産経ニュースWESTが伝える所によると、JR西日本は大阪環状線に投入予定の次期新型車両について片側3ドアの車両を投入し乗り入れ車両のドア数を統一する方向で検討を始めたそうです。
視覚障害者らが駅のホームから転落する事故が相次いでいるのを受けて、国土交通省は利用者が1日当たり10万人以上の駅にホームドアや転落防止柵を設けるよう鉄道事業者に求めており、利用客数が多い大阪環状線各駅へのホームドア(可動式ホーム柵)の導入が検討されています。ただ、大阪環状線には大和路快速や関空・紀州路快速などの3ドア近郊型車両と4ドアの通勤車両のドア数が異なる車両が運行されており、ホームドア導入の障害になっています。
JR西日本はドア枚数を統一するため、2014年2月17~21日に通常は4ドア車で運転している朝の通勤時間帯の普通電車を3ドア車(クロスシート車)に統一する実証試験を行いましたが、3ドア車で運行しても大きな遅延などの影響が無い事が確認されたそうです。この実証実験の結果を受け、JR西日本は環状線への3ドア車の導入を本格的に検討する事になりました。
”乗車位置△・◯が一つに、JR大阪環状線3ドア車で統一へ 平成29年度着手
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140511/waf14051114330014-n1.htm
2014.5.11 14:33
複数の路線が乗り入れ、ドア枚数の異なる電車が混在して走るJR大阪環状線について、JR西日本が片側3ドアの車両に統一する方向で検討を始めたことが10日、分かった。通勤時間帯での3ドア車の導入試験の結果、「3ドア車でも遅延や大きな混乱はない」と判断した。平成29年度までに導入する新型車両を3ドア車とする方向で検討しており、4ドアの古い車両を順次置き換える方針だ。11日に開業140年を迎える大阪駅での整列乗車を促進し、混雑を緩和する狙いがある。将来のホームドア導入にも弾みがつきそうだ。
JR西によると、大阪環状線を走る電車は、4ドア車が6割、3ドア車が4割。このため、電車によって駅ホームの乗車位置マークが「△」と「○」で異なり、利用客の多い大阪駅などではラッシュ時の混雑が問題になっていた。一般的にはドア枚数が多い方が乗降がしやすいとされ、利用客の多い路線では4ドア車が使われる。
JR西はドア枚数を統一するため、2月17~21日、通常は4ドア車で運転している朝の通勤時間帯の普通電車を、3ドア車に統一する実証試験を実施。ラッシュ時でも列車遅延などの影響がないことを確認した。3ドア車で統一できれば、整列乗車の促進と乗降時間の短縮が期待できる。乗客のホーム転落や電車との接触を防ぐホームドアも設置しやすくなるという。
環状運転が始まって3月で50年を迎えたが、大阪環状線の4ドア車はいずれも国鉄時代の製造で、特に103系は昭和44年の使用開始から45年が経過している。一方、3ドア車は主に関西国際空港や和歌山、奈良方面に向かう快速電車を中心に運用されており、JR発足後に製造された新しい車両が多い。3ドア車の新型車両を導入し、国鉄時代の4ドア車を置き換えれば、将来的には3ドア車に統一することができる。

写真は、大阪環状線森ノ宮駅に停車中の3ドア車223系です。今後、大阪環状線に投入される新型車両は3ドアロングシート車になると予想されますが、乗り入れ車両のドア数を3ドアに統一するためには古い103系に加えてリニューアルされた201系まで置き換える必要があります。3ドアロングシート車の大量導入により4ドアの103系は廃車、201系は他線区に転属する事になります。また、新型車両の投入が始まる平成29年の翌年にはおおさか東線の放出〜新大阪間が開業するので、おおさか東線関連の車両との絡みも出てきそうです。大阪環状線改造プロジェクトは環状線にとどまらず、JR西日本のアーバン線区の車両動向に大きな影響を及ぼす事になります。


