ソフトバンクとシャープは、2024年6月7日付けのニュースリリースで、堺市にあるシャープ堺工場の土地および建物を活用した大規模なAIデータセンターの構築に向けて、基本合意書を締結したと発表しました！
ソフトバンクは、シャープ堺工場の敷地面積全体の約6割に当たる約44万㎡の敷地と延べ床面積約75㎡の建物に、受電容量約150MW規模のデータセンターを構築し、2025年中の本格稼働を目指します。将来的には、受電容量400MW超の規模まで拡大する見込みです。
両社は、シャープ堺工場を活用して、AIデータセンターを構築することについて、2024年1月から協議を開始。ソフトバンクは、シャープ堺工場の土地や建物、電源設備、冷却設備などを譲り受け、データセンターの早期構築を図り、2024年秋ごろに着工して2025年中に本格稼働させることを目指します。データセンターは、生成AIの開発や、その他のAI関連事業に活用する他、大学や研究機関、企業などに幅広く提供していく予定。また、環境負荷が低いデータセンターとして、クリーンエネルギーの活用を検討しています。
シャープ堺工場を巡っては、2024年6月3日にシャープは、KDDI、SuperMicro、データセクションの4社が、AIデータセンター構築に向け協議を開始することに合意したと発表したばかりです。NVIDIAの最先端AI計算基盤である「GB200 NVL72」を約1000ユニット導入するAIデータセンターとなり、これはアジアでは最大規模になります。
大規模なAI計算基盤を持つデータセンターを構築するにあたっては、「最先端の演算装置の調達、設備の発熱を抑える高効率な冷却システムの整備、電力、場所の確保が課題となる」とし、「これらの課題に素早く対応したAIデータセンターの構築を目指すべく、NVIDIAの最先端のAI計算基盤を構築すること、Supermicroが発熱量に対応可能なプラットフォームを提供することで協議を開始する。KDDIは、ネットワークの構築および運用をサポートし、電力の調達と場所の確保については、シャープが堺市に保有する施設や設備の活用を検討するなど、各パートナー企業のアセットを集結する」方針を打ち出しました。
シャープ堺工場は津波に強い立地
意外かもしれませんが、シャープ堺工場周辺は埋立地ですが、津波や高潮のリスクを考慮して標高約７ｍの高さがあります。これは堺東駅西側よりも高く、東京丸の内（標高2.9ｍ）や大阪駅（標高1ｍ）よりも高い設計となっています。
捨てる神あれば拾う神あり
シャープの堺工場は、2009年に当時最大規模の液晶工場として稼働を開始。鴻海によるシャープ買収などを経て、大型液晶ディスプレイパネルの生産を続けてきましたが、今年5月に2024年度上期中の生産停止を発表していました。かつて、液晶パネルの世界的な生産拠点を目指した堺工場は、その電力インフラなどを活用してAIデータセンターに生まれ変わることとなりました。
捨てる神あれば拾う神ありとは、まさにこの事で、シャープ堺工場は広大な建屋があり発電所にも近く、比較的新しい埋立地なので標高が高く津波にも強い立地である事、大阪は西日本最大のＩＸ（インターネットエクスチェンジ）拠点である事からデータセンターとは非常に親和性が高いといえます。
