阪急阪神百貨店や阪急オアシスを傘下にもつエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングは、2021年4月12日付けのニュースリリースで、スマートカートを手がけるニュージーランドのスタートアップ、IMAGR(イマジャー)と「画像認識AIカート」の本格運用に向けた実用化サービス契約を締結したと発表しました。
これにともない、H2O、イマジャー社、東芝テックの3社が共同で、広さ900㎡の店舗「阪急オアシス中之島店」での実証実験が本格的に開始します。将来的にH2O系列の152店舗で本格的に導入される見通しです。
【出展元】
→画像認識AIカート、実用化に向けた契約締結のお知らせ
→IMAGR(イマジャー)公式Webサイト
カゴに商品を入れるだけでレジスキャンが完了!
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出展:https://www.imagr.co/ja
IMAGRのスマートカート「Halo」は、最先端の画像認識技術を搭載した次世代ショッピングカートです。利用者はあらかじめアプリをダウンロードし、来店時にスマートカート「Halo」とペアリングを行います。「Halo」のカゴの縁には、画像読み取り用のカメラが取り付けられており入れた商品を画像認識します。読み取った商品画像は、人工知能(AI)を活用し、クラウドサーバー上の商品画像とマッチングされ商品名と価格を瞬時に識別、その結果をカートとペアリングしたスマートフォンに表示します。利用者はバーコードをスキャンする事なく、カゴに商品を入れるだけでレジスキャンが完了します。あとは、レジでアプリ画面のバーコードを読み取るって精算します。レジで商品をスキャンする事はありません。
IMAGRのスマートカート「Halo」の使い方
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スマートフォンに専用アプリをインストールします。
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QRコードを読み取ってスマートカート「Halo」とスマホをペアリングします。
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「Halo」を持ってお目当ての商品を探します。
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「Halo」に商品を入れるとAIによる画像認識でレジスキャンが行われます。
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バーコードを読み取る事なくカゴに入れるだけでドンドンスキャンされます。
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「やっぱり要らない」。カゴから商品を出すと、スマホのリストから自動で削除されます。
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買いたい物が決まったらレジに向かいます。
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スマホ画面のバーコードをレジで読み取って精算、買い物終了です。
シンプルな仕組みで低コスト化を狙う
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amazonGOなどの無人店舗では、カメラやセンサーをはじめ、多数のハードウェア機器を用いていますが、IMAGRのシステムは充電ステーションとデスクトップサイズのサーバー、店員が新商品をスキャンして登録する「イメージングステーション」という機器だけで運用する事が出来ます。
また、他のスマートカートはタッチスクリーンやエッジコンピューターを搭載しているものが多いですが、「Halo」は、よりユーザーフレンドリーな体験や製造コスト削減のため、そうした装置は採用していません。カートから商品を出し入れする際のデータ量は電子メール1通分程度なので、レスポンスが良い事が特徴です。
スマートカート「Halo」は導入コストを低く押されラレルシンプルな仕組みなので、読み取り精度が実用的であれば意外に早く他店舗展開が進みそうです。
従来の買い物の仕方を変えずにスマート化
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「スマートカート」では、多くの場合、利用者がスマホ、専用端末で商品バーコードを読み取らせてカートに入れる方式が採られていますが、「Halo」は利用者が商品をカートに入れる、カートから取り出すだけでレジスキャンが完了します。
IMAGRのウィリアム・チョムリー最高経営責任者(CEO)は「当社のシステムは、他のレジシステムのように、客をレジ係にするものではありません。客が従来の買い物の仕方を変えず、怖がらないで使えるように、システムを設計しています」と説明しています。
今回のニュースリリースは地味な内容ですが、実はスーパーマーケットに革命的な変化を起こす、とんでもないビッグニュースだと思いました。レジで超高速スキャンするプロのレジ係は過去のものになるかもしれませんね。
1970~80年代にバーコードとバーコードリーダーが普及したことが小売店の仕組みを根本的に変えて巨大小売チェーンを生み出したことは広く知られていますが、この技術が同規模の革命を起こすのか?
要注目ですね。