「大阪公立大学」森之宮新キャンパス整備計画 地区計画(再開発等促進区)建設工事の最新状況 22.02

 



 

大阪市立大学と府立大学を統合する新大学『大阪公立大学』の新キャンパス整備計画が進行しています。

大阪市は2021年5月26日に、大阪公立大学の新キャンパス計画地で、都市再生緊急整備地域に指定されている「森之宮北地区」の地区計画(再開発等促進区)原案を公表、新キャンパスを中心とした新しい街の姿が少しずつ見えてきました。

「森之宮北地区」は森之宮検車場の東側約12.3haのエリアで、新大学「大阪公立大学」を先導役として観光集客や健康医療、人材育成、居住などの機能を集積させる計画です。今後、原案の縦覧と意見書の内容を踏まえ、都市計画案を作成し、市の都市計画審議会に諮問する予定です。

 

【出展元】
地区計画原案の公衆縦覧及び意見書の受付を実施します

 

 



「森之宮北地区」は、国際的な観光拠点である大阪城公園の東部に位置し、大阪城公園駅など複数の鉄道駅に近接する交通至便な立地条件です。府市が2020年9月に定めた「大阪城東部地区のまちづくりの方向性」に基づき、「大学とともに成長するイノベーション・フィールド・シティー」の実現を目指しています。

対象地は第二寝屋川南側の豊里矢田線を挟んだエリアで、同線東側をA、D地区、西側をB、C地区に分け、立地特性を生かした土地利用の転換や機能更新と併せ、土地の高度利用を図ります。地区全体に歩行者デッキや歩行者通路などを整備し、歩行者重視の市街地を作る計画です。

 

 

 

 


出展:GoogleMAP 筆者加筆

A地区:イノベーション・コアの中核となる新大学の都心キャンパスを整備し、新たなイノベーションの誘発を図るため、民間活力を導入しながら大学施設関連機能を中心に業務、商業機能等の複合的な機能の導入を図ります。また、A地区の約 2.7ha については地区整備計画を定め、約4000㎡の多目的広場や約2000㎡の建物内広場を整備し、他に歩行者専用通路や、立体通路なども設けられます。建物の容積率の最高限度は400%、敷地の最低限度は2000㎡となります。新大学の中核機能はA地区に置かれるようです。約2000㎡の建物内広場が目を引きます。

第1期として建設される新ビルはS造、地上12階、一部13階建て、延べ床面積約7.71万㎡の予定です。超高層ビルではありませんがデザイン性の高い建物になる事を期待したいですね。

 

B地区:A地区との連携を図りながら、業務、商業、宿泊、居住・健康医療機能等を中心に産学連携等の多様な交流を生み出す複合的な機能の導入を図ります。大学機能と民間企業のコラボレーションを行う施設となります。

予想ですが、企業の研究機能が入居するシェアオフィス、学会などの参加者が宿泊するホテル、留学生など多彩な人材を収容する学生寮、ウェルネス機能などが置かれると思います。産官学がコラボする都心型の施設としては、中之島未来医療国際拠点が計画されていますが、森之宮では新大学の目指す方向性に合わせたコラボ施設が出来るのではないでしょうか。

C地区:第二寝屋川の親水性を確保しながら業務、商業機能等の導入を図ります。予想すが、川沿いに親水公園や遊歩道を整備して大阪城公園駅と新大学地区を結ぶ歩行者導線が設けられると思います。今回の地区計画原案では、車両基地を跨いだ、大阪城公園駅と接続する歩行者デッキが明記されていないので、しばらくは川沿いの遊歩道がメインアクセスとなりそうです。商業施設はタグボート大正の様な一般でも利用出来る賑やかな施設を期待したいですね。

D地区:下水処理場の上部を利用して立体的な土地の高度利用を図ります。個人的にはD地区の動向に注目しています。下水処理施設の上空に人工地盤を整備して広大な芝生公園や運動場などが整備されるのではないでしょうか?大阪では珍しいケースになると思います。

 

