理化学研究所(理研)は、2020年4月7日に文部科学省と連携し、理研が開発主体となって開発・整備を推進しているスーパーコンピュータ「富岳(ふがく)」を、新型コロナウイルスに対する薬の開発などに利用するため、運用を1年前倒しで始めたと公表しました。
治療薬候補の発見や、感染が拡大・防対策の効果のシミュレーション(模擬実験)など新型コロナウイルス関連の4つの課題に利用する予定です。同センターの松岡聡センター長は「富岳の能力を大幅に前倒しして速やかに提供し、一日も早いパンデミックの終結に貢献する」とコメントしました。
【出展元】
→新型コロナウイルス対策を目的としたスーパーコンピュータ「富岳」の優先的な試行的利用について
実施課題は以下を対象、理研等の提案を踏まえ文部科学省が随時決定
①新型コロナウイルスの性質を明らかにする課題
②新型コロナウイルスの治療薬となりえる物質を探索する課題
③新型コロナウイルス診断法や治療法を向上させうる課題
④新型コロナウイルスの感染拡大及びその社会経済的影響を明らかにする課題
⑤その他、新型コロナウイルスの対策に資することが想定される課題
HPCIスーパーコンピュータ資源を無償で提供
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2018/pr20180626/pr20180626.html
高度情報科学技術研究機構は「新型コロナウイルス感染症対応の研究」を支援するためHPCIスーパーコンピュータ資源を無償で提供すると発表しました。HPCI(革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ)は、国立大学・国立研究開発法人の世界有数の先進的スーパーコンピュータ群を有機的に連携した、日本が誇る強力な研究基盤です。学術界、産業界を問わず、新型コロナウイルス感染症対策を行っている研究者に、合計114PFLOPS(秒に11京4000兆回の浮動小数演算)の性能を有する多様なスーパーコンピュータ資源を無償で提供する臨時の公募を行い、この緊急事態に対応することになりました。
【出展元】
→「新型コロナウイルス感染症対応の研究」を支援するためHPCI(*1)スーパーコンピュータ資源を無償で提供
https://koudaisai.jp/plans/tsubame
HPCIには産業技術総合研究所が構築・運用する、世界最大規模の人工知能処理向け計算インフラストラクチャ「AI橋渡しクラウド(ABCI)」や、東京工業大の「TSUBAME3.0」などが含まれ、合計で1秒間に11京4000兆回の浮動小数演算が可能です。未完の次世代スーパーコンピュータを前倒しで運用し、世界有数の先進的スーパーコンピュータ群の有機ネットワークを無償提供。新型コロナウイルスとの戦いはまさに総力戦と言える状態です。
<利用可能なHPCIのスーパーコンピュータ> | ||
協力機関 | スーパーコンピュータ | |
1 | 北海道大学 情報基盤センター | GrandChariot/Polaire |
2 | 東北大学 サイバーサイエンスセンター | ベクトル型スーパーコンピュータ / 並列コンピュータ |
3 | 筑波大学 計算科学研究センター | Cygnus |
4 | 最先端共同HPC基盤施設 (JCAHPC) | Oakforest-PACS |
5 | 東京大学 情報基盤センター | Oakbridge-CX |
6 | 東京工業大学 学術国際情報センター | TSUBAME3.0 |
7 | 名古屋大学 情報基盤センター | スーパーコンピュータ「不老」TypeIサブシステム(FX1000) |
8 | 京都大学 学術情報メディアセンター | システムA (Camphor2) |
9 | 大阪大学 サイバーメディアセンター | ベクトル型スーパーコンピュータ /PCクラスタ |
10 | 九州大学 情報基盤研究開発センター | スーパーコンピュータシステム ITO |
11 | 海洋研究開発機構 地球情報基盤センター | 地球シミュレータ |
12 | 産業技術総合研究所 柏センター | AI橋渡しクラウド ABCI |
日本の英知を結集し、総力をあげてこの国難を乗り切ってほしいと心から願っています。