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【関東初】「キャノピーbyヒルトン東京赤坂」が2028年開業へ。赤坂再開発で進化するヒルトンの多ブランド戦略と首都圏展開を読み解く


三菱地所とTBSホールディングス、ヒルトンは、東京都港区赤坂で進められている再開発プロジェクト「(仮称)赤坂二・六丁目地区開発計画」の一環として、ヒルトンのライフスタイルホテルブランド「キャノピーbyヒルトン東京赤坂」を2028年に開業すると発表しました。

日本国内では3軒目、関東圏では初のキャノピーブランドとなり、都市型ライフスタイルホテルとしての存在感を示すプロジェクトとして注目を集めています。

赤坂駅直結、劇場・ホールを備えた複合開発の中核に

「キャノピーbyヒルトン東京赤坂」が入居するのは、東京メトロ千代田線「赤坂」駅直結の再開発ビル。地上18階・地下3階建ての複合施設のうち、7階から18階がホテルゾーンとなり、下層階には劇場やホール、商業施設が整備されます。また、羽田空港からのアクセスを意識し、リムジンバスの乗り入れも計画されている点も特徴的です。

本再開発は赤坂二丁目と六丁目の両地区にまたがり、ホテルに加えてオフィスやインキュベーション施設も備えるなど、多機能な都市空間の形成を目指す再構築型プロジェクトとなっています。

都市とつながる、ライフスタイル型ホテルの特徴

キャノピーbyヒルトンは、地域性を重視したヒルトンのライフスタイルホテルブランドで、世界13か国以上で展開中。日本では「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」(2024年9月1日開業済)、「キャノピーbyヒルトン沖縄宮古島リゾート」(2026年春開業予定)に次いで、今回の東京赤坂が3軒目となります。

赤坂のホテルでは、客室数は全174室、うち24室はスイートルーム。標準客室の広さは約31㎡を確保し、レストランやバー、テラスカフェ、約77㎡のミーティングラウンジ、24時間利用可能なフィットネスルームも整備される予定です。特に赤坂の街並みと調和するデザイン、地域文化を取り入れた空間演出、劇場・ホールとの連携による“都市体験一体型ホテル”の側面が期待されています。

首都圏におけるヒルトンのブランド展開状況

「キャノピーbyヒルトン東京赤坂」の開業により、ヒルトンは東京・神奈川・千葉におけるブランドポートフォリオを一層強化する形になります。

以下に、2025年4月時点でのヒルトン系ホテルの一覧をまとめました。赤坂再開発におけるホテル戦略を理解するうえで、首都圏全体のブランド分布は非常に重要です。


都道府県 ブランドカテゴリ ホテル名称 客室数 開業年月
東京 ラグジュアリー(Conrad) コンラッド東京(汐留) 290室 2005年7月1日
東京 アッパーアップスケール(Hilton) ヒルトン東京(新宿) 830室 1984年9月1日
東京 アッパーアップスケール(Hilton) ヒルトン東京お台場 453室 2015年10月1日
東京 ライフスタイル(Canopy) キャノピーbyヒルトン東京赤坂(予定) 174室 2028年開業予定
東京 アッパーミッドスケール(DoubleTree) ダブルツリーbyヒルトン東京有明 200室 2024年12月20日
神奈川 アッパーアップスケール(Hilton) ヒルトン小田原リゾート&スパ 163室 2004年2月1日
神奈川 アッパーアップスケール(Hilton) ヒルトン横浜(みなとみらい) 339室 2023年9月24日
千葉 アッパーアップスケール(Hilton) ヒルトン東京ベイ(舞浜) 828室 1988年7月2日
千葉 アッパーアップスケール(Hilton) ヒルトン成田 548室 1993年3月

カニバリゼーション回避と都市攻略:ヒルトンの戦略的多ブランド展開

キャノピーbyヒルトン 大阪梅田の客室

外資系ホテルチェーンの中でも、ヒルトンは「ブランドの階層化」と「市場ニーズへの適応」を高次元で両立しているのが特徴です。ウォルドーフ・アストリア、コンラッド、ヒルトン、キャノピー、ダブルツリーといった各ブランドは、価格帯・顧客層・目的に応じて差別化されており、同一都市内に複数のホテルを展開しても、ブランド同士が競合しないよう設計されています。

特にキャノピーは、ミレニアル世代やZ世代など「ホテル滞在を都市体験の一部と捉える層」に最適化されたブランドであり、重厚長大なホテルとは異なる軽やかな存在感を放ちます。こうした多層展開により、ヒルトンは都市内の宿泊需要を広くカバーしながら、カニバリゼーションを回避し、市場占有率の最大化(Urban Market Penetration)を実現しています。

まとめ:都市と融合する“次世代ホテル”の在り方

2028年の開業を予定する「キャノピーbyヒルトン東京赤坂」は、赤坂の再開発とヒルトンのブランド展開が交差する象徴的な存在です。ただの宿泊施設ではなく、街と呼応し、文化を発信し、訪れる人に“その都市らしさ”を感じさせるホテルへ。国際都市・東京におけるホテルのあり方を考える上でも、注目すべきプロジェクトとなるでしょう。


出展

  • 三菱地所株式会社・TBSホールディングス・ヒルトン 「(仮称)赤坂二・六丁目地区開発計画における『キャノピーbyヒルトン東京赤坂』計画発表」プレスリリース(2024年3月26日発表)
    https://www.mec.co.jp

  • Hilton Worldwide Holdings Inc. ブランド紹介ページ「Canopy by Hilton」
    https://www.hilton.com/en/canopy

  • キャノピーbyヒルトン大阪梅田 開業日程(ヒルトン日本法人公式発表)
    https://www.hilton.com/ja/hotels/itmcupy-canopy-osaka-umeda

  • 「ヒルトン横浜」公式サイト
    https://www.hilton.com/ja/hotels/hndyhhi-hilton-yokohama

  • 各ホテル公式ページ・運営企業公開情報(ヒルトン東京、東京お台場、成田、東京ベイ、小田原 他)

  • 報道参考:


    • TRAICY(2024年3月)「ヒルトン、キャノピーブランドを東京初展開」

    • 日経新聞電子版(2024年3月)「赤坂に新ホテル、TBSと三菱地所が再開発計画」

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