2年半にわたり、協議が行われてきた札幌駅新幹線ホームの設置位置がようやく決定しました。JR北海道と北海道、札幌市、鉄道・運輸機構、国土交通省の5者は2018年3月29日に、札幌駅の北海道新幹線ホームの位置について、現在の在来線ホームがある場所の東側に設置する「東案(その2)」を採用することで正式に合意しました。
北海道新幹線は2016年3月に「新青森~新函館北斗間」が開業いました。現在は、新函館北斗~札幌間が2030年度末の開業を目指して工事が行われています。2012年に新函館北斗~札幌間の工事が始まったときは、札幌駅の新幹線ホームは在来線の1・2番線ホームを転用することが考えられていました。その後、JR北海道は在来線の運行に影響が出るとして、別の場所に新幹線ホームを設置すること主張し、駅の西側や東側、地下に設ける案などが複数検討されてきました。新幹線札幌駅ホームの位置については、様々な思惑から選定が難航し、2016年からは北海道と札幌市、鉄道・運輸機構、JR北海道の4者で協議が行われ、2018年2月からは国土交通省を交えた5者で協議が行われてきました。
【出典元】
→JR北海道>北海道新幹線建設促進北海道・札幌市調整会議(札幌駅ホーム位置に関する五者会議)の資料について
協議の結果、利用者の利便性や将来の拡張性、地域活性化等の観点から総合的に判断」したとして、東案(その2)で正式決定しました。在来線ホームの東側に、相対式2面2線の線路が設置される他、在来線を跨ぐ乗り換え跨線橋が設置されます。事業費は、在来線ホームに隣接して1面2線の駅施設を設ける「認可見直し案」が約570億円、決定した「東案(その2)」は約645億円となります。差額の約75億円はJR北海道が負担する意向とのことです。
北海道新幹線のホームが設けられる北5西1街区付近の様子。JRタワーと同規模の高さ170mの超高層ビルが計画されている

JRタワーの様子です。JR札幌駅直結の複合商業施設で、4つのショッピングセンター アピア・エスタ・パセオ・札幌ステラプレイスと大丸札幌店、シネマコンプレックスや展望室、プラニスホール、オフィスプラザさっぽろ、ホテル日航札幌を備える、延べ床面積約276,000m2に及ぶ巨大駅ビルです。

2年半の長期間、終着駅の場所が決まらないという異常事態から脱した北海道新幹線の札幌駅の設置位置。JR北海道の経営状態や再開発との絡みから、個人的には東側案で決着して正解だと思いました。
少し話は逸れますがJR北海道の経営状態が悪い云々は、そもそも国鉄分割民営化の時点で「解りきっていた事」です。JR東日本は売上高2.88兆円、営業利益4663億円、JR東海は、売上高1.75兆円、営業利益は6195億円!対するJR北海道は、売上高1713億円、営業利益は単体▲22億円、連結54億円です。売上高はJR東日本の5.9%、営業利益はJR東海0.8%の規模感です。この収益規模で、輸送密度が低い鉄道14路線2,568.7 kmを自力で維持しろ!というのがそもそも無理ゲーです。ガンジーでも怒ってドロップキックして来るレベルです。国鉄分割民営化時点のエリア分けは明らかに失敗だったと思います。本州3社でも、東日本・東海と西日本では、営業利益が違いすぎます。東海道新幹線恐るべし。
事実、JRのエリア分けがアンバランス過ぎた反省から、NEXCOは東、中、西日本の3エリアに分割されバランスが図られました。北海道の鉄道路線維持が公共性の高いモノだと考えるのであれば、このアンバランスを是正するスキームは今後検討する必要があると思います。本州3社は、株式上場しているので、利益の再配分は非常に困難だと思いますが・・・。
・JR東日本
売上高:2兆8808億円
営業利益:4663億900万円
・JR東海
売上高:1兆7569億円
営業利益:6195億6400万円
・JR西日本
売上高:1兆4414億円
営業利益:1763億9200万円
・JR北海道
売上高:1713億円
営業利益:単体▲22億円、連結54億円