新キャンパスの完成予想パース


出展:大阪公立大学

大阪府立大と大阪市立大を統合して2022年4月に開学する『大阪公立大学』は、2021年10月26日に関係者が集まった説明会を実施し、メインキャンパスのデザインを初めて公開しました。森之宮に設けるメインキャンパスは、事業費が約420億円で地上13階建て、延べ床面積は約7.7万㎡。「知の森」をコンセプトにデザインされ、医学部や文学部など約7000人の学生の学び舎となります。

 

 


出展:大阪公立大学

大阪府と大阪市は森之宮周辺の開発で新キャンパスを「スマートシティ」実現の拠点と位置づけています。統合後は1学域、11学部、15大学院・研究科が設置され、公立の大学では国内最大規模となりますが、2025年に設置予定の「森ノ宮キャンパス」をはじめ、現・市立大学の「杉本キャンパス」、現・府立大学の「中百舌鳥キャンパス」など、キャンパスは7つのエリアに及びます。

内部からは「こんなに分散させていいのか」という声があがる中、西澤理事長は「この世の中になったら当然。分散型でかまわない。複数キャンパスにまたがる情報学研究科はお互いをつなげる」と、授業や会議はコロナ禍で一般的になったオンラインを積極的に活用する方針を打ち出しました。

 

 

 


出展:大阪公立大学

新大学では、学生の成績など大学活動における様々なデータを収集して、学生がデータを生かして新サービスを生み出しやすい環境を構築する考えです。仮想現実(VR)を活用して、杉本町や中百舌鳥など、各キャンパス間を常時つなぐことも検討しています。

また、「さらに広げて、学生の集まるスペースに大型スクリーンを設置して、キャンパス間をつなぐことはすぐにでもやりたい」とも。全身が映るビジョンで、あたかも目の前にいるようにコミュニケーションがとれる技術を導入予定で、「学生同士の交流を深めてもらいたい」と話した。

 

 


また、「さらに広げて、学生の集まるスペースに大型スクリーンを設置して、キャンパス間をつなぐことはすぐにでもやりたい」との事です。全身が映るビジョンで、あたかも目の前にいるようにコミュニケーションがとれる技術を導入予定で、「学生同士の交流を深めてもらいたい」と語りました。

▼参考記事

話し相手と目が合う!?低遅延・等身大のビデオ会議システム「tonari」は『同じ空間を共有』する体験を実現!



 

 

これまでの経緯

 

「大阪公立大(通称:ハム大)」の英語名は『Osaka Metropolitan University』に変更か?阪大との無用な争いを避ける



新大学名は『大阪公立大学(University of Osaka)』に決定!府大・市大統合の新大学



 

 

大阪市大・府大統合 森之宮新キャンパス整備に向け調査検討、公募型プロポを実施



大阪市立大学と府立大学を統合して誕生する新大学の統合のシンボルとなる「新大学森之宮キャンパス」の整備に向け動きが出始めました。公立大学法人大阪は「公立大学法人大阪新大学調査検討等業務」の公募型プロポーザルを公告しました。「新大学基本構想」の森之宮キャンパスを具現化するため、移転整備の方針、必要な機能、建物構成や規模、概算事業費などをまとめる方針です。新キャンパスの事業規模は計延べ9万6000平方㍍を想定、公募型プロポを実施し、12月上旬に受託者選定結果を通知する予定です。

大阪市大と府立大学は2022年度に新大学への統合を目指し準備が進められています。2019年4月1日に「公立大学法人大阪」が誕生し「1法人2大学」として新たなステージが始まった両大学では、現在「1法人1大学」に統合された場合の運営計画を取りまとめる作業が進められています。統合が実現すれば学生数は計約1万6千人となり、国内最大の公立大学が誕生することになります。

【出展元】
(公募型プロポーザル方式)「公立大学法人大阪新大学調査検討等業務委託」の案件掲載について

 

 

