「浮かぶはらっぱ」をコンセプトに設計された『浮庭橋』を愛でる



「浮庭橋(うきにわ)」は道頓堀川に架かる歩行者専用の橋で、長さ76.3メートル、幅46.2メートルの人動橋で2008年に完成しました。南堀江と湊町リバープレイスを結び、「浮かぶはらっぱ」をコンセプトに設計されました。両岸のタワーからワイヤでつる「吊り橋構造」で、憩いの空間になるよう橋上には300平方メートルの芝生のスペースが設けられています。

 

 

 



道頓堀川の河川整備については、「河川内には緑を置かない」河川法の規定を尊重している為に緑が少ない、という課題がありました。そこで、建築家の内藤俊彦氏を中心とする設計チー ムは「橋に緑を持ち込むこと」をテーマとすることを1 案として検討、『浮かぶ公園』を道頓堀川に架 かる歩道橋に整備する事になりました。

 

 

 

 


桁側面緑化の様子です。周辺から見た時に「一番目線に入る箇所」を緑化する事で、エリア全体に緑の潤いを与える事に成功しています。

 

 


浮庭橋の橋面植栽とボードウォークの様子です。「川の上に原っぱを浮かべる」という、狙い通りの空間が出来上がっています。

 

 


撮影ポイントを変えて、道頓堀川の遊歩道から見た様子です。

 

 


浮庭橋の桁横のツタですが、数年前にバッサリ切られた事があってメチャクチャショックを受けました。

 

 


引き気味で見た様子です。悲しい状態だった浮庭橋ですが、数年を経て緑が復活してきました。

 

 

 


僕が考える大阪都心部における課題の1つに「緑の少なさ」があります。中之島公園や淀川河川敷や大阪城公園、少し郊外に行けば鶴見緑地公園や長居公園などの大きな公園があり、都心から直線距離で生駒山や六甲山系がある、との意見も散見しますが、普段目に入る『緑の総量』はまだまだ不足していると感じています。

大阪都心部に緑がすくない、潤いが不足しているという課題は、もう何十年も前から認識され続け、花博の開催などで緑に対する意識改革などが叫ばれた時期もありました。しかし、せっかく植えて育てた木をバッサリと切る事を繰り返しており、30年が経過してなお、大阪都心部は緑の潤いが少ないままと言わざる得ません。

巨木化や安全対策、剪定費用のコストカットなど、様々な理由から街路樹を切るシーンを見かけますが、安易な理由で木を切る事には強く反対したいと思います。木や緑は人工物ではないので一度切ると中々もとには戻りません。また、緑化に対する取り組みは、都市格にも大きな影響を及ぼすと考えています。

このトピックスににつては考えが纏まった時に記事に纏めたいと思います。