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【最新分析】IR追加選定へ政府が“第2回”全国意向調査。残り最大2枠、首都圏は東京都の可能性が残る?


政府は2025年10月5日、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の整備地域を追加選定するため、月内にも全都道府県と政令指定都市を対象に意向調査を実施する方向で検討に入りました。追加選定枠は最大2カ所。自治体から希望があれば、来年以降に再び申請を受け付ける方針です。

背景には、国内初の認定を受けた大阪IRの事業進展と、訪日外国人の増加があります。政府は全国の需要を取り込む形で「さらなる拡大」を目指し、今回の調査で候補地の絞り込みを進める考えです。

政府、IR区域認定プロセスを再開へ──北海道・東京が関心、2027年末までに最大2カ所を認定か?


制度の経緯:大阪のみ認定、長崎は不認定で幕引き

IR整備法(2018年成立)は最大3区域での整備を認めています。2022年4月に大阪府市と長崎県が申請しましたが、2023年4月に大阪が認定され、同年12月に長崎は不認定となりました。

長崎については、資金調達や事業規模の不透明さが指摘され、不認定となりました。結果として、現在は大阪1区域のみが認定済みで、残り2枠が空席のままです。

北海道:苫小牧と函館が再浮上

出展:Hard Rock International

北海道は2025年9月、道内179市町村を対象に独自の意向調査を実施。その結果、苫小牧市と函館市がIR誘致に関心を表明しました。

苫小牧市はかつて植苗地区を候補地として誘致を目指しましたが、2019年に道が見送りを表明。しかし今回の調査では、当時と同様に植苗地区での整備を視野に入れているとしています。函館市も観光資源との連携を期待して関心を示しました。

鈴木直道知事も「民間投資や観光消費拡大など、北海道の発展に寄与する可能性がある」と述べ、前向きな姿勢を示しています。

首都圏の動向:東京の可能性が残る


出展:東京ベイエリアビジョン 官民連携チーム

首都圏の主要自治体の動きは次の通りです。


地域 過去の動向・判断 現状の姿勢 結論
神奈川県(横浜市) 山下ふ頭を候補に誘致を検討したが、2021年市長選で撤回。 再開発計画へ転換。 IR復活の可能性は極めて低い。
神奈川県(横須賀市) 日産追浜工場跡地が噂されたが、市長が否定。 産業転換・雇用対策が優先。  IR誘致の可能性は低い。
千葉県(千葉市) 幕張新都心で検討、「検討中」と回答したが2020年に断念。 その後再浮上せず。 IR誘致の可能性は低い。
東京都 2018年調査で「検討中」。撤退表明はなし。 調査費を毎年計上、昨年の非公式調査でも「関心あり」と報道。 唯一再浮上の可能性を残す。

東京都は、大型MICE・宿泊施設といった制度要件を満たすだけの市場規模があり、現状、首都圏で唯一の有力候補です。

地方の現実性と壁

出展:シーザーズ・エンターテインメント

一方で、地方でのIR誘致は依然として高い壁に直面しています。


  • 北海道:苫小牧と函館が関心を再表明し、道知事も前向き。ただし巨額投資と環境・住民合意が課題。

  • 和歌山・沖縄:住民合意や資金面で撤退済み。

  • 長崎:不認定で実質的に幕引き。

制度要件(ホテル延床10万㎡以上、国際会議場併設、国際空港アクセスなど)が大都市向けに最適化されているため、地方は「理念的には地方創生を掲げながら、現実的には成立しにくい」という逆説を抱えています。

展望:東京か北海道か

今回の第2回全国調査で浮かび上がるのは、


  1. 東京が正式に名乗りを上げるかどうか

  2. 北海道が苫小牧や函館を軸に再挑戦できるか

現行制度のままでは「大阪+東京」の二大都市モデルに収束する可能性が高いものの、北海道が加われば、「大阪+東京+北海道」という全国型布陣も視野に入ります。

まとめ

現在、認定済みIRは大阪のみ。首都圏で可能性を残すのは東京都、地方で再浮上の兆しを見せるのは、北海道(苫小牧・函館)で、地方IRの現実性は厳しい状況が続きます。

第2回全国意向調査は、IRが実現するかどうかは不透明ですが、「東京と北海道」が残り2枠の獲得を目指す、その構図が鮮明になりそうです。






出典

  • 共同通信「IR追加選定へ政府、10月中にも自治体意向調査 残り最大2枠、北海道・長崎など注目」(2025/10/5)

  • 読売新聞「北海道2市IR誘致に関心 苫小牧と函館、鈴木知事『民間投資、観光消費拡大に期待』」(2025/9/8)

  • 各自治体公式発表・過去報道(横浜市・千葉市・和歌山県・長崎県 ほか)

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