近鉄は2020年3月23日付けのニュースリリースで大和西大寺駅のリニューアル概要を発表、先端技術を活用した新しい駅運営のあり方、「近未来ステーション構想」が明らかになりました。
大和西大寺駅の南北自由通路が4月19日(日)に一部供用開始されることに合わせ、新たな増床エリアを開放し、自由通路に接続した中央改札口の供用が始まりますが、近鉄が取り組んでいるを「近未来ステーション構想」のパイロットケースとして大和西大寺駅に大型マルチディスプレイを利用したお客さま案内や、AIを活用した案内ロボット、車椅子利用者の見守りシステムなどが試験導入されます。
【出展元】
→近未来ステーションとして大和西大寺駅が新しく生まれ変わります
「近未来ステーション構想」とは
近鉄は、「近未来ステーション構想」と題し、AI や ITなどの先端技術を活用した新しい駅運営の形を検討しています。これらの取り組みにより、お客さまへのサービスや安全性の向上、駅係員の業務負担軽減および効率化を図っていきます。
大和西大寺駅に駅案内ロボットが登場!
多様化するお客さまのニーズへの対応、増加するインバウンドに対する多言語での案内など、駅での案内サービスを充実させるため、AI を活用した案内ロボットを中央改札口カウンターとコンコース内に設置。「乗換案内」「駅構内や駅周辺の案内」「よくあるお問い合わせへの回答」などを多言語(日・英・中・韓の 4 カ国語)で行い、問い合わせに対して適切な回答(案内)ができているかを確認しつつ案内ロボットを育てていきます。
ロボットのビジュアルが未来チックで目を引きますが、動き回るロボットはペッパー君が街中に溢れかえっているので見当たらしさはありません。重要なのは中身なのですが、プレスリリースに「育てて行く」の文言があるので近鉄側もそこを意識していると思われます。
大型マルチディスプレイ
お客さまに対する案内機能を強化するため、中央改札口内に大型マルチディスプレイ(55 インチ×9 台)を設置し、電車の発車時刻やのりば案内・沿線のご案内等の情報を提供。また、事故や災害によるダイヤ乱れ等が発生した時には運行情報等を提供します。
従来のLED発車票+マルチディスプレイによる電子案内板の組み合わせですが、グラフィカルな路線図上に発車案内を表示させる事で「難波に行くなら3番線の15:02分の急行にのればいい」などを直感的に理解させる事ができます。
AIカメラを活用した改札口見守りシステム
中央改札口・南改札口から入場される白杖をお持ちのお客さまや車椅子をご利用のお客さまを、改札口上に設置したカメラを通してAIが自動的に認識し、駅務室内の専用パソコンを通じて駅係員に連携するシステムを設置します。駅係員が他の業務中でもお客さまの来駅に気づきやすくすることで、お客さまにより安心して安全にご利用頂ける駅を目指します。(本稼働は 6月下旬を予定)
特定の利用者の外観特徴を機械学習させ、カメラ画像をAIで認識させる技術です。AIが車イス・白杖利用者を認識・把握。次に異常時行動や、危険エリアへの侵入のデータを照合。検知した時に駅係員に通報する仕掛けですね。
AIカメラは防犯カメラでの利用がかなり進んでいますが、その技術を使って駅員の監視業務の一部をAIに肩代わりさせるシステムです。今後は対象者や行動パターンを増やせば、いろいろ応用が効きそうです。
駅舎の内外装がリニューアル(2021年度完成予定)
南北自由通路の開通に伴い、駅舎の内外装がリニューアルされます。歴史ある西大寺の街並みに相応しい玄関口として、また、今後の近鉄の駅のあり方やサービスを試みていく先進的な駅として「和の伝統と現代技術の融合」をイメージコンセプトに、外装は光沢のあるダークグレーの色合いにランダムな表面加工を施して陰影をつけることで先進性を表現しつつ、格子をモチーフとした木目調フィンルーバーをアクセントとしています。また内装は、木目調と石調をベースに、シンプルなデザインとなっています。
そのほか、駅の北側と構内地下道にあるトイレを移転・統合し、段差のない広々とした空間づくりやパウダーコーナーの設置が計画されています。2021年12月頃から利用開始の予定です。
大和西大寺駅は今後の近鉄駅のパイロットケース
駅の内外装デザイン、旅客案内方法、ICTを活用した駅業務の効率化とサービス向上など同駅での取り組みの成果は、今後近鉄の他の駅に横展開される事になります。単なる駅リニューアルに留まらない、新しい駅のあり方を模索する、大和西大寺駅の今後に注目したいと思います。