2020年3月14日、近鉄のシンボル名阪特急に新型車両「ひのとり」がデビューします。投入される近鉄80000系電車は、6両編成×8編成、8両編成×3編成、計72両が導入され大阪難波―近鉄名古屋間を結ぶ、名阪特急「アーバーンライナー」を順次置き換える予定です。
開発コンセプトは~くつろぎのアップグレード 名阪特急 次の時代へ~ 。ライバルの新幹線が新大阪―名古屋間を約50分で結ぶ状況で、難波―名古屋間を2時間強で走る近鉄特急はスピードでは勝負になりません。そこで近鉄は2時間強の移動を快適に過ごせる様に、接客設備を大幅にアップグレードさせ「最上の寛ぎの時間」を提供する事で差別化を図る事にしました。スピードでは適わないので車両の快適性を大幅に引き上げ、新幹線に勝負を挑みます。
2020年3月14日にデビューする「ひのとり」ですが、2月8日(土)に有料体験試乗会(抽選)が、2月9日(日)にクラブツーリズム等の旅行会社が企画した体験ツアーが実施されデビュー前に乗車するチャンスがありました。今回は確実に乗れる「ツアー」を12月3日に申し込み、一足先に「ひのとり」を体験してきました!
ひのとりは「くつろぎのアップグレード」をコンセプトに、リクライニングに伴う前後座席のストレスを解放するため、全座席に「バックシェル」を採用しています。
グレーを基調にブルーを織り込んだシート生地はシックで爽やかさを感じる事が出来ます。シートは肉厚感があるモッチリとした座り心地で良い感じでした。
シートは従来のモノよりもかなりハイバックで高さがあり、頭をあずける事ができます。
手摺りとシート生地のアップです。
バックシェルとシート本体の間にはリクライニングさせる為の余裕(隙間)があり、フル・リクライニングさせても後部座席が圧迫される事はありません。
フルリクライニングさせるとこんな感じになります。手前のシートがフルリクライニング状態、奥がデフォルト状態です。リクライニングの動作はシェルの中で行われます。
驚いたのがバックシェルの質感。梨地に塗装された金属パーツがふんだんに使われており、想像よりも遙かに高級感がありました。
着席するとこんな感じに見えます。
大型の背面テーブルの様子です。
カップホルダーが使いやすい位置にあります。
シートピッチ(前後間隔)は、のぞみグリーン車と同じ116cmもあります。身長180cmの僕がフルリクライニング状態でフットレストを使っても余裕がありました。
レギュラーシートを真上から見るとこんな感じす。コーヒーテーブルも高級感があります。全体的に見て、インテリアデザインが一世代アップデートされた感じがしました。
窓側にペットボトルやスマホが置けるスペースが設けられていました。ちょとした工夫ですが非常に実用的で何かと重宝しそうです。
コンセントは肘掛けの全面に配置されています。リクライニングのスイッチの操作性が良くて関心しました。
天井付近の様子です。照明の効果もあって非常に広々した印象です。
荷棚付近の様子です。木目調パネルに質感の高い金属パース、ガラスを組み合わせています。
シートの上にはさりげなくエアダクトが設けられています。
車椅子スペースの様子です。
妻面の様です。木目調パネルや床の色使いがモダンでかっこいいです。まるで最新のホテルの様なセンスの良いデザインです。
車両端に設置されている液晶モニターの様子です。試乗会ではロゴマークが表示された状態でした。実運用は運転開始後から、との事です。
荷物置きスペースの様子です。
一足先に乗車した「ひのとり」のレギュラーシート。JR東日本ならグリーン料金を取るレベル・・・のシートを普通車(レギュラーシート)に投入する所が凄すぎます。何度も書きますが、バックシェルの恩恵は凄まじく、気分によってシートの角度をドンドンかえても周りに迷惑がかかからない、特急電車で常に感じてきたストレスが無くなる事は本当に素晴らしいと思いました。インテリアデザインも頭1つ抜けた感じで、まさに新世代の特急電車だと言えると思います。
新生ひのとりは、全ての私鉄特急の新たなベンチマークとなり、今後登場する車両達の水準を引き上げる事になりそうです。