「南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画(中央防災会議幹事会)」の中で、近畿圏内に『大規模な広域防災拠点』が存在していません。
奈良県は、将来発生が想定されている南海トラフ巨大地震などの大規模災害に備えて、県および紀伊半島の中心部に位置する五條市に、大量の物資と人員を搬送可能な2000m級の滑走路を備えた「大規模広域防災拠点」を計画しています。基本構想では、消防学校を併設し、将来的に陸上自衛隊駐屯地の勧誘を目指す、広域防災拠点整備を想定しています。
【出展元】
→奈良県>大規模広域防災拠点について
→奈良県>「大規模広域防災拠点」整備への支援
→奈良県>R1.9月定例県議会の概要
県では、五條市へ陸上自衛隊の駐屯地の誘致を要望してきましたが、相次ぐ大規模な災害を受け、その実現を待つことなく大規模広域防災拠点の整備を進める事になりました。
拠点整備は段階的に進められますが、最終的に2000m級滑走路を整備する事を前提に検討が進められています。これは、東日本大震災時の山形空港が果たした役割や、自衛隊輸送機の輸送能力を踏まえ、航空機が果たす機動性・役割を重視して、現行の最新輸送機であるC-2の離発着が可能となる2000m級滑走路も整備する事が望ましいと判断した為です。
駐屯地として整備する土地については、国が購入・整備することを想定していますが、現時点では事業規模や施工方法等を検討している途上で、この進捗を踏まえて、今後協議を行うとの事です。
この「大規模広域防災拠点」の整備により期待される効果としては、航空機の活動拠点、応援部隊の ベースキャンプ地、備蓄倉庫・物資輸送拠点、災害医療の支援拠点によるの物資受入等が上げられます。
奈良県議会の議事録によると、主たる候補地は五條市阪合部地区に所在するプレディアゴルフ場などの一体で、滑走路面の計画高さはFH=190mを想定。深さ45mの谷を挟んだ地形となっています。県は、谷地部分を埋めるために、現地で発生する土砂に加えて、大和北道路・リニア新幹線等の公共事業残土(約80万㎥)の受け入れを予定してるとの事です。
「大規模広域防災拠点」は三期に分けて整備が進められます。STEP1として、早期の効果発現を目的に『広域防災拠点』(約5ha)を整備します。STEP2 として、複数の回転翼機の同時稼働が可能な 『600m級滑走路を有する大規模広域防災拠点』を整備。最終段階として、STEP3で大量の物資人員を輸送可能な固定翼機の活用が可能となる『2,000m級滑走路を有する大規模広域防災拠点』を整備する計画です。
STEP1 広域防災拠点(約5haの平場)
場内切盛工事で広場を整備 。建物を建造せず、移動可能な施設等を整備 、当面の防災機能を確保
STEP2 大規模広域防災拠点(防災施設と600m級滑走路)
大型ヘリの離発着・集結が可能 、迅速かつ大量の物資、人員の集積配送が可能
STEP3 大規模広域防災拠点(防災施設の充実と2,000m級滑走路)
最新の固定翼輸送機の 離発着が可能 、物資、人員の 集積配送機能の向上
さらに飛躍して東海南海連絡道、さらにその先に伊勢湾口道路、京奈和道の先の紀淡海峡道路、もっともっと先の豊予海峡道路、ついでに大阪橋本道路なんてのもあります。
五條市に首都機能移転するレベルです。日本に高度経済成長期がもう一度来たらありうるかもしれません。
なるほど、こういう計画があったのですね
奈良県・五條市が推す紀伊半島アンカールートというものの具体的なベネフィットが見えてきた気がします。
ただし後背地とのアクセスが片側1車線の京奈和道1本ではちょっと不安ですね…。
この拠点が本格的に機能するならば京奈和道の4車線化(特に五條西~橿原高田)はもちろん、将来的には五條市の悲願である新金剛トンネル更に大阪南部高速道路を整備してダイレクトに大阪平野・関空に抜けられるようになればと思います。大妄想ですが。