出典:北九州市
北九州市に大規模なデータセンターの建設計画が浮上しました!
米不動産投資・開発のアジア・パシフィック・ランド(APL)グループが北九州市に大規模なデータセンターを建設します。データセンターの規模を示す総受電容量は、120MWで九州最大級。投資額は1250億円で2027年秋までの着工を目指す計画です。
データセンター(DC):サーバーを始めとする情報通信機器などを集積化して設置・保管・運用することに特化した施設。大量の電力を消費する情報通信機器を、24時間365日、ダウンタイムなく稼働させる必要があるため、電源設備、空調設備、ネット ワークコネクティビティ、セキュリティ、防災対策などの性能に高い基準が要求される。
出典:北九州市
予定地は、北九州学術研究都市の事業用地62,822㎡。売却価格は20億1659万円で、市議会の可決を経て2023年9月に本契約を結ぶ予定です。北九州市内への大規模なデータセンターの開設は2007年以来、2件目です。
APLは北九州を選定した理由として、海底ケーブルの陸揚げ拠点への近さ、再生可能エネルギー活用の将来性をあげ、地理的にアジアに近いことなどを総合的に考慮した、との事です。また「国内や東アジアの企業などの需要を取り込みたい」としています。
APLグループがデータセンターを建設するのは今回がは初めてで、データセンターの運用を他社に委託するか、一部参加するかを検討しています。
データセンターに適した立地とは?
巨大データセンターのイメージ。NTT大阪第7データセンター(35.5 MW)
データセンター市場は、サーバーの仮想化技術の発展に伴いクラウドサービスが登場・普及し、事業者向けのDC需要が急速に拡大しています。
データセンターは、多数の高性能サーバーを常に安定稼働させるために、大電力を24時間365日供給が必須となります。 一般的なDCに必要な電力量を供給するためには、標準電圧6万ボルト以上の「特別高圧」で受電する必要があります。また高品質な通信環境の構築が重要です。
DCは、自然災害(地震・津波・台風等)を想定して、防災対策が厳重に施されていますが、万が一の事態を避けるためにも、自然災害に強い地形が求められます。特に外資系クラウド事業者は、日本の自然災害リスクに慎重であり、地盤の安定した内陸部を選好する傾向にあると言われています。
データセンターも東京一極集中
出典元:日本政策投資銀行(DBJ)
データセンターは首都圏一極集中で、サーバールームの面積ベースでは6割が関東に集中しています。日本の経済活動や国家運営などに関わる重要な情報を扱う機関は東京圏に集中しており、それらに関わる情報を扱うデータセンターは、迅速な通信レスポンスやシステム障害発生時における速やかな復旧など、即応性が求められるためでです。しかし、近年は少しつづ状況が変化しており、首都圏で大規模DCに適した用地が少なくなりつつある事や、大規模災害発生時のリスク管理の観点から大阪圏への投資が増えつつあります。大阪圏のサーバールームの全国シェアは24%程度となっています。
DCの地方分散の候補地
この様な状況の中、政府は、大規模震災の発生に備え、経済安全保障の観点等から、東京圏以外にデータセンター、海底ケーブル、インターネット接続点等のデジタルインフラを設置する際の支援を行い、地方分散による強靱な通信ネットワーク拠点を整備する方針を打ち出し、検討を進めています。
北九州市は東京に集中する企業の本社やデータセンター、政府機関の受け皿となる「バックアップ首都構想」を掲げており、北九州学術研究都市に九州最大級のデータセンターが建設されることで同市の構想に弾みがつきそうです。DCの地方分散の候補地として災害が少ない北九州の注目度が高まる可能性があります。
【出典元】
→北九州に大規模データセンター、米社が1250億円投資
→北九州市に九州最大級のデータセンター建設へ…米不動産投資会社、投資額1250億円:読売新聞
→経済産業省>デジタルインフラ(DC等)整備に関する有識者会合 中間とりまとめ(概要)
→データセンター業界レポート~データセンター業界の最新の動向~ | 日本政策投資銀行(DBJ)
→都市から地方へ、未来の街づくりはデータセンターとともに|ビジネスコラム | NTTファシリティーズ
施設概要
事業者:アジア・パシフィック・ランド(APL)グループ所在地:福岡県北九州市若松区ひびきの北
主用途:データセンター
総受電容量:120MW
敷地面積:62,822㎡
土地価格:20億1659万円
投資額:1250億円
着工:2027年秋までを目指す