先斗町(ぽんとちょう)は三条通の一筋南から四条通まで通じる鴨川にそった南北約500mの細長い通りのことを指し、京都における著名な花街の一つです。この地に水茶屋が初めてもうけられたのは正徳二年(1712)の頃で、安政6年(1859年)になって芸者嫁業の公許が下り、祇園と並ぶ花街として有名になりました。幕末に勤皇と佐幕に分かれて抗争した志士たちが、追われてこの露地に身を潜めたり待ち伏せしたりしたそうです。先斗町の語源については、東が鴨川(皮)、西が高瀬川(皮)、皮と皮にはさまれた鼓を叩くとポン音がするのをモジって、ポント町の名が生まれたとも、ポルトガル語のPONTからきているとも言われています。
京都五花街のひとつとして知られる先斗町ですが、町並みの景観向上と震災時の電柱倒壊防止などを目的として、現在、無電柱化(電柱電線類の地中化)が行われています。南北490mの工事対象区間に立つ17本の電柱の撤去と、電線の地中化への切り替えが順次行われます。先斗町通は道路幅が1,6〜4.4mと非常に狭く無電柱化は不可能とされていましたが、小型ボックス活用埋設方式という新しい方式により無電柱化が可能になりました。【出典元】
→京都市建設局:先斗町通電柱化事業での小型ボックス活用・埋設の開始について(PDF)
【過去記事】
→先斗町通無電柱化事業は新工法「小型ボックス活用埋設方式」を採用! 18.02
先斗町通無電柱化事業とは?
先斗町通の景観を阻害している電柱や電線類を取り除き,京都にふさわしい町並みの保全再生,地域・観光の活性化,文化・伝統の継承,安全で快適な通行空間の確保及び都市防災の向上を図るため,平成27年度から無電柱化事業に着手しています。【事業の概要】
事業区間:中京区石屋町~中京区柏屋町
路 線 名:一般市道 先斗町通
事業延長:490m
道路幅員:1.6m~4.4m
整備手法:小型ボックス活用埋設方式
事 業 費:約12億円(国の交付金を活用)
事業区間:中京区石屋町~中京区柏屋町
路 線 名:一般市道 先斗町通
事業延長:490m
道路幅員:1.6m~4.4m
整備手法:小型ボックス活用埋設方式
事 業 費:約12億円(国の交付金を活用)
京都市建設局のPDFパンフレットからお借りした無電柱化後の先斗町の様子(完成予想パース)です。
小型ボックスを用いた無電柱化とは
これまで無電柱化の整備手法として,一般的に用いられてきた道路内に電線類を通すための管を埋める方法(従来手法)に替え,国が平成26年度から検討を始めた,小型ボックスを活用する方式を全国に先駆けて導入し,電線共同溝のコンパクト化を図るものです。これにより,これまでの手法では無電柱化が実現不可能であった先斗町通において,他のライフライン(ガス,上下水道)との干渉が少なくなり,無電柱化が可能になりました。先斗町無電柱化区間「490m」の事業区間の建設コストは12億円!
先斗町通は道幅が非常に狭いため,工事区間のほとんどの場所で建設用機械が使用できないことから,小型ボックスや桝は,先斗町通専用として人力で運搬・施工が可能なサイズのものを新たに開発しました。また,小型ボックスから各家屋への電力引込用に設置する管路についても,狭い通りの地下で複雑に入り組んだガス・水道管等を避けながら配管する必要があるため,現場の状況に応じ柔軟に曲げて対応できる特別な管路材を用いています。さらに,日中は歩行者が多いため深夜から早朝にかけての沿道の飲食店等が閉店している限られた時間に工事を進める必要があります。そのため,建設コストは,通常の路線に比べて割高になっています。無電柱化にかかるコストですが、地下深くに共同溝を設けて電線や通信ケーブルを通す現行方式では、約5.3億円/kmと言われています。これは電柱を設置する場合の10倍以上の費用です。
現地の空を覆う蜘蛛の巣の様な電線。
現地の様子です。前回に比べぱっと見た感じは変化が見られませんが、地面を掘り返してアスファルト舗装を行ったあとが見られます。
新工法を取り入れる事で無電柱化事業が実現した先斗町。この新工法が通常幅の準幹線道路などで広く普及し、在来工法に比べ大幅なコストダウンと工期短縮につ慣れば、遅々として進まない無電柱化が一気に加速しそうです。そういった意味でも、先斗町の無電柱化事業は注目のプロジェクトと言えそうです。
最後はおまけ的な1枚ですが、昼間でも薄暗い小道があり、探検すると面白かったです。
京都も大阪もまだまだ電柱だらけです
どんどん進めていただきたい
この手法が京都以外の各地でも採用・普及するといいですね。