株式会社Marine は大阪に拠点を置く、マリンテックカンパニーでテクノロジーの力で水上モビリティを「より安全に、快適に、楽しく」することで、社会課題の解決や新たな経済価値の創出を目指すベンチャー企業です。
設立には、世界的にも著名なロボットクリエイターで「ロボホン」を生み出した高橋智隆氏や、デアゴスティーニで二足歩行ロボット「ロビ」を手がけた木村裕人氏、同じく「ロボホン」の開発や「エボルタNeo」のCM撮影カメラロボの開発等の実績をもつ平谷健悟氏など、ロボティクスを中心としたテクノロジー業界において実績を持つメンバーが集結。主な事業領域は「水上モビリティにおける自動航行技術の開発」と「自動航行技術を活用したビジネス開発」です。
【出展元】
→Marine X Inc.
自動運転の波は「海」の領域へ
自動運転に関する技術革新が広がっており、陸では「自動運転車」、空では「ドローン」の活用が進み、その潮流は海にも及んでいます。2018年に国土交通省が、2025年を目標とした「操船技術の一部自動化の実現に関するロードマップ」が発表され、国内でも本格的に導入の検討が進んでいます。日本財団の試算によると、将来的に船舶の自動運航 船の導入が進むことで国内において1兆円以上の経済効果を生み出すと推計され、関連する様々な業界において、その導入が期待されています。
一方で、自動航行技術の導入は、欧州勢の後塵を拝しており、2018年には北欧フィンランドでフェリーによる完全自動運航船の実証実験が行われるなど港湾のハイテク化、EV船舶の開発など新たな取り組みが次々とスタートしています。
Marine Xが自動航行化技術の開発を加速
Marine Xは、日本国内においての自動航行化技術の発展を加速させるために、異なる業界から新たなテクノロジーを取り入れ、応用することで、水上モビリティの体験を「より安全に、快適に、楽しく」する事をコアミッションに据えています。
将来的には観光・レジャー業界を中心に、離島同士を完全自動運航の船舶でつなぐ局地的なインフラの構築や、河川を利用した新しい都市型の水上交通網の構築を実現することで、海洋立国である日本の多くの人々にとって、海やボートを身近な存在にしてゆく方針です。
AIクルーザー「X40 Concept」
そんなMarine Xですが、自律航行の実現を目指すAIクルーザー「X40 Concept」を発表しジャパンインターナショナルボートショー2021で展示・販売を行い注目を集めています。
X40 Concept はMarine Xが開発したAIクルーザーで安全航行アシストシステム「ポラリス」を搭載しています。ポラリスは今後、クルーザーのブレーンとして進化を重ね、2023年の自律航行実現を目指しています。船体のデザインはロボットクリエイター 高橋 智隆氏が担当。小型船舶をテクノロジーとデザインの力でアップデートし、安全性と快適性を新たなレベルへと引き上げることで、より多くの方々が安心してマリンレジャーを楽しむことができる世界を実現する、としています。
1.進化する独自開発の安全航行AIアシストシステムを搭載
「X40 Concept」は安全な航行を実現するために、独自開発の画像認識AIを活用したシステムを搭載しました。水上の航行可能エリアと障害物を検知し、画面表示とアラート音で方角とおおよその距離を操船者に知らせる。将来的には自律航行システムへのアップグレードなどクルーザーのブレーンとして進化してゆきます。
2.快適なアーバンクルーズをサポートするためのテクノロジー
操船はステアリングの他に、ジョイスティックによるコントロールも可能です。停泊中の自船位置を自動で保持するダイナミックポジショニングや船体の揺れを抑えるアンチローリングジャイロなど、優雅な水上体験に欠かせないテクノロジーを厳選して搭載しました。
◆ダイナミック・ポジショニング・システム(自動船位保持)
アンカーによる係留が困難な大水深の海域などにおいて、アンカーなしで洋上の定位置に保持するシステム。GPS、超音波ビーコン、レーダーなどを駆使してナビゲーションデータに基づいて位置検知・位置制御・推進システム制御を一括して行う。DPシステムは、船の頭脳となってこれらのデータを処理し、
船体に配置された多数のスラスターやプロペラに指示を出し、潮の流れや波の大きさ、風の影響を考慮して船を定位置に維持する。
◆アンチローリングジャイロ(横揺れ減揺装置)
構造は非常にシンプルで『地球ゴマ』の原理を応用し、ジャイロトルクを発生させ船の横揺れを減少させる。『地球ゴマ』とは回転体(フライホイール)と外枠(ジンバルホイール)で構成され、回転体に力を加えると常に垂直に保とうとする力(ジャイロトルク)を発生させるシステム。
3.ロボットクリエイター 高橋 智隆氏による未来的なデザイン
ロボットクリエイター高橋 智隆氏の長きにわたるボートオーナーとしての経験から、都市部でのクルーズに必要な機能や要素を厳選しました。高さを抑えた特徴的なクーペスタイルは都市部の低い橋桁をくぐるため、スリット入りのシェルに格納された船外機は、デザイン性とメンテナンス性の両立を実現するなど、新しい発想でデザインされています。
大阪初のベンチャー『Marine』が日本の自動航行化技術の発展を加速させる役割を果たしてくれる事を期待したいと思いました!