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JR富山駅ビル「MAROOT」はコンパクトシティ政策に呼応する地元客に照準を合わせた普段遣いが便利な商業ビルだった!



JR富山駅ビルは、富山市明輪町のJR富山駅前に建設された複合商業ビルです。新ビルは、鉄骨造、地上12階建て、延床面積は約38,100㎡。建築主はJR西日本不動産開発、設計は前田建設工業、施工は前田建設工業が担当。工期は2020年2月1日~2022年1月31日で、2022年3月18日にオープンしました。

開発コンセプトは「市民と来街者と旅人が集い交わる、活力あふれる駅前空間」。約70店のテナントが集まる商業施設「MAROOT」や、JR西日本が展開するハイクラス宿泊主体型ホテル「ホテルヴィスキオ富山 by GRANVIA」、400台収容の立体駐車場施設などで構成されます。

 



JR富山駅ビルは、駅から徒歩1分という好立地を生かして、商業施設と宿泊施設を駅前に集積。一般的に新幹線駅に近接する商業施設は、旅行者や出張者向けのサービスを提供する事が多いですが、「MAROOT」は地元客に照準を合わせ、駅利用者の日常使いをターゲットにしたテナントを揃え「新しい駅」を提案。富山市が進める「コンパクトシティ」に呼応した、市内の充実した路面電車網の沿線住民が普段使いできる施設となっています。


富山市が進めるコンパクトシティとは?

高度成長期以降の爆発的なモータリゼーションの進展により、商業・業務機能の郊外化が進み、既存市街地の都心に位置する中心商業地の空洞化を招きました。同時期に整備された公共施設や道路、上下水道など社会資本の老朽化が進み、維持管理用が増大。一方で、少子高齢化が進み、高齢者の介護など福祉サービスなどの需要は増え、現役世代が減少し自治体の税収が減少して行く状況です。

 

自治体は限られた予算の中で必要最なインフラを維持する為に、郊外に広がった市街地を小さくまとめる必要に迫られています。

富山市が目指すコンパクトシティは、充実した市内の路面電車網を活かし、過度に車に依存したライフスタイルを見直し、歩いて暮らせるまちの実現を目指すものです。鉄軌道網、バス等の公共交通を活性化させ、駅や停留所の徒歩圏(500m程度の範囲)に、まちなか居住と市民生活に必要な機能を集積させていく取り組みを進めています。

 



商業施設名称の「MAROOT(マルート)」は、富山駅ビルのルーツでもある「まると百貨店」へのオマージュと、暮らしに必要なものを「まるっと」揃える、地域の暮らしの「根底」(=root)を支える、などを組み合わせた造語です。

1階には生鮮食品やスイーツ、総菜、カフェなど食関連店舗を集積。2、3階は生活雑貨やインテリアを中心に構成し、ロフト、無印良品、ニトリ デコホームなど、手堅いテナントを揃えています。4階にはレストラン街を設け、とやま鮨 海富山、石焼ステーキ贅、炭焼牛たん東山などが出店。全体的には、家族連れやカップルなどが気軽に通える店舗構成となっています。

 



富山ターミナルビルによると、オープン後1年間の来館者は累計413万人を超え、当初計画の375万人を38万人上回りました。ホテルヴィスキオ富山は、オープン後の客室稼働率が約7割前後で好調に推移しており、宿泊需要の回復が鮮明になっています。

 



南西側から見た様子です。コストミニマムな造りにする事で、イニシャルコストを抑えて、それなりの集客であっても採算が取れるように工夫していることが伺えます。

 


駅前立地でありながら約400台分の駐車場を確保しています。


少しだけですが館内の様子です。こちらは1階北東角のメインエントランス付近の様子です。富山市に本社を置く自動車メーカー、光岡自動車の実車が展示されていました。



前述の通り、マルートは地元民の普段使いにフォーカスしたテナントを展開しています。それにしても、富山にロフトが出来る日が来るとは・・・!


無印良品の様子です。


デコホームもあります。


撮影ポイントを変えて、電鉄富山駅側から見た、JR富山駅ビルの様子です。


最後は引き気味で見た駅前広場の様子です。


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