 
新大学ー森之宮キャンパスの事業規模
共通教育系 33,000
人文科学系 10,000
リハビリテーション系 8,500
生活科学系 16,000
福利厚生等 28,500
合計 96,000

森之宮キャンパスは都心のメインキャンパスとして1、2年生の基幹教育などを担うほか、データセンターを設置し、最先端技術を住民サービス向上に活用する「スマートシティ」実現の拠点とする方針です。

 

ターゲットはズバリ「神戸大学」


森之宮キャンパス予定地の様子です。大阪城公園駅東側の立地で敷地面積は 26,308 ㎡、用途地域は準工業地域、 容積率200%(西側道路から25mは300%)、建蔽率:60%です。第1期の対象面積は約2.6万㎡と手狭ですが、将来的に現交通局検車場8.2万㎡の土地の再開発を検討しており、合計10万㎡を超える都心型キャンパスが整備される予定です。

新大学の学生数約16,000人で首都大学東京を超えて日本一の規模となります。また大阪城を望む新キャンパスは最強最高の立地と、最新鋭の設備により優秀な学生・研究者を集める事になり、現在よりも1ランク上の大学へと進化する事が予想できます。

 

教育組織とキャンパスの関係


基幹教育機構 英語教育の強化(卒業までにCEFR B1*以上を目指す)、数理・データサイエンス基礎を全学に提供、初年次に 基幹ゼミナールで能動的学習姿勢を習得。大学院において研究公正、キャリアデザイン、プレFDなど共通教育を 提供
現代システム科学域 新大学で唯一の「学域」。SDGsを実現できる人間を育成するため異分野融合、多様な学びの実践及び他学部の SDGs導入に当たっての組織的関与。新大学の入試改革の先導。海外インターンシップや資格取得コースを選択
法学部・研究科 5年一貫教育で司法試験にチャレンジできる法曹養成コースを設置
医学部、看護学部、 生活科学部 看護学部は新大学で独立。高度先進医療を推進し、大阪の健康長寿社会を支えるヘルスケアサポート人材の養成、 保健・医療・福祉における革新的な研究の発信
理学部・研究科 数学から地球科学まで多様な分野での革新的イノベーションを創造する高度な教育研究を実施
工学部・研究科 土木、建築、海洋、航空、宇宙を含む工学のフルラインナップで教育研究を実践
農学部・研究科 農学部は新大学で独立。生物とそれをとりまく環境を分子から生態系に至る多様な視点でとらえ、食品産業、都 市型農業、都市計画などに貢献
情報学研究科 情報学研究科は新大学で新設。全学の情報系を大学院で集約、情報に関する卓越した知のプロフェッショナル及 び教育者を養成。情報人材の育成を促進
獣医学部・研究科 獣医学部は新大学で独立。公立大学かつ関西圏唯一の獣医師養成課程を設置。医学獣医学の連携による感染症対 策、食の安全に貢献
出展:https://www.upc-osaka.ac.jp/osakafu-content/uploads/sites/477/basic_concept190827.pdf

 

今後のスケジュール


2017-18年 府議会・市議会で法人統合の議案可決
2019年04月 公立学校法人大阪が発足
2020年02月 府市両議会に関連議案を提出
2020年10月 文部科学省へ認可申請
2022年春 新大学開学
2025年度 森之宮メインキャンパス開設
 

 

2022年2月の様子


現地の様子です。現在の所、駅からかなり離れているのでアクセス導線の整備は急務だと思います。

 

 


B地区の様子です。今の所大きな工事は始まっていませんでした。

 

 


B地区越しに見た大阪城天守閣の様子です。

 

 

 


B地区の北側では三点式パイルドライバが可動しており地下障害物除去工事が行われていました。

 

 


C地区(もと大阪市環境局森之宮工場跡)の様子です。森之宮工場の本格的な解体工事はまだ始まっていません。

 

 


最後は森之宮新キャンパス整備計画のメインキャンパスが建設されるA地区の様子です。新大学は2022年4月に開学しますが、新キャンパスの整備はまだまだ時間がかかりそうです。