓設計JVを選定
2027年9月30日 記念公園ゾーンの事業構想・基本計画策定業務が完了予定
2027年10月29日 リングの初期改修基本設計・維持管理計画策定業務が完了予定
2027年度以降 建設事業評価などの手続きを経て、整備の具体化へ
※2026年10月13日時点の公表情報に基づきます。今後の工程は変更される可能性があります。

計画では、約200mの大屋根リング、約2.9haの記念公園、延床約3,000㎡を想定する記念館を一体的に整備します。

公園全体の事業構想・基本計画を電通・電通ライブ・日建設計JVが、リング自体の改修基本設計を東畑・梓設計JVが担当します。両業務を並行して進め、施設配置や利用方法、整備内容を具体化します。

20年間程度の維持管理を想定、改修費用は今後精査



保存に伴う費用については、2025年9月時点で初期改修と10年間の維持管理に約55億円との試算が示されていました。

その後、2026年6月の国の成果検証委員会では、20年間程度を想定した維持管理などに万博運営費の剰余金を配分する方針が取りまとめられました。

ただし、約55億円は当時の試算であり、現在の計画の確定事業費ではありません。今回の業務を通じて、必要な補強内容、維持管理方法、ライフサイクルコストを具体化していくことになります。

大屋根リングは夢洲の新たな公共空間へ



万博会場では大屋根リングの解体が進み、北東部の約200mが保存対象として残されます。当サイトでも、2026年7月の現地取材記事で解体が進む会場跡地の様子を紹介しました。

今回決定したのは設計業務の優先交渉権者であり、改修工事の施工者や工事完了時期、一般向けの開放時期はまだ決まっていません。

保存するリングを記念公園や記念館とどう結び付け、万博閉幕後も人々が訪れる場所として活用するのか。今後の基本設計と事業計画の進展が注目されます。




出典・参考資料

Visited 7,018 times, 7,018 visit(s) today